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技術 高強度・耐損傷レ−ル及びその製造方法

出願人 バーリントン・ノーザン・レールロード・カンパニーJFEエンジニアリング株式会社
発明者 ゴードン・オー・ベシュジョン・エー・ホブランド古川遵山中秀行福田耕三堀田知夫片岡譲上田正博井出哲成伊藤篤義之鷹雄
出願日 1991年7月29日 (28年10ヶ月経過) 出願番号 1991-188897
公開日 1994年1月25日 (26年5ヶ月経過) 公開番号 1994-017193
状態 拒絶査定
技術分野 物品の熱処理
主要キーワード 損傷発生率 側部冷却 頭部幅 垂直加重 接触環境 木製枕木 最大接触圧力 耐磨耗特性
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1994年1月25日)のものです。
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図面 (12)

構成

Cが0.60乃至0.85重量%、Siが0.1乃至1.0重量%、Mnが0.5乃至1.5重量%、Pが0.035重量%以下、Sが0.040重量%以下、Alが0.05重量%以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなる高強度・耐損傷レ−ルであり、コ−ナ部2及び頭側部3の硬度がHB 341乃至405であり、頭頂部1の硬度が該コ−ナ部及び頭側部の硬度の0.9以下である。

効果

この発明によれば、ヘッドチェック等の過大接触圧力に伴って発生する頭頂部の損傷を抑制することができ、レ−ル寿命延長させることができる。

概要

背景

概要

Cが0.60乃至0.85重量%、Siが0.1乃至1.0重量%、Mnが0.5乃至1.5重量%、Pが0.035重量%以下、Sが0.040重量%以下、Alが0.05重量%以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなる高強度・耐損傷レ−ルであり、コ−ナ部2及び頭側部3の硬度がHB 341乃至405であり、頭頂部1の硬度が該コ−ナ部及び頭側部の硬度の0.9以下である。

この発明によれば、ヘッドチェック等の過大接触圧力に伴って発生する頭頂部の損傷を抑制することができ、レ−ル寿命延長させることができる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
4件

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請求項1

Cが0.60乃至0.85重量%、Siが0.1乃至1.0重量%、Mnが0.5乃至1.5重量%、Pが0.035重量%以下、Sが0.040重量%以下、Alが0.05重量%以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなり、そのコ−ナ部及び頭側部の硬度がHB 341乃至405であり、その頭頂部の硬度が該コ−ナ部及び頭側部の硬度の0.9以下であることを特徴とする高強度・耐損傷レ−ル。

請求項2

Cが0.60乃至0.85重量%、Siが0.1乃至1.0重量%、Mnが0.5乃至1.5重量%、Pが0.035重量%以下、Sが0.040重量%以下、Alが0.05重量%以下であり、0.05乃至1.5重量%のCr、0.01乃至0.20重量%のMo、0.01乃至0.10重量%のV、0.1乃至1.0重量%のNi、0.005乃至0.50重量%のNbのうち1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、そのコ−ナ部及び頭側部の硬度がHB 341乃至405であり、その頭頂部の硬度が該コ−ナ部及び頭側部の硬度の0.9以下であることを特徴とする高強度・耐損傷レ−ル。

請求項3

熱間圧延により、Cが0.60乃至0.85重量%、Siが0.1乃至1.0重量%、Mnが0.5乃至1.5重量%、Pが0.035重量%以下、Sが0.040重量%以下、Alが0.05重量%以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなるレ−ル素材を作製する工程と、このレ−ル素材の頭部をオ−ステナイト域温度に保持した状態で、冷却ヘッダの複数の冷媒噴出ノズルからレ−ル素材に冷媒を吹き付けてレ−ル頭部を冷却する工程と、を有し、前記冷却工程は、前記冷却ヘッダのノズル個数ノズル径、および冷媒の噴出圧力のうち少なくとも1種を調節して、レ−ル頭頂部の冷却速度がレ−ル頭側部の冷却速度よりも遅くなるように実施されることを特徴とする高強度・耐損傷レ−ルの製造方法。

