スマートグリッド・電力供給

送電する際の損失を抑制

最終更新日:2016/12/14

推定市場規模
約15兆円

 発電所で作られる電力は家庭に届くまでに電線の電気抵抗などで約5%が失われていると言われている。
 つまり再生可能エネルギーなど革新的な発電を行っても、伝送損失が大きい現状では依然として環境負荷が高いという問題が残されている。
 アメリカは広い国土で電力大消費地が点在し、発電・送電・配電が異なる小規模な事業者によって行われておりその事業者数も3,000を超えているため同国エネルギー省の試算によれば電力の供給遮断や停電によって年間1500億ドル(約15兆円)もの損失が発生している。今後は送配電網の増強による信頼性の向上が大きな課題となっている。
 この大きな損失について、膨大なコストをかけた送電機器ではない画期的な手法や多くの発電方法に対応し、長距離かつ限りなくロスを減らした送電など新たな解決策が実用に動き出し、今後は環境破壊をせず発電および送電を効率的に行うことが期待されている。

未来への変化の兆し

  • 配電系統の送電損失を最小化

     配電系統の送電損失を最小化する一般的な方法は、配電系統を放射状に構成して系統内のフィーダーや開閉器の容量制約のもと送電損失が最小となるように配電系統の状態を決定するものが知られている。
     しかし従来の方法論では大規模な配電において計算時間が膨大になりすぎることで適応できずにいたため、新たな送電損失を最小化する手法が求められていた。

     東芝が提案する「最小送電損失系統構成の決定装置、方法及びプログラム」によると、実用的な計算時間でブランチ交換法より小さい送電損失及び当該送電損失を有する配電系統の構成を決定することが可能になる。
     これは、従来では不可能だった送電損失最小化を通過電流に潮流計算を繰り返し施すことで実現可能かつ最適な系統構成を抽出するのである。

     このようにかつて実現不可能とされていた膨大な情報及び計算において多額の機材開発や時間で解決するのではなく画期的手法開拓によって課題を解決する試みが推し進められている。
    今後は環境破壊することなく生活を豊かにする技術が日々研究され実用化されていくだろう。 配電系統の送電損失を最小化
  • 世界中の電力創出を無駄なく送電

     近年、太陽光発電・風力発電・再生可能エネルギーなど様々なエネルギー創出技術が推し進められてきたが送電で発生するロスについては解決されず、また長距離や大容量の送電は技術的に不可能とされてきた。
     しかし、2014年スイスで200万世帯の電力に匹敵する電力を巨大洋上風力発電所から送電することが可能になる技術が開発された。
     
     ABBグループによって従来の送電ロスを大幅に改善した「直流送電用架橋ポリエチレン絶縁ケーブルシステム」が開発された。この最新技術は再生可能エネルギー設備の効率を改善しコスト効率を高めることが可能になるケーブルシステム技術であり、従来の2倍以上となる2600メガワットの送電を可能にし、限界1000km以下であったケーブル距離を1500km超に拡大した上で、送電損失を常に5%以下に保つ。
     また、従来の65%の大電圧化に成功したことで海底ケーブルや地中ケーブルへの活用が実現可能となり、これは人口密集地域や沿岸・外海だけでなく過酷気候など自然環境への配慮が必要な地域を経由する送電においても効率的に行えることを意味している。

     これまで送電ロスにより莫大なコストをかけて作り出したエネルギーを無駄にしたり、エネルギーを作る環境があっても送電が現実的でなく実現されない等多くの課題に悩まされてきた。しかし今後これらを解決に推し進める技術が実用化されることで、遠隔地での発電は効率的に人々の生活を支え、日々の電力運営コストを低減させることとなるのである。 世界中の電力創出を無駄なく送電
  • ワイヤレスで電力を飛ばす

     電力はケーブル経由で送り、それをコンセントから得る。こうした常識が覆るかもしれない研究が進んでいる。「ワイヤレス給電」と呼ばれる技術だ。

     龍谷大学から誕生したベンチャー企業「リューテック」では、水中で制御可能なワイヤレス給電を研究している。これは一例としてカプセル内視鏡に応用することで医療分野における大きな可能性を秘めているという。
     また、東京大学大学院の川原准教授の研究室では、宙に浮いた小型扇風機や発光ダイオードにワイヤレスで電力を飛ばす研究が進んでいる。これは音叉(おんさ)が共鳴する現象に似ており、電流を流し発生した磁場の振動を離れた装置に伝える仕組みだ。今後研究が進むことで狙った場所へピンポイントで電気を送れるようになるとのことだ。

     電力供給にはケーブル施設が必要であり、生活の中でも充電したい時はコンセントを探す、そうした常識がこうした技術の研究によって覆り、送電における常識に大きなブレイクスルーが生まれるかもしれない。 ワイヤレスで電力を飛ばす

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