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※この項目の情報は公開日時点(1994年3月29日)のものです。
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技術分野
0001
本願発明は、チタン含有物質の精製方法であって、とりわけ四塩化チタン製造用原料として好適なチタン含有物質の製造方法に係わり、さらに詳細にはチタン含有物質に含まれる放射性元素成分を除去する方法に関する。
0002
四塩化チタンは、二酸化チタン顔料や金属チタンの原料として、さらには有機チタン化合物の原料などに広く使用されている。一般に四塩化チタンは、チタン含有鉱石を800〜1200℃の温度で流動状態に維持された塩化炉内で塩素ガスと反応させる、いわゆる流動塩素化法にて製造されている。しかしてイルメナイト、天然ルチル、合成ルチル、チタンスラグなどのチタン含有物質には、ウラン、トリウムなどの放射性元素成分が混在していることが少なくなく環境面からその低減化が望まれている。ところで、チタン含有物質に含まれる放射性元素成分は混在するモナズ石などを選鉱分離することによってある程度除去し得るものの、鉱石の組織中に含有されるものは実質的に除去し得ない。このような放射性元素成分の除去に関して、例えばチタン含有鉱石を粉砕して得られる細粉を、アルカリ処理と鉱酸処理とを多段処理する方法が知られている。しかしながら、この処理方法による場合は、放射性元素成分の低減化は図られる反面、流動塩素化方法には不適当ないわゆる細粒分(200メッシュ以下の篩通過分)の発生が多くかつ鉱石中のチタン分が部分的に溶出し易く、Ti02 の歩留りの大幅な低下が避けられないなどの欠陥が依然として残り、工程の煩雑化と相まってそれらの欠陥の解決が強く希求されている。
0003
本発明者等は、放射性廃棄物等の環境管理の厳格化の動向とも相まって、四塩化チタン製造原料用のチタン含有物質の放射性元素成分の低減化について、前記問題点を解決すべく種々検討を進めた結果、比較的簡潔な手段でもってこれらの問題点を解決し得ることの知見に基づいて本発明を完成したものである。
課題を解決するための手段
0004
本発明は、流動法塩素化方法による四塩化チタン製造用原料であるチタン含有物質を処理して、好ましくない細粒分の発生やTiO2歩留りの低下を抑制しながら放射性元素成分を効果的に除去する方法である。すなわち本発明はチタン含有物質を、鉱酸水溶液中でウラン分とトリウム分の総除去率が60%以上であってかつ処理品の200メッシュ細粒分が1%以下になるように加熱処理することを特徴とするチタン含有物質の精製方法である。
0005
本発明方法は、細粒分の発生、TiO2歩留りの低下などを抑制しながら放射性元素成分を除去するようにチタン含有物質を鉱酸水溶液中で加熱処理することに特徴がある。本発明において使用するチタン含有物質としては、例えばイルメナイト、リューコクシン、ハイチタン鉱(チタン含有鉱石を選鉱分離した高チタン品位鉱)及びこれらを富化処理したチタンスラッグや合成ルチルなどの高チタン品位物質などを挙げることができる。本発明においては、200メッシュ細粒分が1%以下になるように鉱酸処理するために、処理前のチタン含有物質は実質的にすべて+200メッシュ以上のものを使用するのが望ましい。本発明において使用する鉱酸としては塩酸、硝酸、硫酸などを挙げることができる。酸の濃度は通常1重量%以上、望ましくは5〜60重量%、特に望ましくは10〜40重量%である。また本発明の鉱酸による精製処理は、大気圧下もしくは加圧下いずれで行ってもよく、また常温下で行うこともできるが、なるべくは加温下で行うのが好ましく、通常70〜130℃、望ましくは90〜115℃で行う。処理時間は処理装置の形式や処理温度などによって異なるが通常30分〜3時間程度である。所定時間の処理後、処理物は常法により濾過、水洗、乾燥して精製処理品とする。本発明により、ウラン分とトリウム分の総除去率を60%以上とすることができ、200メッシュ細粒分を1%以下にすることができる。なお、必要に応じ前記精製処理に先立ってチタン含有物質を比較的低温度で加熱処理しておくこともできる。なお本発明において、%とは、重量%のことを言う。
0006
実施例1
コンデンサー、温度計及び攪拌機を備えた1リットル四つ口フラスコに20%の濃度の硫酸400mlを入れ攪拌しながら沸点近くまで昇温した。次に、この中に表−1に示す組成のオーストラリア産リュウコクシン(鉱石A)200gを入れて更に沸点まで昇温し、3時間加熱処理した。処理した鉱石は純水中に入れ冷却した後、200メッシュ篩を用い細粒分を分離した後、粗粒分を洗浄し、このものを110℃で乾燥して本発明の精製処理品とした。
0007
実施例2
表−1に示す組成のオーストラリア産ハイTiO2 鉱(鉱石B)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、本発明の精製処理品を得た。
0008
実施例3
表−1に示す組成のオーストラリア産イルメナイト(鉱石C)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、本発明の精製処理品を得た。
0009
0010
実施例4
実施例1において、40%の濃度の硫酸400mlを使用すること以外は同様に処理して、本発明の精製処理品を得た。
0011
実施例5
前記鉱石Bを用いたこと以外は実施例4と同様にして、本発明の精製処理品を得た。
0012
実施例6
前記鉱石Cを用いたこと以外は実施例4と同様にして、本発明の精製処理品を得た。
0013
実施例7
酸処理時間を1時間とすること以外は実施例1と同様にして、本発明の精製処理品を得た。
0014
実施例8
酸処理時間を2時間とすること以外は実施例1と同様にして、本発明の精製処理品を得た。
0015
実施例9
酸処理時間を5時間とすること以外は実施例1と同様にして、本発明の精製処理品を得た。
0016
実施例10
酸処理時間を8時間とすること以外は実施例1と同様にして、本発明の精製処理品を得た。
0017
実施例11
実施例4において酸処理時間を5時間とすること以外は同様に処理して本発明の精製処理品を得た。
0018
実施例12
10%塩酸を用いること以外は実施例11と同様にして、本発明の精製処理品を得た。
0019
実施例13
20%塩酸を用いること以外は実施例11と同様にして、本発明の精製処理品を得た。
0020
実施例14
20%硝酸を用いること以外は実施例11と同様にして、本発明の精製処理品を得た。
0021
実施例15
40%硝酸を用いること以外は実施例11と同様にして、本発明の精製処理品を得た。
0022
比較例
20%の濃度の苛性ソーダ600ml及び前記鉱石A200gをオートクレーブに入れ、蓋をし150℃に昇温した。5時間処理した後、温度を下げ処理物を水中に取り出した。処理物は、200メッシュ篩を用い細粒部を分離した。得られた粗粒部は水洗し110℃で乾燥した。次に、実施例1と同様に四ツ口フラスコに20%塩酸を600ml入れ加熱して90℃まで加熱し、苛性ソーダ処理で得られた前記粗粒部150gをフラスコに入れ4時間処理した。処理物は冷却後、200メッシュ篩でふるい、細粒部を分離除去し、粗粒部は水洗し110℃で乾燥し、精製物を得た。
0023
前記実施例及び比較例の処理結果を表−2及び表−3に示した。
0024
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発明の効果
0026
本発明は、流動法塩素化方法による四塩化チタン製造用原料であるチタン含有物質を処理して好ましくない細粒分の発生やTiO2歩留りの低下を抑制しながら放射性元素成分を効果的に除去する方法であり、工業的に非常に有効なものである。