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目的

本発明は、乳房炎治療剤の提供を目的とする。

構成

キチン質を有効成分とする乳房炎治療剤。

概要

背景

乳房炎とは、微生物乳房内進入し、乳管系乳腺組織に炎症を起こすものである。

乳房炎に感染すると、異常乳乳汁中白血球などの体細胞数の増加)を分泌し、更に症状がすすむと乳汁を合成する機能が障害されるため泌乳量が減少し、遂には泌乳を停止することとなる。

乳房炎の治療法としては通常抗生物質主剤とする製剤を、乳房または動脈内へ注入する治療法が採用されている。

概要

本発明は、乳房炎治療剤の提供を目的とする。

キチン質を有効成分とする乳房炎治療剤。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

キチン質を有効成分とする乳房炎治療剤

技術分野

0001

本発明は、乳房炎に有効な治療剤に関するものである。

背景技術

0002

乳房炎とは、微生物乳房内進入し、乳管系乳腺組織に炎症を起こすものである。

0003

乳房炎に感染すると、異常乳乳汁中白血球などの体細胞数の増加)を分泌し、更に症状がすすむと乳汁を合成する機能が障害されるため泌乳量が減少し、遂には泌乳を停止することとなる。

0004

乳房炎の治療法としては通常抗生物質主剤とする製剤を、乳房または動脈内へ注入する治療法が採用されている。

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら抗生物質を用いた治療法は、時として病巣深部まで薬剤が到達せず、感染菌の殺滅が不十分となり、その結果耐性菌出現などによって慢性乳房炎へ移行することとなる。一旦乳房炎を発症すると抗生物質の投与は殆ど改善がみられず、ビタミン療法漢方療法などの体質改善的な療法が試みられているが、決定的な解決策は見いだされていない。

課題を解決するための手段

0006

すなわち、本発明は、キチン質を有効成分とする乳房炎治療剤をその要旨とする。

0007

本発明に使用するキチン質としては、エビカニ等のかく類、バッタカブトムシ等の昆虫類イカの甲等に含まれるキチン、キチンを20〜80%脱アセチル化した脱アセチル化キチン、80%以上脱アセチル化したキトサン及び硫酸化キチン等一般にキチン質と言われるものを挙げることができる。

0008

本発明の乳房炎治療剤に使用するキチン質としては、水に不溶性難溶性あるいは可溶性のキチン質を挙げることができる。水に不溶性及び難溶性のキチン質としては、使用時、水に懸濁する程度に微粒子化されたものが使用上推奨される。微粒子化の方法としては、振動ボールミル遊星ボールミル遠心流動化ミルなどのミルを用い、キチン質を乾式粉砕する方法等を挙げることができる。さらに乾式粉砕方法に加えて、得られた微粒子化キチン質を、水、生理食塩水等を用い、湿式粉砕する方法を採用することも又使用上推奨される。本発明の乳房炎治療剤の使用方法としては、水、リンゲル液あるいは生理食塩水等に懸濁或いは溶解して使用する方法、あるいは適当な基剤に分散または溶解し所謂軟膏の状態として使用する方法を挙げることができる。

0009

本発明の乳房炎治療剤の投与方法としては、注射筒などを使用し、カテーテルプローブ(深針)等を経由して乳房内に本治療剤を注入する方法を挙げることができる。

0010

本発明の治療剤の単回投与毒性については、今のところ観察されていないが、投与量としては、体重1kg当たり100mg以下で、有意量の投与をすればよい。

0011

本発明の乳房炎治療剤が乳房炎に効果を発揮する理由は、今のところ明確には解明されていないが、以下のごとく考えられる。生体内には、マクロファージ多形核白血球に代表され、微生物などの異物が生体内に進入したときにその異物を認識し、異物へ移動し、異物を取り込み、そして酵素処理して排除するという作用を持つ細胞、所謂貪食細胞が存在するが、キチン質には、この貪食細胞を活性化させ、さらに活性化物質に向かって濃度勾配に逆らって遊走する化学走化性をも有しているものと考えられ、キチン質を乳房内に注入することにより、乳房内に貪食細胞を遊走させるとともに貪食作用を活性化させて微生物を排除し、乳房炎が治癒に向かうものと考える。

