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図面 (5)

構成

肝炎ウイルスゲノムポリメラーゼ遺伝子領域相補的アンチセンスRNAコード化するDNAを細胞中に導入することによってその細胞内での肝炎ウイルスの複製を阻害する方法、並びに該方法に利用される組換えDNA分子ベクター及び形質転換細胞を提供する。

効果

上記方法により、肝炎ウイルスに感染した細胞中での肝炎ウイルスの複製が阻害されるので、本発明は肝炎ウイルス感染症治療に有用である。

概要

背景

概要

肝炎ウイルスゲノムポリメラーゼ遺伝子領域相補的アンチセンスRNAコード化するDNAを細胞中に導入することによってその細胞内での肝炎ウイルスの複製を阻害する方法、並びに該方法に利用される組換えDNA分子ベクター及び形質転換細胞を提供する。

上記方法により、肝炎ウイルスに感染した細胞中での肝炎ウイルスの複製が阻害されるので、本発明は肝炎ウイルス感染症治療に有用である。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

細胞における肝炎ウイルスの複製を阻害する方法であって、該肝炎ウイルスのウイルスゲノムポリメラーゼ遺伝子領域に対して相補的アンチセンスRNA(aRNA)をコード化するDNAを該細胞に導入することからなる方法。

請求項2

該肝炎ウイルスがB型肝炎ウイルスである請求項1の方法。

請求項3

該ポリメラーゼ遺伝子に対する該aRNAをコード化するDNAが細胞特異的プロモーターによって制御される請求項1の方法。

請求項4

該細胞が肝組織細胞である請求項1の方法。

請求項5

ウイルスポリメラーゼ蛋白質に相補的なアンチセンスRNA(aRNA)をコード化する組換えDNA分子であって、該aRNAの発現によって該分子宿主細胞におけるウイルスの複製が阻害され得ることを特徴とする組換えDNA分子。

請求項6

請求項5のDNA分子を含有するベクター

請求項7

請求項6のベクターによって形質転換された宿主細胞。

請求項8

動物の肝炎ウイルス感染症治療する方法であって、該肝炎ウイルスのウイルスゲノムのポリメラーゼ領域に相補的なアンチセンスRNAをコード化するDNAで形質転換された細胞を該動物に与えることからなる方法。

請求項9

該ウイルスがB型肝炎ウイルスである請求項8の方法。

技術分野

0001

本発明はウイルス性疾患の予防および治療に関する。

0002

ウイルス感染の結果はウイルス宿主の両方のいくつかの因子に依存する。病理発生に影響を及ぼすこれらの因子には感染性ウイルス粒子の数、感受性細胞へのそれらの経路、ウイルスの増殖速度および蔓延速度、細胞機能に対するそのウイルスの効果、細胞損傷に対する宿主の二次的応答、およびその宿主の免疫学的および非特異的防御が含まれる。一般にウイルス感染の効果には急性臨床的疾患、無症候性感染、様々な癌の誘発、および慢性進行性神経系障害が含まれる。1細胞生産されたウイルス粒子は他の細胞に侵入することができ、それによって蔓延する感染をもたらすので、ウイルスは強力な感染性病原物質である。ウイルスは侵入した細胞に重要な機能的変化を引き起こし、これがしばしばその細胞を死に至らしめる。

0003

ウイルス感染は現在も世界中で主要な医学的課題となっている。例えば急性および慢性の肝炎ウイルス感染およびその続発症は主要な課題の一つである。実際、世界中でおそらく4億人の人々が現在B型肝炎ウイルスに感染している。この設定下では、急性および劇症肝炎、ならびにこのウイルスの慢性キャリアー(保有者)のままである個体における硬変慢性活動性肝炎および肝細胞癌腫の最終的な発生を含む慢性肝臓疾患の危険が高い。

0004

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の劇的な効果はウイルス性疾患の結果のもう1つの例である。現在米国ではAIDSの診断例が27700例以上あり、米国公衆衛生局は1991年の終わりまでに179000人以上がこの疾患に罹るであろうと予測している。したがって、HIV用の診断手段やワクチンの開発を目指して活発な医学的研究が行われている。AIDSと肝炎はウイルス感染が引き起こす様々な疾患の2例に過ぎない。

0005

現在、ウイルスの複製を停止させ他の細胞へのウイルスの蔓延を防止するための方法が求められている。しかしながら、この目的の達成にはかなりの困難が伴う。主な課題の1つは宿主細胞を傷つけることなくウイルスを抑制するという課題である。ウイルス増殖細胞遺伝子に対する依存性弁別的攻撃点を制限している。最も大きいウイルスでさえ、ウイルス自身が有する生化学的反応であって宿主の細胞との関連で独自性のあるものはかなり少ない。さらに、ウイルス感染が明らかになるのは大量のウイルス増殖と細胞変化が起こった後に限られる。したがってほとんどの一般的制御法は予防である。治療はほとんどの場合、その損傷が後に修復されるという条件下でいくらかの未感染細胞の殺傷が許容され得る状況に限られる。

0006

抗ウイルス療法のもう1つの重要な限界耐性突然変異体出現である。それらの選択を避けるためには、細菌に関して有効な原理(妥当投与量、複数薬剤治療および明確に示されない限り治療を避けること)をウイルスにも同等に適用することができる。したがって、ウイルス感染の危険な性質および感染性ウイルスの性質が提供する障害ゆえに、ウイルスの複製を制御する方法が差し迫って必要とされている。RNAウイルスおよびDNAウイルスに適用可能な方法は広範囲にわたる適用可能性を有するであろう。

0007

B型肝炎ウイルスの複製機序についての記述は、Seegerら,Science 232:477-484(1986);Khudyakovら,FEBSLetters 243:115-118(1989);Willら,J.of Virol.61:904-911(1987);Hirschら,Nature 344:552-555(1990)に認めることができる。また、レトロウイルスおよびレトロウイルス組込みについては、Varmus,H.,Science 240:1427-1435(1988);Grandgenettら,Cell 60:3-4(1990)に議論されている。