請求項4

熱間圧延により、Cが0.60乃至0.85重量%、Siが0.1乃至1.0重量%、Mnが0.5乃至1.5重量%、Pが0.035重量%以下、Sが0.040重量%以下、Alが0.05重量%以下であり、0.05乃至1.5重量%のCr、0.01乃至0.20重量%のMo、0.01乃至0.10重量%のV、0.1乃至1.0重量%のNi、0.005乃至0.50重量%のNbのうち1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるレ−ル素材を作製する工程と、このレ−ル素材の頭部をオ−ステナイト域温度に保持した状態で、冷却ヘッダの複数の冷媒噴出ノズルからレ−ル素材に冷媒を吹き付けてレ−ル頭部を冷却する工程と、を有し、前記冷却工程は、前記冷却ヘッダのノズル個数、ノズル径、および冷媒の噴出圧力のうち少なくとも1種を調節して、レ−ル頭頂部の冷却速度がレ−ル頭側部の冷却速度よりも遅くなるように実施されることを特徴とする高強度・耐損傷レ−ルの製造方法。

請求項5

レ−ル素材をオ−ステナイト域温度に保持する工程と、冷却ヘッダのノズル個数、ノズル径、および冷媒の噴出圧力のうち少なくとも1種を調節して、冷却ヘッダの複数の冷媒噴出ノズルからレ−ル素材に冷媒を吹き付けて、レ−ル頭部の部位により冷却速度が異なるようにレ−ル頭部を冷却する工程と、を有することを特徴とするレ−ルの制御冷却方法

技術分野

0001

この発明は、高剛性軌道を有する高軸重鉄道曲線に用いられる耐磨耗用の高強度・耐損傷レ−ルに関し、特に、使用初期における車輪とのなじみ性を改善し、頭頂部耐損傷性を向上させた高強度・耐損傷レ−ル及びその製造方法に関する。

0002

レ−ルの頭部は、一般に頭頂部、コ−ナ部、頭側部、及び部を有している。そして、高軸重鉄道の急曲線部木製枕木を使用した軌道で、従来から用いられている耐磨耗用高強度レ−ルは、コ−ナ部及び頭側部と、頭頂部との間で、硬度が等しくなるように熱処理されて形成されている。従って、材質の面からすると、レ−ルコ−ナ部と、レ−ル頭頂部とで耐磨耗特性は同等となっている。

0003

しかしながら、車輪とレ−ルとの接触は複雑であり、レ−ル頭部の位置によって接触環境が異なっている。高軸重鉄道急曲線部ではレ−ルゲ−ジコ−ナ部(内側のコ−ナ部)及びレ−ル頭側面に作用するすべりが大きく、一方、接触圧力はレ−ル頭頂部及びレ−ルゲ−ジコ−ナ部で大きい。この結果、従来の耐磨耗用高強度レ−ルではレ−ルゲ−ジコ−ナ部及びレ−ル頭側部は、レ−ル頭頂部よりも磨耗が促進される。従って、レ−ル頭頂部は、常にレ−ルゲ−ジコ−ナ部よりも磨耗が遅く進行し、車輪からの接触圧力はレ−ル頭頂部中央の磨耗が遅い部分で最大となる。

0004

このようなレ−ル頭部の磨耗特性が均一な従来の耐磨耗用高強度レ−ルは、前述のような車輪との接触状態となるため、新品時の使用初期において車輪とのなじみが遅く、局所的な過大接触応力が長く存在し、疲労性欠陥が発生しやすい。また、これに加え、レ−ルと車輪とがなじんだ後においても、レ−ル頭頂部に最大接触圧力が作用する。木製枕木を使用した軌道では、このような状態でも問題は少ないが、コンクリ−ト枕木を使用した高剛性の軌道の場合、鉄道車両の通過に伴う衝撃的な最大接触圧力が増加するため、レ−ル頭頂部中央に、ヘッドチェックと呼ばれる損傷が発生するという問題が顕在化している。

0005

従来、このようなヘッドチェックを防止するために、レ−ルに疲労が蓄積する前にレ−ル頭部表層を削正する方法を採用しているが、削正には時間と費用がかさみ、また最適な削正時間を決定することが困難である。

0006

この発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、鉄道車両の輪重を軽減することなく、レ−ル頭頂部中央に発生する最大接触圧力を緩和し、レ−ルの削正を行わなくてもレ−ル頭頂部中央に疲労が蓄積せず、耐接触疲労損傷性に優れ、かつ車輪との初期なじみ特性が良好な高強度・耐損傷レ−ル及びその製造方法を提供することを目的とする。