0012

参考例1
カニのクチクラより製造したキトサン{フローナックC、脱アセチル化度83%(元素分析値より算出)、共和テクノス製造}を遠心流動化ミルを用い、乾式粉砕を行った。粉砕条件ジルコニア製ボール(10mmφ、10kg使用)を使用し、ミル回転数を420rpm、セパレーター回転数を3500rpmで粉砕を行った。得られた粉末SKレーサ゛ーPRO-7000S(セイシン企業製造)によりエタノール中で測定した結果、最大粒径12μm、平均粒径3.1μmであった。

0013

この粉末化キトサンを5%(w/w)の濃度で脱イオン水に分散し5リットル処理液を作成した。このときの粒径粒度分析計(日機装株式会社製造、マイクロトラックSPA形)により測定した結果、温度11℃において平均粒径10.2μm、最大粒径42.2μmであった。

0014

得られたキトサン分散液攪拌下サンドグラインダーベッセル内(容量 2リットル)に送り込み、ジルコニアピン羽根ジルコニア製ビーズ(0.5mmφ、1.7リットル)と処理液とを強力に対流させることにより粉砕を行った。処理液はベッセル内を7回通過させ、6ヶ月保存しても沈降することなく安定な分散性を示し、針径0.4mm、針長20mmの皮下用注射針をスムーズに通過する微粒子状キトサン分散液を調製した。

0015

参考例2
イカ甲より精製したキチンフレーク100gをピリジン250mlに24時間浸漬した後、別に調製した硫酸化試薬(ピリジン600mlとクロロスルホン酸150mlを混合)を加え、温度90℃で2時間30分反応させた。室温まで反応溶液を冷却し、エタノール2000ml中に滴下し、生成した沈澱遠心分離で集めた。集めた沈澱を脱イオン水500mlに溶解し、pHを7に調整した後濾過して不溶部を除き、10日間透析ダイアライシスメンブラン36、和光純薬工業製造)を行い、硫酸化キチン水溶液を得た。

0016

以下実施例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。

0017

実施例1
参考例1により調製した微粒子状キトサン分散液をリンゲル液でキトサン粒子100μg/mlに希釈し、キトサンを有効成分とする乳房炎治療剤を製造した。晩の搾乳後、抗生物質を乳房内に注入する治療を半年間施しても治癒しなかった6乳牛ホルスタイン種乳頭管に、上記により製造したキトサンを有効成分とする乳房炎治療剤をプローブを装着した注射筒を用いて10日間連続、朝、夕の搾乳後20mlづつ注入した。経時的に乳房炎診断用PLテスター(日本全薬工業製造)による乳房炎感染試験、乳汁中の体細胞数(富士平社製フォマチックにより測定)、ブリード法による細菌数の測定を行った。その結果を表1に示した。

0018

表1

0019

実施例2
急性乳房炎の4歳乳牛ホルスタイン種に、実施例1で調製したキトサンを有効成分とする乳房炎治療剤をプローブを装着した注射筒を用いて2日間連続、朝、夕の搾乳後20mlづつ注入した。経時的に乳房炎診断用PLテスター、乳房硬結の状態、ブツ(乳房炎感染時にみられる乳汁中に生じる大小不同凝固物)を検査した。その結果を表2に示した。

0020

表2

0021

実施例3
参考例2により調製したこの硫酸化キチン水溶液を凍結乾燥し、5%の濃度になるように脱イオン水に溶解し、pH7に調整した後リンゲル液にて10倍希釈し、本発明の硫酸化キチンを有効成分とする乳房炎治療剤を製造した。半年間抗生物質による治療を施して乳房炎に改善がみられなかった乳牛(ホルスタイン種)の乳頭管に、硫酸化キチンを有効成分とする乳房炎治療剤を100ml注入し、7日後PLテスターによる乳房炎感染試験を行った。

発明の効果

0022

慢性乳房炎の実施例1は本剤の使用によって顕著に細菌数が減少し、22日目に検査した結果、乳房炎は治癒していた。急性乳房炎の実施例2は2日目にブツの増量を認めるものの急激な症状(疼痛熱感、硬結)の緩解が認められ、3日目には治癒した。血乳を呈していた実施例3は、本剤1回の使用で7日後正常な乳となり、治癒した。

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