課題を解決するための手段

0008

ウイルスのポリメラーゼ遺伝子の特定の領域に少なくとも1つの突然変異を導入することによって、ウイルスポリメラーゼを含有するウイルスの複製の完全かつ不可逆的な停止が達成される。この突然変異型遺伝子または突然変異型遺伝子産物(DNA、RNAまたはタンパク質)をそのウイルスに供給することによって欠陥のある複製をもたらすことができる。この方法はウイルス性疾患の予防と治療に有効である。本発明の方法によって、ポリメラーゼ遺伝子産物を複製に利用するDNAウイルスおよびRNAウイルスを共に抑制することができる。

0009

添付の図面について説明する。
図1:Huh7肝癌細胞中で突然変異型HBVゲノム5-15が効率的に転写される。
10%FBSを補足したMEM培地中でHuh7細胞(Nakabayashi,H.ら,Cancer Res.42:3858-3863(1982))を生育させた。約90%全面成長に達した時に、リン酸カルシウム法(Chen,C.ら,Mol Cell.Biol.7:2745-2752(1987))を用いて、この細胞をクローン化DNA(20μg/100mmディッシュ)でトランスフェクトした。使用したHBV DNAは不完全ゲノム1-8(陰性対照:表Iを参照のこと)、“野生型"adwの頭-尾型二量体および突然変異型ウイルスゲノム5-15の頭-尾型二量体である。トランスフェクションの48時間後、グアニジンイソチオシアネート法(Sambrook,J.ら,Molecular cloning:A laboratory manual,第2版,Cold Spring Harbor,NY,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))を用いて全RNAを細胞から調製し、ホルムアルドヒド1.25%アガロースゲル電気泳動によって分画し、Nytran膜(Schleicher & Schuell,Keene,NH)に移し、ニックトランスレーションによって32Pラベルした全長HBVDNAプローブハイブリッド形成(ハイブリダイズ)させた。オートラジオグラフィー暴露を−80℃で12時間行った。

0010

図2:突然変異型HBVゲノム5-15は複製欠損性である。
図1の説明で記述したようにHuh7細胞を生育させ、これをトランスフェクトした。トランスフェクションの5日後に細胞培養培地を集め、NP40中で細胞を溶解した(Hirsch,R.ら,Virology 167:136-142(1988))。この細胞溶解液を50000xg(20℃)で30分間遠心分離した。投入(インプット)DNAを消化するために、上清にDNase I(1μg/ml;Worthington)を加えた。この溶液ショ糖クッション(30%ショ糖、20mM Tris-HCl(pH7.4)、100mM NaCl、0.1%2-メルカプトエタノール、0.1%ウシ血清アルブミン)に重層し、178000xg(4℃)で12時間遠心分離した。20mM Tris-HCl(pH8)、10mMEDTA、1%SDSの存在下でプロテイナーゼK(500μg/ml)を用いてペレットを55℃で3時間消化した。フェノール抽出の後、核酸エタノール沈殿させた。凍結乾燥の後、沈殿物を10mM Tris-HCl(pH7.4)、1mM EDTA、1μg DNAase非含有RNaseA/mlに溶解し、1.25%アガロースゲル電気泳動で分画し、Nytran膜に移し、ニックトランスレーションで32Pラベルした全長HBVDNAプローブにハイブリダイズさせた。100mmディッシュ1枚から得られる細胞質DNAを各レーンに適用した。オートラジオグラフィー暴露を−80℃で4時間行った。

0011

図3:HBV突然変異体5-15の複製欠損性の原因となるDNA配列ヌクレオチド位置2606(Apa1)と2823(BstEII)の間に位置する。
“野生型"adwの頭-尾型二量体(adwHTD、pGEM-7のEcoRI部位中にクローニングしたもの)をAatII(1419)およびDraI(2186)断片としてサブクローニングすることにより、複製能を有する先端欠失型構築物adw R9を得た。adw R9と突然変異型HBVゲノム5-15の特定の領域を交換することにより、表示のサブクローンを得た。黒く塗り潰した領域はadw R9中へのHBV5-15挿入を表す。これらの構築物の複製能力図2の説明に記述したようにして分析した。

0012

図4ヌクレオチド2798はHBVDNAの複製能力にとって極めて重要である。
図1の説明に記述してようにHuh7細胞を生育させ、これをトランスフェクトした。感染の5日後に細胞培養培地を集め、細胞をNP40中で溶解した(Hirschら,Virology 167:136-142(1988))。培地を50000xg(20℃)で30分間遠心分離した。その上清を10mM MgCl2にした。インプットDNAを消化するためにDNase I(1μg/ml;Worthington)を添加した後、その溶液をショ糖クッションに重層し、図2の説明に記述したように処理した。100mmディッシュ1枚から得られる細胞培養培地(10ml)に相当する量を各レーンに適用した。オートラジオグラフィー暴露を−80℃で12時間行った。複製性HBVDNAに関して陰性を示す細胞培養培地はすべてそれぞれの細胞溶解液調製物中でも陰性であった(非開示データ)。各構築物の構造とDNA配列をそれぞれ図3および表2に示す。

0013

ウイルスの複製を停止させるための方法および組成物を提供する。本法にはポリメラーゼ反応の開始に必要な欠陥タンパク質が関与する。この必須タンパク質をコード化するポリメラーゼ遺伝子領域に特定の変化を導入することができる。この突然変異はそのウイルスの複製の完全かつ不可逆的な停止をもたらす。さらに、この欠陥タンパク質をウイルスに供給することにより、正常なウイルス複製を中断させることができる。

0014

ポリメラーゼ遺伝子のある領域中に突然変異を導入または挿入することによって、欠陥タンパク質の生産がもたらされる。この欠陥タンパク質は複製のためのプライマーとして作用するのでウイルスの複製にとって必須であるとの仮説を立てているが、これに限定されるわけではない。しかし、この欠陥タンパク質はRNAおよびDNAポリメラーゼによる転写をプライムすることができない。あるいは、この欠陥タンパク質がプレゲノムRNAの包膜化を許さないのかもしれない(Hirschら,Nature 344:552-555(1990))。本抑制法にはウイルス複製の他の側面も関与し得るので、その特許性は提案されるいかなる機構にも属さないことを注記しておく。