0007

この発明に係る高強度・耐損傷レ−ルは、第1に、Cが0.60乃至0.85重量%、Siが0.1乃至1.0重量%、Mnが0.5乃至1.5重量%、Pが0.035重量%以下、Sが0.040重量%以下、Alが0.05重量%以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなり、そのコ−ナ部及び頭側部の硬度がHB 341乃至405であり、その頭側部の硬度が該コ−ナ部及び頭側部の硬度の0.9以下であることを特徴とする。

0008

また、第2に、Cが0.60乃至0.85重量%、Siが0.1乃至1.0重量%、Mnが0.5乃至1.5重量%、Pが0.035重量%以下、Sが0.040重量%以下、Alが0.05重量%以下であり、0.05乃至1.5重量%のCr、0.01乃至0.20重量%のMo、0.01乃至0.10重量%のV、0.1乃至1.0重量%のNi、0.005乃至0.50重量%のNbのうち1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、コ−ナ部及び頭側部の硬度がHB 341乃至405であり、レ−ル頭部の硬度が該コ−ナ部及び頭側部の硬度の0.9以下であることを特徴とする。

0009

この発明に係る高強度・耐損傷レ−ルの製造方法は、熱間圧延により上記第1又は第2のレ−ルの組成を有するレ−ル素材を作製する工程と、このレ−ル素材の頭部をオ−ステナイト域温度に保持した状態で、冷却ヘッダの複数の冷媒噴出ノズルからレ−ル素材に冷媒を吹き付けてレ−ル頭部を冷却する工程とを有し、前記冷却工程は、前記冷却ヘッダのノズル個数ノズル径、および冷媒の噴出圧力のうち少なくとも1種を調節して、レ−ル頭頂部の冷却速度がレ−ル頭側部の冷却速度よりも遅くなるように実施されることを特徴とする。

0010

この発明に係るレ−ルの制御冷却方法は、レ−ル素材をオ−ステナイト域温度に保持する工程と、冷却ヘッダのノズル個数、ノズル径、および冷媒の噴出圧力のうち少なくとも1種を調節して、冷却ヘッダの複数の冷媒噴出ノズルからレ−ル素材に冷媒を吹き付けて、レ−ル頭部の部位により冷却速度が異なるようにレ−ル頭部を冷却する工程とを有することを特徴とする。

0011

このような高強度・耐損傷レ−ルにおいては、レ−ル頭頂部の初期なじみ性、及び高剛性軌道使用環境下におけるレ−ル頭頂部の耐損傷性を改善することができる。以下、この発明について詳細に説明する。

0012

図1は、この発明に係る高強度・耐損傷レ−ルの頭部を示す断面図である。レ−ル頭部は、頭頂部1、コ−ナ部2、頭側部3、及び顎部4を有している。コ−ナ部2の一方は、使用に際して車輪と接触するゲ−ジコ−ナ部となる。

0013

レ−ルの損傷、特に頭頂部1のヘッドチェックは、レ−ル頭部に及ぼされる接触応力が高くなるに従って短期間で発生するようになる。このことを図2及び図3を参照して説明する。図2は、踏面曲率半径が15mmで最大直径が30mmのレ−ル試験片と、直径30mmで周面がフラット形状車輪試験片とを使用した2円筒接触転動疲労試験方法を示す模式図である。この試験により垂直加重と損傷寿命との関係を求めると、図3に示すような結果が得られる。すなわち、垂直荷重が高い場合に、つまり接触応力が高い場合に、短期間で損傷が発生すること(すなわち損傷寿命が短いこと)を確認できる。

0014

一方、新品の高強度レ−ルの使用初期において、車輪とのなじみが良くない場合、レ−ルに集中的な垂直荷重が作用し、損傷が発生しやすい。また、レ−ルの車輪と接触する部分の形状が、レ−ルの磨耗によって車輪となじんでいる場合、磨耗速度が遅い部分では垂直応力が選択的に作用する。これらのことから、レ−ルの寿命を延長させるためには、従来のレ−ルの頭頂面において摩耗速度が遅いことにより過酷に作用していた最大垂直応力を分散させることが有効であるといえる。

0015

このように、頭頂部1のヘッドチェックを防止するためには、レ−ルにかかる荷重を低減するか、又は車輪からの接触圧力が局部的に集中しないように接触状況コントロ−ルする方法が考えられる。