0015

ウイルス複製の詳細な細部はウイルス間で異なるものの、その機構のある側面は共通している。例えば、レトロウイルスについて最初に記述されたRNA依存性DNA合成は、現在では他の様々な設定下における遺伝情報転移の手段であろうと認識されている。これには肝炎ウイルスおよびカリフラワーモザイクウイルスの複製が含まれる。一本鎖RNA鋳型から二本鎖DNAを合成するためには、RNA鋳型から第1DNA鎖を合成してその第1DNA鎖から第2DNA鎖を合成するための酵素、これらの2本の鎖のそれぞれについてのプライマー、および第2DNA鎖の合成を可能にすべく逆転写後にRNA鋳型を除去するための手段が必要である。

0016

本発明の目的のために、ウイルス複製におけるポリメラーゼ遺伝子産物の役割に注目する。ポリメラーゼ遺伝子中に特定の変化を導入することによって、そのウイルスの複製を効果的に停止させることができる。したがってRNAウイルスとDNAウイルスの両方、具体的にはRNAおよびDNAポリメラーゼのために転写をプライムするべくポリメラーゼ遺伝子産物を利用するウイルスに、本法を適用することができる。本発明の方法の対象となるウイルスには、肝炎ウイルスなどのヘパドナウイルスアデノウイルスヘルペスウイルスポックスウイルスピコルナウイルスオルトミクソウイルスパラミクソウイルスコロナウイルスペスチウイルスフラビウイルス、HIVなどのレトロウイルスが含まれる。

0017

本法にはポリメラーゼ遺伝子のある領域への突然変異の導入が含まれる。“突然変異の導入"とは遺伝子中のヌクレオチドの置換欠失、または付加(好ましくは置換)を意味する。突然変異を挿入するための領域を数種の方法で同定することができる。様々なウイルス株のポリメラーゼ遺伝子またはポリメラーゼ遺伝子産物間で保存されているアミノ酸位置を比較することによって、この領域を同定することができる。例えば種々のHBV株のポリメラーゼ遺伝子を比較したところ、アミノ酸位置164が高度に保存されていることがわかった(表1を参照のこと)。残基164に対応するヌクレオチド2798に単一の点突然変異を導入したところ、ウイルスの複製を中断させる欠陥タンパク質が生産された。

0018

この方法で、他のウイルスのポリメラーゼ遺伝子領域を重要なアミノ酸位置について精査することができる。これらの位置に突然変異を挿入し、得られた遺伝子産物をウイルス複製に対する効果について試験することができる。もう1つの方法は、RNAウイルスおよびDNAウイルスのポリメラーゼ遺伝子中に無作為に突然変異を導入することである。次いで、このような変化によって得られたタンパク質をウイルスDNA複製に対するそれらの効果について試験する。

0019

B型肝炎ウイルスを用いた研究から、ウイルス複製の停止機構にはプレゲノムRNAの包膜化に必要なタンパク質あるいはポリメラーゼ反応の開始に必要な結合性タンパク質の不完全な(欠陥のある)産出が関与すると思われる。このタンパク質は、HBVを含むすべてのヘパドナウイルスの複製生活環において重要な段階であるDNAの(−)鎖の逆転写のためのプライマーとして機能する。このことは、ポリメラーゼ反応の開始に必要なこのタンパク質中に突然変異を導入することによってウイルスの複製を抑制し得ることを示している。ヘパドナウイルスの場合、これには、プレゲノムRNAの包膜化および(−)鎖DNAの逆転写に必要なタンパク質中に突然変異を導入することが含まれる。

0020

レトロウイルスの場合、逆転写酵素付随するRNA-DNAハイブリッドに特異的なリボヌクレアーゼ活性であるリボヌクレアーゼH(RNaseH)によってポリプリン領域から生産されるウイルスRNAオリゴマーによって第2鎖合成がプライムされる。リボヌクレアーゼHはレトロウイルスポリメラーゼ遺伝子のタンパク質産物である。したがって、部位特異的突然変異誘発法によってRNase H遺伝子領域に突然変異を誘発し、次いでウイルス複製に対するその欠陥タンパク質産物の効果を試験することができる。

0021

突然変異誘発処理の方法は当該技術分野でよく知られている。とりわけ部位特異的突然変異誘発法を用いれば、標的タンパク質中のほとんどすべてのアミノ酸位置を意のままに操作することができる。Smith,M.,Ann.Rev.Genet.19:423(1985)(この文献は本明細書の一部を構成する)を参照のこと。また、“PCRTechnology"(Stockton Press,New York(1989))の61-70頁のHiguchi,R.,“Using PCR to Engineer DNA"をも参照のこと。

0022

ポリメラーゼ遺伝子中に突然変異を挿入するもう1つの手段は、ポリメラーゼ遺伝子の核酸断片構築することである。核酸合成法は知られている。一般的事項については“Synthesis and Applications of DNA and RNA"(Narang,S.編,Academic Press(1987))およびこの本に引用されている文献を参照のこと。したがって、そのウイルスの核酸配列あるいは少なくともそのウイルスのポリメラーゼ遺伝子の核酸配列がわかっている場合には、合成構築物を作成することができる。この合成構築物は天然の配列と比較して特定の部位に突然変異または変化を含有するであろう。次に、発現したタンパク質をウイルス複製に対するその効果について試験することができる。

0023

数種のウイルスゲノムのヌクレオチド配列公表されている。例えば、HIVのヌクレオチド配列はRatnerら,Nature 313:277-284(1985)に認められる。肝炎ウイルスのヌクレオチド配列はOkamotoら,J.Gen.Virol.69:2575-2583(1988)に認めることができ、ジェンバンク(Genbank)を通して利用できる。