0016

この発明においては、鉄道車両の輪重を軽減することなく課題を解決する観点から、後者の方法を採用している。すなわち、列車を支持するための強度と耐磨耗性とを保持しながら、なおかつレ−ルの頭頂部における最大接触応力を低下させるべく、レ−ル組成を調節し、更にレ−ルのコ−ナ部及び頭側部よりも、頭頂部の方が硬度が低くなるようにした。次に、この発明に係るレ−ルの成分組成の限定理由について説明する。

0017

先ず、Cは0.60〜0.85重量%である。0.6%以上とすることにより良好な強度及び耐磨耗性が期待できる一方において、0.85%を超えると初析セメンタイト析出により靭性が低下するからである。Siは0.1〜1.0重量%である。レ−ル強度確保のために0.1%以上必要であるが、1.0%を超えると靭性及び溶接性劣化するからである。Mnは0.5〜1.5重量%である。レ−ル強度確保のために0.5%以上必要であるが、1.5%を超えると靭性及び溶接性に悪影響を及ぼすからである。P及びSについては、延性劣化を回避するために、夫々0.035重量%以下及び0.040重量%以下とした。Alは疲労性能を劣化させる成分であるから、0.05%を上限とした。

0018

特に車輪とレ−ルとの接触条件が厳しい所で用いられるレ−ルに関しては、レ−ルゲ−ジコ−ナ部の耐磨耗性と強度とを一層良好なものとするために、Cr,Mo,V,Ni及びNbの1種又は2種以上を低合金添加する。

0019

Crは0.05乃至1.50%である。0.5%以上であればパ−ライトラメラ間隔を小さくしてパ−ライトを微細化し、強度、耐磨耗性及び耐損傷性を向上させるが、1.50%を超えると溶接性に悪影響を与える。

0020

Moは0.01〜0.2重量%である。MoはCrと同様に強度を上昇させる元素あり、その効果は0.01%以上で表われる。これに対し、0.2%を超えると、溶接性が劣化する。

0021

Nb及びVは析出強化元素であり、夫々0.005〜0.050重量%及び0.01〜0.10重量%である。これらが析出強化元素としての効果を得るためには、Nbは0.005%以上、Vは0.01%以上添加する必要がある。一方、Nbが0.05%、又はVが0.10%を超えて添加されると、Nb又はVの粗大な炭窒化物が析出し、レ−ルの靭性を劣化させる。

0022

Niは強度及び靭性の向上に効果がある元素であり、0.1〜1.0重量%である。0.1%よりも少なければ効果が現れず、1.0%で効果が飽和するからである。

0023

この発明に係るレ−ルは、このような成分組成を有し、微細パ−ライト組織を有している。そして、この発明においては、前述したように、レ−ル頭部の硬さ分布を調節してレ−ル各部の摩耗特性を制御し、最大接触圧力のレベルを低く抑えることによって、高剛性軌道における高接触圧力の発生によるレ−ル頭頂部のヘッドチェック損傷を抑制する。好ましい硬さ分布は、例えば各部分における熱処理を調節することにより達成される。

0024

なお、頭頂部の金属組織を変化させることにより磨耗速度を調整しても同様の効果を得ることができる。すなわち、この発明では、微細パ−ライト組織を前提として、適宜の処理によりレ−ルの硬度分布を調節しているが、金属組織を変化させることにより、硬さに拘らず、磨耗特性を制御することができる。例えば、図4に示すように、同じ硬さでは微細パ−ライト組織が最も磨耗特性が良好である。また、この図に示すように、金属組織を制御することにより硬度を上昇させて疲労強度を向上させつつ、磨耗速度を上昇させることも可能である。