0024

同定した標的ポリメラーゼ遺伝子領域の突然変異誘発処理後、ウイルスの複製に対するその突然変異の効果を試験することができる。ウイルスの複製は、複製産物またはウイルス転写物の存在を決定することによって検定できる。この方法で、細胞溶解液と細胞培養培地をウイルス転写物、タンパク質、および複製型ウイルスDNAの存在について分析することができる。ウイルスに特異的な転写物を検出するために、固相放射線免疫検定法を用いて、ウイルスがコード化しているタンパク質を細胞溶解液および培養培地の両方で同定することができる。具体的には、突然変異型ウイルスで細胞をトランスフェクトした後、細胞質DNAのサザンブロットハイブリッド形成を用いて、突然変異型ウイルスゲノムの複製能力を評価することができる。詳細については実験項を参照のこと。またハイブリッド形成の詳細については“Nucleic Acid Hybridization.A Practical Approach"(IRL Press,Washington,DC(1985))にも認められる。

0025

特定の突然変異型タンパク質が同定されたら、それを用いていくつかの方法でウイルスの複製を停止させることができる。この突然変異をDNA、RNAあるいはタンパク質レベルで供給することができる。

0026

欠陥タンパク質との接触はウイルスの複製を中断させるので、欠損性の複製を達成するためにこのタンパク質を投与することができる。より魅力的な方法は、ウイルスに感染した宿主細胞あるいはウイルス感染に対して感受性の宿主細胞中でこのタンパク質を発現させることである。この方法として、その宿主細胞を形質転換することができるベクター中に突然変異したポリメラーゼ遺伝子またはポリメラーゼ遺伝子領域を入れることができる。組織特異的もしくは普遍的に発現させるのに適したプロモーターの下流にこの遺伝子を置く。肝炎の場合、ウイルスDNAを肝炎特異的プロモーターの下流に置くことによって肝炎中で発現させる。他のウイルスについては、構成的プロモーターを使用することができる。

0027

宿主細胞中で発現させる場合、突然変異型遺伝子を発現ベクター中に機能的に連結し、これを宿主細胞中に導入することにより、その細胞による欠陥タンパク質の発現を可能にすることができる。適当な調節領域を伴う遺伝子を適切な配向読み枠で提供することによって発現が可能になる。遺伝子構築法は当該技術分野で知られている。具体的には、“Molecular Cloning,A Laboratory Manual"(Sambrookら編,Cold Spring Harbor Laboratory,第2版,Cold Spring Harbor,NY(1989))を参照のこと。

0028

極めて多様な転写および翻訳調節配列を使用することができる。調節シグナル高レベルに発現する特定の遺伝子に付随しているアデノウイルス、ウシパピローマウイルスシミアンウイルスなどのウイルス供給源からこれらのシグナル誘導することができる。あるいは、アクチンコラーゲンミオシンなどの哺乳類発現産物のプロモーターを使用することもできる。

0029

真核宿主における突然変異型ウイルスDNAの発現には真核性調節領域の使用が要求される。一般にこのような領域にはRNA合成の開始を指示するに足るプロモーター領域が含まれる。代表的なプロモーターにはマウスメタロチオネインI遺伝子のプロモーター(Hammer,D.ら,J.Mol.Appl.Gen.1:273-288(1982))、ヘルペスウイルスのTkプロモーター(McKnight,S.,Cell 31:355-365(1982))、SV40初期プロモーター(Benoistら,Nature 290:304-310(1981))などが含まれる。他の有用なプロモーターにはアルブミンアルファフェトプロテイン、アルファ・アンチトリプシンレチノール結合性タンパク質などの肝臓特異的プロモーターが含まれる(Fang,X.J.ら,Hepatology 10:781-787(1989))。

0030

望ましい突然変異型ウイルスDNAおよび機能的に連結されたプロモーターを受容細胞中に、直線分子あるいはより好ましくは閉環共有結合環状分子でもあり得る非複製DNAまたはRNA分子として導入することができる。このような分子自律的に複製することができないので、目的のレセプター分子の発現は導入された配列の一時的発現を介して起こり得る。あるいは、所望により、導入した配列の宿主染色体への組込みを介して永続的な発現も起こり得る。

0031

導入される配列を、受容宿主中で自律的に複製することができるプラスミドまたはウイルスベクター中に組込むこともできる。cDNA発現ベクターにはOkayama,H.,Mol.Cell.Biol.3:280(1983)などに記述されているものが含まれる。ウイルスベクターにはWO89/07136およびその引用文献に開示されているレトロウイルスベクター(特に肝細胞中での発現用)が含まれる。

0032

この方法では、特定の突然変異をコード化している対応する核酸配列またはその一部分をウイルス性疾患に罹っている宿主の細胞中に導入する。その核酸配列の発現はそのウイルスの複製を妨害するタンパク質をもたらす。

0033

ウイルスの複製を破壊するもう1つの手段は、宿主細胞にアンチセンスRNAを提供することである。アンチセンスRNAをウイルスに提供することもまた、複製を妨害する。アンチセンス調節については、Rosenbergら,Nature 313:703-706(1985);Preissら,Nature 313:27-32(1985);Melton,Proc.Natl.Acd.Sci.USA82:144-148(1985);Kimら,Cell 42:129-138(1985);Izantら,Science 229:345-352(1985)に記述されている。アンチセンスRNAを供給することにより、天然に存在するRNAの作用が減少する。したがってアンチセンス調節は、転写されるDNA配列がそのウイルスの目的のポリメラーゼ遺伝子またはポリメラーゼ遺伝子領域に対して少なくとも部分的には相補的であるような遺伝子からなるDNA配列を細胞中に導入することによって達成され得る。上述のように、導入されるDNAはその宿主細胞によって認識される転写開始領域の転写制御下にあるであろう。導入されたDNAの転写はウイルスのRNAと相補的なアンチセンスRNAの複数コピーをもたらし、そして天然に存在するRNAの作用の減少をもたらすであろう。さらに、特定のウイルス遺伝子領域をまたぐリボザイム治療剤として機能し得る(Sarver,N.ら,Science 247:1222-1225(1990))。

0034

突然変異型ウイルスゲノムを構築し、それを用いて宿主細胞をトランスフェクトおよび感染させ得ることも理解される。この突然変異型ウイルスは欠陥タンパク質を発現させることができる。したがって、この細胞はウイルスの攻撃を効果的に撃退することができる。宿主が既に非改変型のウイルスに感染している場合には、欠陥タンパク質を発現する突然変異型ウイルスに宿主を感染させることにより、非改変型ウイルスの複製の停止を導くことができる。

0035

本発明の方法はウイルス感染に対処するためだけでなく、ウイルス感染を予防するためにも利用できる。ウイルス感染を予防したり、あるいは宿主にウイルスが侵入した途端にそのウイルスを撃退するために、欠陥タンパク質または欠陥タンパク質をコード化する核酸を含有するベクターからなる組成物を投与することができる。

0036

複製を抑制するために欠陥ポリメラーゼタンパク質を使用することを総論的に議論しているが、欠陥タンパク質がそれ自身のウイルスに特異的であることは理解される。すなわち、B型肝炎ウイルスポリメラーゼ遺伝子中の突然変異はB型肝炎ウイルスの複製を抑制もしくは停止させる欠陥タンパク質をもたらすであろう。

0037

上述のように、本発明の組成物および方法を用いることにより、極めて多様なRNAウイルスおよびDNAウイルスのウイルス複製を停止させることができる。

0038

本発明の一態様として、肝炎ウイルス、具体的にはB型肝炎ウイルスの複製を停止させるために本発明の方法および組成物を利用する。部位特異的突然変異誘発法により、少なくとも1つの突然変異をこのウイルスのゲノム中に挿入することができる。ヌクレオチド2606付近からヌクレオチド2823付近までの範囲、一般的にはヌクレオチド2700付近からヌクレオチド2900付近の範囲、好ましくはヌクレオチド2798付近にあるヌクレオチド位置にこの突然変異を導入することができる。位置2798に突然変異を挿入する場合、その突然変異はAからCあるいはTからCへの変化を伴うであろう。この特定の突然変異はThrまたはSerからProへの対応するアミノ酸変化をもたらすであろう(表1を参照のこと)。これによって得られる突然変異は、B型肝炎ウイルスの複製を完全かつ不可逆的に停止させる。

0039

HBV複製を停止させるためには、次いで、突然変異を有するDNA種逆転写酵素反応における欠陥3.5プレゲノムRNAをプライムするために用いられる。あるいは、欠陥タンパク質をコード化するウイルスDNAの特定の断片を肝臓特異的プロモーターの制御下で宿主細胞に供給することができる。さらに、肝臓特異的プロモーターによって駆動される突然変異を含有するヒトHBVゲノムを、野生型肝炎ウイルスの複製の停止を導く感染性の妨害ウイルス粒子を生産するように構築することができる。

0040

もう1つの態様として、HIV複製を抑制することができる。つまり、このウイルスのゲノム中に少なくとも1つの突然変異を挿入する。この突然変異をHIVポリメラーゼ遺伝子のヌクレオチド領域中に導入する。一般的には、ヌクレオチド1200付近からヌクレオチド5500付近までの範囲、より一般的にはヌクレオチド1500付近からヌクレオチド4700付近までの範囲にあるヌクレオチド位置に突然変異を導入する。得られた突然変異を、本明細書に開示する方法を用いて、ウイルスの複製に対する効果について調べるであろう。

0041

ウイルス複製停止の機構にはプレゲノムRNAの包膜化に必要なタンパク質あるいはポリメラーゼ反応の開始に必要な結合性タンパク質の不完全な(欠陥のある)産生が関与すると考えられる。このタンパク質は(−)鎖DNAの逆転写のためのプライマーとして機能する。しかしこのウイルス複製の抑制が、ポリメラーゼ遺伝子内に突然変異を挿入すること以外には、本明細書に開示する特定の方法に依存しないことは理解される。したがって、実際には他の機構あるいは別個の機構がウイルス複製の停止に関与していることもあり得る。

0042

以下の実施例は例示のために提供するのであって、限定を意図するものではない。

0043

実施例1
HBV感染に対して血清学的免疫性である個体の肝臓中のエピソームHBVDNAが過去に同定されている(Blum,H.E.ら,Liver 8:307-316(1988))。この個体の肝臓から得たウイルスゲノムのクローニング、微細構造分析、および生物学的特性化が行われた。クローン化したゲノムは、最も密接に関連する血清型adw2の感染性HBV(B.N.Fields,R.Jaenisch及びC.F.Fox編,“Animal virus genetics"(Academic Press Inc.,New York(1980))中57-70頁のValenzuela,P.ら,“The nucleotide sequence of the hepatitis B viral genome and the identification of the major viral genes")と比較して48塩基変化を示した。これらの突然変異のうちの1つはウイルスゲノムの前核(pre-core)領域の末端終止コドンを作っており、これが肝炎B e抗原(HBeAg)の形成を妨げていた。Huh7肝癌細胞中へのトランスフェクションによるこのクローン化DNAの機能分析は、ウイルスDNA複製を遮断する欠陥を除き、すべての主要なウイルス転写物、ウイルス核およびエンベロープタンパク質の合成能力を示した。DNA合成に関するこの欠陥の遺伝的根拠が、スレオニンまたはセリンプロリンによる置換をもたらす位置2798の一つのミスセンス突然変異であることがわかった。この発見はこのポリメラーゼ遺伝子領域の(おそらく末端タンパク質かあるいはプレゲノムRNAの包膜化に必要なタンパク質をコード化するという)ウイルスの生活環における重要な役割を示唆すると共に、ウイルスの複製を停止させるための特定の治療戦略を示唆している。