0025

次に、微細パ−ライト組織のレ−ルにおいて、上述に示すような効果を実用的に得るためのレ−ル頭頂部とレ−ルコ−ナ部及び頭側部との間の硬度比について説明する。前述したように、車輪からの接触圧力が局部的に集中しないように接触状況をコントロ−ルするためには、レ−ル頭頂部の硬度をレ−ルコ−ナ部及び頭側部の硬度よりも小さくすればよい。これらの好ましい硬度比を、2円筒式転動試験機による損傷寿命試験により把握した。この試験は、実車輪及びレ−ルの1/4の断面サイズを有する円筒試験片を作成して行った。なお、車輪試験片の硬度は約HB (ブリネル硬度)331とした。また、レ−ル試験片としてはC−Mn材(0.77%C,0.23%Si,0.90%Mn,0.019%P,0.008%S,0.004%sol Al)から採取したものを用い、頭部相当部分に熱処理を施し、レ−ルコ−ナ部に相当する部分の硬度を約HB 370に固定し、レ−ル頭頂部に相当する部分を軟化させて硬度差を設定した。その結果、図5に示すような結果が得られた。図5は、横軸にレ−ル頭頂部相当部分とレ−ルコ−ナ部相当部分との間の硬度比(ブリネル硬度)をとり、縦軸に従来の耐磨耗用高強度レ−ル(スラッククエンチレ−ル)に対する頭頂部損傷寿命比をとって、これらの関係を示すグラフである。この図5に示すようにレ−ル頭頂部相当部分の硬度とレ−ルコ−ナ部相当部分の硬度との比を0.9以下とした場合に、レ−ル頭頂部相当部分における損傷の発生が著しく抑制されることが確認された。また、この範囲において初期におけるレ−ル頭部と車輪とのなじみが促進されることも確認された。従って、この発明ではレ−ル頭頂部とレ−ルコ−ナ部及び頭側部との間の硬度比を0.9以下に設定する。なお、硬度比が0.6以下の場合にはレ−ルゲ−ジコ−ナ部に相当する部分に損傷が発生することが確認された。従って、この硬度比は0.6以上が好ましい。また、レ−ルの強度及び耐磨耗性を十分な値にするためには、レ−ルコ−ナ部及び頭側部の硬度をHB 341〜HB 405の範囲に設定する。

0026

この発明に係る高強度・耐損傷レ−ルにおける頭部の硬度分布の例を図6に示す。図6(a)では、レ−ル頭側面からレ−ル頭部幅の1/4内部までの部分のうち、レ−ル頭頂面から深さ15mmまでの部分、及び図6(a)における点A,A´から顎までの直線とレ−ル頭側面によって囲まれる部分が、レ−ルコ−ナ部及びレ−ル頭側部であり、これらの部分の硬度を通常の高強度レ−ルの磨耗特性を有するように、HB 341〜HB 405の範囲とし、レ−ル頭頂部としてのレ−ル頭頂面から25mmの深さ程度までの部分の硬度をレ−ルコ−ナ部及びレ−ル頭側部の硬度に対する硬度比が0.9以下で0.6以上となるような範囲に調節し、なおかつHB 265以上を満足させている。これにより、レ−ル頭頂部とレ−ルゲ−ジコ−ナ部との間に磨耗特性の差を生じさせることができ、この差を各種レ−ルの使用環境での最適な値とすることによって、レ−ル頭頂部中央での過大な最大接触圧力発生の問題を解決することができる。

0027

図6(b)では、レ−ル頭頂面から15mm内部で、レ−ル頭側面から15mm内部の点を始点とし、この点からレ−ルコ−ナ部及び顎部を結んだ直線に囲まれた部分をHB 341〜HB 405の硬度にし、レ−ル頭頂面から25mm深さまでの他の部分の硬度を上記部分の硬度に対する硬度比が0.9以上、0.6以下となるように調節している。このような硬度パタ−ンでも図6(a)と同様な効果を得ることができる。

0028

なお、緩曲線のように、車輪とレ−ルとの接触条件があまり厳しくない環境下では、頭側部、ゲ−ジコ−ナ部の高強度部分硬度範囲をHB 320〜HB 380へ下げることも可能である。また、図6(c)のように、レ−ル頭頂中央部分の1/2幅部で、頭頂面からの深さ約25mmまでの部分を上述のような硬度比になるように軟化させたレ−ルもこの発明の範囲に含まれ、同様な効果を得ることができる。