0044

この患者の肝臓中のエピソームHBVDNAの微細構造を明らかにするため、3対のHBV特異的プライマー(表1)を用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって全肝臓DNAからウイルスゲノムを増幅した。増幅したウイルスDNA断片をpGEM-7中にクローン化することにより、予期される3種の重複HBVクローン1-8、2-13および3-1(表1)を得た。これらのクローンを用いてHBVDNA分子再構築し、pGEM-7中にクローン化することにより、全長HBVゲノム5-15を得た。これらのクローンの直接配列決定を行うことにより、HBVゲノム5-15の完全なヌクレオチド配列を決定した(データはGenbankに提出した)。このゲノムは3221塩基の長さを有し、既知のHBV DNAと同一の遺伝的構成である。公表されたDNA配列との比較により、HBsAgサブタイプadw2(B.N.Fields,R.Jaenisch及びC.F.Fox編,“Animal virusgenetics"(Academic Press Inc.,New York(1980))中57-70頁のValenzuela,P.ら,“The nucleotide sequence of the hepatitis B viral genome and the identification of the major viral genes")と最も密接な相同性を有することが明らかになった。このサブタイプと比較したところ、HBV5-15中に合計63個の突然変異が検出され、そのうち48個はアミノ酸置換をもたらすものであった。PCR増幅によって誘発された突然変異を排除するために、別個のPCR増幅産物のクローニングと配列決定を行うことにより、アミノ酸変化を導く突然変異を確認した。突然変異はすべての読み取り枠中に同定され、この突然変異体を除けば異なるHBV DNAと他のヘパドナウイルスの間で最も高度な相同性を示す領域(参考文献3およびGenbankから入手できるデータ)であるプレC/C領域中に最も高い頻度(1000塩基あたり26塩基)で同定された。これらの突然変異はプレC読み枠の末端に枠内終止コドンをもたらし、それゆえに肝炎B e抗原(HBeAg)への前駆体であるプレC/Cタンパク質をコード化することができなくなったのである。プレC読み枠の末端の終止コドンは患者の肝細胞性癌腫中に組み込まれたウイルスDNA中には認められず(非開示データ)、このことはこの突然変異が感染性ウイルス中に存在したのではなく、むしろウイルスDNAの組込み後、非腫瘍性の肝臓におけるウイルス複製の進行中に起こったことを示唆している。

0045

上述した構造上の特徴からこのウイルスの生物学に関して直接的な結論を引き出すことができなかったので、この突然変異ウイルスゲノムの機能的な能力をインビトロで分析した。Huh7肝癌細胞(Nakabayashi,H.ら,Cancer Res.42:3858-3863(1982))のトランスフェクション後、細胞溶解液および細胞培養培地をウイルス転写物、タンパク質および複製型ウイルスDNAの存在について分析した。図1に示すように、HBV特異的プローブとのハイブリッド形成実験によって、頭-尾型(HTD)adw(“野生型")でトランスフェクションした細胞およびHTD5-15(“突然変異型")でトランスフェクションした細胞の両方に、それぞれ2.2および3.6kb長の2つの主要な転写物が存在することが明らかになった。トランスフェクションしなかった細胞(非開示データ)中、あるいは不完全HBVクローン1-8(表I)でトランスフェクションした細胞中にはウイルス転写物が存在しなかった。メッセージのレベルはHTD5-15でトランスフェクションした細胞中よりHTDadwでトランスフェクションした細胞中のほうが高かったが、2.2kbサブゲノムメッセージに対する3.6kbプレゲノムメッセージの比率は極めて類似しているようである。これらの発見は突然変異型ウイルスゲノムがすべての主要なHBV転写物を合成する能力を有することを示している。

0046

HBVがコード化しているタンパク質を、細胞溶解液および培養培地の両方で、固相放射線免疫検定法によって同定した。HTD adwでトランスフェクションしたHuh7細胞およびHTD 5-15でトランスフェクションしたHuh7細胞は共にかなりの量のHBsAgおよびHBc/eAgを培地中に分泌し、一方、不完全クローンHBV 1-8でトランスフェクシンした細胞はウイルス抗原を生産しない(非開示データ)。位置1899の終止コドン突然変異から予期されるように、代謝的ラベル化および免疫沈降研究により、HTD 5-15でトランスフェクションした細胞が大きいプレC/Cタンパク質とその小さいプロセシングされた生成物(通常HBeAgとして細胞培養培地中に分泌される)を合成する能力を有さないことが明らかになった(非開示データ)。

0047

突然変異型ゲノム5-15の複製能力を評価するために、トランスフェクション後のHhu7細胞から単離した細胞質DNAのサザンブロットハイブリッド形成によってHBVDNA種を分析した。図2に示すように、複製性のHBV DNA種がHTD adwでトランスフェクションした細胞中にのみ検出され、不完全クローンHBV 1-8(陰性対照)またはHTD 5-15でトランスフェクションした細胞中にはウイルスDNAが存在しなかった。HTD adwでトランスフェクションした細胞中のウイルスDNA配列は一本鎖で部分的に二本鎖複製型中間体ならびに完全な弛緩環状分子である(Blum,H.E.ら,Virology 139:87-96(1984))。

0048

HTD adwまたはHTD 5-15でトランスフェクションされた細胞の細胞溶解液および培養培地中のウイルス抗原およびDNA種を、CsCl密度勾配遠心分離した後、HBsAgおよびHBc/eAgならびにHBVDNA配列について個々の分画を分析することによってさらに特徴づけた。HTD adwでトランスフェクションした細胞中ではウイルスDNAがHBc/eAg(核粒子)に結合しており、培養培地中ではHBsAg(ウイルス粒子)およびHBc/eAg(核粒子)に結合している。予想どおり、HTD 5-15でトランスフェクションしたHuh7細胞から得られる細胞溶解液または培養培地のCsCl分画中では、HBsAgおよびHBcAgについては陽性であったものの、ウイルスDNA種は検出不能であった。これらの発見は、Huh7細胞はウイルス複製を支持するが、突然変異型HBVゲノム5-15はこの系中で複製できないということを立証している。