0029

この発明に係るレ−ルにおいては、レ−ル頭部の硬度分布を、レ−ル使用初期において頭頂部の磨耗速度がコ−ナ部及び頭側部より若干速くなるように調節することにより車輪とのなじみが促進され、局所的な過大接触応力の存在を早期に緩和することができる。また、なじみ過程が終了した後において、レ−ルは車輪との接触状況下でその頭部の各部における磨耗速度が調節され、頭頂部中央の磨耗が優先的に生じる。これにより、レ−ル頭部に働く垂直荷重をレ−ル頭部上面に均等に分担させることができ、レ−ル頭頂部に作用する振幅応力が緩和され、最大接触圧力を疲労限界以下まで下げることができる。従って、疲労損傷の発生を抑制してレ−ル寿命を延ばすことができる。次に、このようなレ−ルの製造方法について説明する。

0030

通常、レ−ルは以下のように製造される。まず、熱間圧延によりレ−ル素材を作製し、次いで、そのレ−ル素材の頭部をオ−ステナイト域温度に保持した状態から冷却する。ここでは、この冷却の際の冷却速度をコントロ−ルすることによって、頭頂部と頭側部とで硬度の異なるレ−ルを製造する。

0031

レ−ル素材頭部の冷却は、図10に示すように、頭頂部冷却ヘッダ11と2つの頭側部冷却ヘッダ12とを、夫々レ−ル素材の頭頂部および頭側部に対向するように配置し、これら冷却ヘッダの複数のノズルからレ−ル素材に冷媒、例えばエア−を吹き付けることによりなされる。この場合に、ノズルの個数、ノズル径および冷媒の噴出圧力のうち少なくとも1種を調整することによって、レ−ル頭部の部位により冷却速度を異ならせるようにすることができる。一方、レ−ルの硬度は、オ−ステナイト域温度からの冷却速度が遅いほど低下する。

0032

従って、この発明においては、この発明の範囲内の組成を有するレ−ル素材を熱間圧延によって製造し、このレ−ル素材の頭部を、オ−ステナイト域温度に保持した状態から、レ−ル頭頂部の冷却速度がレ−ル頭側部の冷却速度よりも遅くなるようにノズルの個数、ノズル径および冷媒の噴出圧力のうち少なくとも1種を調整して冷却ヘッダからレ−ル素材に冷媒を吹き付けることにより冷却する。これにより、この発明に係る頭頂部の硬度が頭側部の硬度より低いレ−ルを製造することができる。

0033

なお、熱間圧延後、レ−ル素材がオ−ステナイト域温度に保持されていればそのままレ−ル素材を冷却するが、レ−ル素材の温度がオ−ステナイト域温度よりも低い場合には、レ−ル素材をオ−ステナイト域温度まで再加熱してから冷却する。

0034

以下、この発明の実施例について説明する。本発明に係るレ−ル組成の範囲内である表1に示す組成の鋼をレ−ル素材とした。

0035

0036

表1中のC−Mn材で形成された60kgレ−ル素材に対して従来の頭部スラッククエンチ熱処理を施した従来の硬頭レ−ルと、同じ素材に対して頭頂部の冷却を弱くした特殊な頭部スラッククエンチを行った本発明に係るレ−ルとを作成した。

0037

本発明に係るレ−ルは、以下のように製造した。すなわち、熱間圧延によりレ−ル素材を作製した後、Ar1以上にあるレ−ル素材頭部に、図10に示すように配置された頭頂部冷却用のエア−ヘッダ11及び頭側部冷却用のエア−ヘッダ12に設けられた複数のノズルからエア−を吹き付けて、レ−ル素材頭部を冷却した。図11(a)はここで用いた頭頂部冷却用エア−ヘッダ11のノズル配置を示す図であり、この図に示すように、その中央部においてノズル穴の個数が減少されている。すなわち、従来の頭頂部冷却用ヘッダは、図11(b)に示すようにノズル穴が均一に配置されているが、ここではヘッダ中央部のノズル穴個数を減じて、レ−ル頭頂部に吹き付けるエア−の量が少なくなるようにした。また、ヘッダのエア−の圧力をコントロ−ルして頭側部に噴射するエア−圧力よりも頭頂部に噴射するエア−圧力のほうが低くなるようにした。表2に頭頂部及び頭側部に対するエア−圧力、並びに頭頂部と頭側部のノズル穴個数比を示す。表2中、上段は実施例、下段は従来例である。

0038

0039

これらレ−ルの頭頂面下1mmの部分の硬度分布を図7に示す。図7中符号Aは従来レ−ルの硬度分布を示し、符号Bは本発明レ−ルの硬度分布を示す。なお、図7の横軸に示した丸数字は、実際の硬度測定ポイントを記載した図8に示す丸数字の位置に対応する。図7に示すように、従来レ−ルでは、頭頂部と、頭側部及びコ−ナ部との間で硬度差が少ないのに対し、本発明レ−ルでは頭頂部の硬度が低くなっている。

0040

表1に示す組成のレ−ル素材から、実車輪及びレ−ルの1/4の断面サイズを有する円筒試験片を作成し、2円筒式転動試験機により損傷寿命試験を行った、車輪試験片の硬度は約HB 331であった。レ−ル試験片は、レ−ル頭頂部に相当する部分に本発明の特徴を持たせるために、レ−ル頭頂部に相当する部分の硬度を、コ−ナ部相当部分の硬度(約HB 370に固定)の0.9以下にしたものである。また、表1中C−Mn材をスラッククエンチ処理した後、頭頂部に焼もどし処理を施した試験片も作成し、同様に試験を行った。これは、頭頂部を球状パ−ライト組織とすることにより頭頂部の硬度低下を意図したものである。

0041

この試験の結果を図9に示す。図9から明らかなように、いずれの試験片についても、レ−ルコ−ナ部に対するレ−ル頭頂部の硬度比が0.9以下の場合に、損傷寿命が1.2倍以上向上し、最大1.9倍にもなることが確認された。

0042

また、Ni,Cr,Mo,Nb,Vから選択される元素を添加したCr−V材、Cr−Mo−V材、Ni−Nb材で作成した試験片では、これらを含まないC−Mn材で作成した試験片よりも損傷寿命が長くなった。このことより、Cr等の合金元素を添加することにより損傷寿命が改善されることが確認された。

0043

本発明のレ−ルとして表1に示すC−Mn材を図7中のBのような硬度分布をもつようにスラッククエンチ処理したレ−ルを、従来の高強度レ−ルと共に高軸重鉄道の実路線に敷設し、実際に車両を走らせて試験した結果、本発明のレ−ルは敷設初期における車輪とのなじみが良好であった。また、250000000通過トン時において、レ−ル頭頂面の損傷発生率が従来の1/6となり、敷設初期を除く耐損傷性も従来よりも良好であることが確認された。

0044

これら試験の結果から、損傷寿命を延長させるためには、本発明のように車輪からレ−ル頭頂面に作用する垂直応力を分散させることが有効であることがわかった。

0045

従来、本発明のように、車輪からレ−ル頭部に及ぼされる接触応力の位置による相違に着目して、レ−ル頭部の磨耗特性を部分的に制御した例はなく、耐磨耗性及び耐損傷性に優れた本発明のレ−ルは、今後の高剛性軌道の普及に伴い、鉄道保守費低減のために有効なものになることが期待される。

発明の効果

0046

この発明によれば、ヘッドチェック等の過大接触圧力に伴って発生する頭頂部の損傷を抑制することができ、レ−ル寿命を延長させることができる。このため、高軸重鉄道の急曲線においてコンクリ−ト枕木等を用いる高剛性軌道を導入する上での問題点を解決することができ、軌道保守費を低減させることができる。このように、この発明は経済的価値が極めて高い。

図面の簡単な説明

0047

図1はこの発明に係るレ−ルの頭部を示す断面図。
図2レ−ルに作用する垂直荷重と損傷寿命との関係を把握するための2円筒接触転動試験を説明するための図。
図3図2に示す試験における垂直荷重と損傷寿命との関係を示す図。
図42円筒式接触回転磨耗試験における硬度と磨耗速度との関係及び組織と磨耗速度との関係を示す図。
図5レ−ルの頭頂部及びコ−ナ部の間の硬度比と損傷寿命との関係を示す図。
図6この発明に係るレ−ルの硬度分布の例を示す図。
図7レ−ル頭部の硬度分布を示す図。
図8図7に示した硬度分布の測定ポイントを示す図。
図9組成又は熱処理方法が異なるレ−ル試験片における硬度比と損傷寿命との関係を示す図。
図10レ−ル素材を冷却する方法を説明するための図。
図11この発明に係るレ−ル冷却方法及び従の方法を実施する際に用いるレ−ル頭頂部冷却用ヘッダのノズル穴の配列を示す図。

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0048

1;頭頂部、2;コ−ナ−部、3;頭側部、4;顎部。

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