0049

先端欠失型複製可能adwHTD構築物adw R9中にこの突然変異型ウイルスゲノムの特定の領域をサブクローニングすることにより、この複製欠損性の分子的根拠を決定した(図3)。特定のDNA断片を交換し、クローニングし、Huh7肝癌細胞をトランスフェクションすることにより、複製欠損性の原因である突然変異の位置を突然変異型ウイルスゲノムマッピングの位置2606(Apa1)と2823(BstEII;図3および図4)の間の領域に特定することができた。突然変異型ウイルスゲノムはこの領域内でadw2(B.N.Fields,R.Jaenisch及びC.F.Fox編,“Animal virus genetics"(Academic Press Inc.,New York(1980))中57-70頁のValenzuela,P.ら,“The nucleotide sequence of the hepatitis B viral genome and the identification of the major viral genes")と比較してミスセンス突然変異を2つだけ有する(ヌクレオチド位置2798および2820)。adw R9またはR9 RB 5-15(図3)の部位特異的突然変異誘発処理と上記2798または2820突然変異のいずれかを保持するプライマーによって、PCR増幅で4種のクローンを作成した(表3):位置2798にAからCへの突然変異を有するadw R9(クローン2-6)、位置2820にGからCへの突然変異を有するadw R9(クローン5-3)、位置2798にCからAへの突然変異を有するAva Ia(クローン6-6)、および位置2820にCからGへの突然変異を有するAva Ia(クローン3-3)。Huh7肝癌細胞をこれらのクローンでトランスフェクションした後、クローンadw R9の位置2798におけるAからCへの突然変異がウイルスDNAを複製欠損型にし、一方、同じ位置におけるAva 1aのCからAへの突然変異が複製能力を回復させることを立証することができた(図4)。対照的に、位置2820における突然変異は親構築物(クローン3-3およびクローン6-6)の複製能力や複製欠損性に影響を与えなかった。これらの発見は、ウイルスゲノムの位置2798におけるAからCへの突然変異(これはThrからProへの置換を導く)が上記患者の肝臓から単離されたこの突然変異型ウイルスゲノムの複製欠損の分子的根拠であることを明確に立証している。

0050

ヘパドナウイルスポリメラーゼの構造およびハイドロパシー比較分析(Khudyakov,Y.E.ら,FEBSLetters 243:115-118(1989))ならびに実験的研究(Bosch,V.ら,Virology 166:474-485(1988);Bartenschlager,R.ら,EMBO J.7:4185-4192(1988);Schlicht,H.-J.ら,Cell 56:85-92(1989))は、ウイルスポリメラーゼ遺伝子の5'プライム領域が“末端タンパク質"(TP)をコード化していることを示唆している。このタンパク質は(−)鎖DNAの5'末端に結合し、おそらくヘパドナウイルスの複製戦略の中心的な特徴である逆転写のプライマーとして機能すると思われる(Seeger,C.ら,Science 232:477-484(1986);Will,H.ら,J.Virol.61:904-911(1987))。カモB型肝炎ウイルスポリメラーゼ遺伝子の突然変異分析は、この遺伝子の5'領域への枠内挿入が活性ポリメラーゼの生産を実際に除去することを立証した(Schlicht,H.-J.ら,Cell 56:85-92(1989))。このデータは、ポリメラーゼ遺伝子のTP領域がウイルスの複製に重要であることを強く示唆している。さらに、プレゲノムRNAのパッケージング(ゲノム詰め込み)には機能的に無傷のポリメラーゼ遺伝子が必要であると思われる。この解釈合致して、筆者らの突然変異体中のヌクレオチド位置2798に同定された突然変異、あるいは“野生型"ウイルスの突然変異誘発処理によって作成した突然変異は、ウイルスの複製を停止させる。この突然変異の意義は、公表されたHBVDNA配列(Okamotoら,J.Gen.Virol.69:2575-2583(1988))およびGenbankを通して利用できる配列との比較によって示されるように、ポリメラーゼ遺伝子産物の位置164のアミノ酸がすべてのHBV株において高度に保存されている(11/14Thr、3/14Ser)という事実によって強調される。この停止の機構はおそらくTPまたはゲノムRNAの包膜化に関与するタンパク質のThrまたはSerからProへの置換による立体配座の変化を介して媒介されると思われる。これらのタンパク質の機能に対するこのポリメラーゼ遺伝子領域の寄与を明確にするための研究が現在行われている。

0051

野生型HBVDNAおよび突然変異型HBV DNAによるHuh7肝癌細胞の同時トランスフェクションは、この突然変異体が野生型HBVの複製を停止させる能力を有することを立証した。表4を参照のこと。HBVおよび非関連DNAをHuh7細胞のトランスフェクションに使用した場合、HBVウイルスDNAと全細胞DNAとのハイブリッド形成実験によって立証されるように、肝炎ウイルスの複製は妨害されなかった。突然変異型ウイルスDNAと同時トランスフェクションした細胞中にはウイルスDNAが検出されず、このことはこの突然変異体が野生型肝炎ウイルスの複製を停止させ得ることを示している。

0052

非突然変異型ウイルスの複製を停止させるという突然変異型ウイルスの能力は重要な含意を有する。ウイルスに感染している個体または宿主において、この突然変異型ウイルスは感染細胞におけるウイルスの複製を停止させることができ、ウイルスが他の細胞に蔓延することを防止することができる。

0053

表 2:患者の肝臓から得たHBVDNAのPCR増幅とクローニングに用いたHBV特異的オリゴヌクレオチドプライマーの位置と配列
ウイルス性肝炎経歴を有する73白人男性から転移性肝細胞性癌腫(HCC)が提供された。放射線免疫検定法で決定したところ、HBV血清学はHBsAgおよび抗HBcIgMに関して陰性であり、抗HBcIgG、抗HBeおよび抗HBsに関して陽性であった(Abbott,North Chicago,IL)。スポットブロット・ハイブリッド形成によれば、血清中にHBV DNAは検出されなかった。検屍解剖で得た肝臓およびHCC組織を、使用するまで−80℃で保存した。Taqポリメラーゼならびに5'および3'末端に制限酵素部位を保持するプライマー(表2)を用いて肝臓DNAを増幅した。Saikiら(Saiki,R.ら,Science 239:487-4491(1988))に従ってポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。簡単に述べると、DNA 50ng、Taqポリメラーゼ(Perkin-Elmer Cetus)2.5単位、各dNTP 200μM、各プライマー 1μM、50ml/l KCl、10mM Tris-HCl(pH8.3)、1.5mM MgCl2、および0.01%(wt/vol)ゼラチンを含有する50μl反応体積中で標的配列を増幅した。プログラマブルDNAサーマルサイクラー(Perkin-Elmer Cetus)中で40サイクルこの反応を行った。試料を1.5分間94℃に加熱し(DNAの変性)、1.5分間50℃に冷却し(プライマーとのハイブリッド形成)、72℃で3分間インキュベートした(ポリメラーゼ反応)。PCR後、鎖の合成を完結させ、適当な制限エンドヌクレアーゼによる切断を保証するために、クレノーポリメラーゼ5単位を添加した。このPCR混合物エチジウムブロミドの存在下1.25%アガロースゲルで分画した。標的配列を含有するバンドを取り出し、ガラスビーズ(Geneclean,Bio 101 Inc.,La Jolla,CA)によってDNAを単離した。精製した断片をpGEM-7Zf(+)(Promega)中に連結し、DH5αF'細胞(BRL)中にクローン化した。クローン化したDNAを標準的なプラスミド調製法によって調製した。3種のクローン1-8、2-13および3-1(表2)を用いて完全なサイズのウイルスゲノム(クローン5-15)を再構築した。トランスフェクション実験のために、HBV DNAHBsAgサブタイプadw(“野生型")の頭-尾型二量体とHBV DNA 5-15の頭-尾型二量体をpGEM-7Zf(+)中に再構築し、上述のようにクローン化した。Gem SeqRT系(Promega)またはT7ポリメラーゼ系(Pharmacia)を用いて記述されているようにして(Mierendorf,R.C.ら,Meth.Enzymol.152:556-562(1987))、DNA配列分析を行った。

0054

表 3:インビトロで突然変異誘発処理したHBVDNAクローンおよびそれらの親構築物のDNA配列
2312から2333までの領域にまたがる属プライマー(CC-22)と、位置2798におけるTからGへの突然変異(ATC-40)または位置2820におけるCからGへの突然変異(ACC-40)のいずれかを保持する2833から2794までの領域にまたがるプライマーを用いて、クローンadw R9およびR9 5-15(図3参照)をPCRで増幅した(表1参照)。増幅した断片をアガロースゲル電気泳動およびGeneclean(Bio 101 Inc.,La Jolla,CA)で精製した。ApaIおよびBstEIIで消化した後、その断片をadw R9(図3参照)中にクローニングすることにより、期待通り単一の点突然変異を保持する4種のクローン2-6、3-3、5-3および6-6を得た。

0055

表 4:突然変異型HBVとの同時トランスフェクション
Huh7細胞を、1)野生型HBVおよび非関連DNA、ならびに2)野生型HBVおよび変異型HBV DNAで同時トランスフェクションした。同時トランスフェクションに使用した非関連DNAはネオマイシン耐性保持ベクターである。 同時トランスフェクション後、全細胞DNAを抽出し、次いでラベルしたHBV DNAとハイブリッド形成させることにより、ウイルスの複製を決定した。抽出後、全細胞DNAをDNaseおよびRNaseで消化し、次いでショ糖混合物中で遠心分離した。このショ糖勾配からウイルスDNAを取り出し、ゲル電気泳動にかけた。電気泳動後、DNAをニトロセルロースに移し、ラベルしたウイルスDNAで処理した。得られたオートラジオグラフは、野生型HBVおよび非関連DNAで同時トランスフェクションした細胞中にウイルスDNAが存在することを示した。野生型HBVおよび突然変異型HBV DNAでトランスフェクションした細胞中にはウイルスDNAが検出されなかった。

0056

実施例2:アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドによるB型肝炎ウイルス,の阻害
HBV遺伝子の発現と複製に対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの効果を分析した。HBV-DNAによるヒト肝癌細胞のトランスフェクション(Blumら,J.Virol. 682:1836-42(1991))(対照)は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)とB型肝炎e抗原(HBeAg)の合成と分泌をもたらした。HBV-DNAとアンチセンス極性オリゴデオキシヌクレオチド(ATC-40:下記参照)との同時トランスフェクションはHBsAgとHBeAgの合成を完全に遮断すると共にHBVの複製をも完全に遮断した(図5)。センス極性の同じオリゴデオキシヌクレオチド(GAT-40)はウイルス抗原の生産または複製に対して効果を有さなかった。

0057

これらのデータは、HBV-特異的アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドがウイルス遺伝子の発現と複製を遮断できることを示している。

0058

オリゴヌクレオチド調製
1.adw 2833-2794(2798 5-15 TからGへの突然変異)
ATC-40 5' ATATGGTGAC CCGCAAAATG ATGCGCTACGTGTGGGTTCC 3'
2.adw 2833-2794(2820 5-15 CからGへの突然変異)
ACC-40 5' ATATGGTGAC CCGGAAAATG ATGCGCTACG TGTGGTTTCC 3'

0059

なお、本明細書で言及したすべての特許出願および刊行物は本発明が関連する技術分野の当業者技術水準を示している。すべての刊行物と特許出願は本明細書の一部を構成する旨を特に個別に示したかの如くに本明細書の一部を構成する。また、明瞭な理解を目的として明示および例示のために上述の発明をいくらか詳細に記述したが、添付の請求の範囲の範囲内でいくらかの改変および修飾を行い得ることは明らかであろう。

図面の簡単な説明

0060

図1突然変異型HBVゲノム5-15がHuh7肝癌細胞中で転写されることを示すノーザンブロット
図2突然変異型HBVゲノム5-15が複製欠損性であることを示すサザンブロット。
図3突然変異型HBVゲノムの構造を表す模式図。
図4ヌクレオチド2798がHBV DNAの複製にとって重要であることを示すサザンブロット。
図5アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドATC-40によるB型肝炎ウイルスの複製阻害を表すグラフ

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