節水農業・水不足・干ばつ

農業用水の確保と節約

最終更新日:2016/09/21

推定市場規模
30億米ドル

 地球は水の惑星と言われその表面面積のうち3分の2は水で覆われている。しかし地球上に存在する水の大部分は海水であり淡水の占める割合は全体の僅か約2.5%程度に過ぎない。
 一方世界の年間水使用量は1995年時点で年間約3兆7,500億立方メートルとなっており、そのうち約9割が農業用・工業用水として使われている。
 その中でも特に農業用水が7割を占めており、今後の人口増加において更なる水需要の増加に対応するには安定的な水資源の確保と環境保全と食料生産をすべて両立させた農業手法の確立が重要である。
 現在の水使用量を不便なく節約するだけでなく、淡水の生産性を向上することが必要とされており、食料生産に大きく影響する農業用水の市場規模はWorld Water Visionによる2025年予測では市場規模30億米ドルに達すると見込まれている。

未来への変化の兆し

  • 水中生態系の保全により水資源を確保

     閉鎖性水域での水質汚染要因の一つに、富栄養化水中に含まれるリンの溶出がある。
    そこでリン酸を効率よく回収して安価に富栄養化水の浄化を行うと共に、回収したリンを有効に再利用する技術が提案されている。
     これにより富栄養化を抑止し水中生態系を保全し、その結果農業用水に適した水資源を確保することも可能になるとの期待が寄せられている。

     リン資源は下水汚泥から回収する場合、強アルカリ溶液によってリン酸イオンを抽出しリン酸化合物として回収するという手法やリン吸着担体を設置することにより水中のリンを吸収させるといった方法も存在する。
     リンを汚水や富栄養化水中から回収することによって、かつて活用不可能だった汚水を農業用水として活用する等、食糧生産において欠かせない「水資源」として使用できる。

     そして回収されたリン資源も、100%海外からの輸入に依存するリン鉱石資源の乏しい日本にとって貴重な資源となる。汚水から回収した状態では使用できないリンを高度合併処理浄化槽などを用いて不純物を取り除くリサイクル方法が考案されている。
     現在これらの方法は高度な処理技術を要するが、より簡易で純度の高い水質の浄化、その後の回収資源活用が実用化されることで、農作物の生産性向上や枯渇資源の問題解決が期待できる。 水中生態系の保全により水資源を確保
  • 節水農業

     イスラエルは国土面積の50%以上が砂漠で降雨量も少ないという厳しい条件下にある国で、極めて厳しい水環境に置かれているが、食糧自給率は約95%と非常に高い水準を保っている。

     この過酷な気候条件下にも関わらず高い食糧生産性を実現している1つの要因として「節水農業」がある。
     節水農業は、特殊で高度な化学技術や高価な機材、専門知識で実現されているのではなく「いかに少ない水資源を効率的に使うか?」という確立された方法論のようなもので、節水農業の手法が浸透する事で近年イスラエルは水の使用量を12%削減しながら農業生産額を以前より47%も延ばしたのである。

     全世界における水消費のうち70%は食糧生産に使用されている。
    従来の方法では作物の生産を増やすためには水の消費量も増えるのが常識だったが、節水農業の方法として浸透する「点滴灌漑農法」は前述のとおり水の消費量を減らしながら植物生育効率を高められるため、世界中で市場が拡大している。
     この点滴灌漑は、プラスチック製パイプに水と液体肥料を通して空いた穴から点滴するという非常にシンプルな仕組みのため導入障壁も低い。

     近年の異常気象とそれに伴う環境悪化により、水不足にあえぐ地域では干ばつや地下水の減少、湖沼の縮小など様々な問題が発生し作物の生産にも大きなダメージとなっているが、僅かな水量で農作物が作れる節水農業が広まる事でこういった問題を解決できる。
     また比較的水資源に恵まれた地域においても、より効率的に農作物を生育することが可能となり余剰水量を農業以外に充てられるようになるため、導入する時点で複雑・高度な環境を必要としない節水農業の強みは全世界に広まろうとしている。 節水農業
  • 水の循環技術で作物を栽培

     農作物の栽培には多くの、そしてきれいな淡水を確保することが必要だが、地球上の水における淡水の割合は極端に少なく、ちょっとした異常気象に左右され作物が不作となるケースもある。

     ネイチャーダインというベンチャー企業が2016年に発表した仕組みは、こうした問題を解決する糸口になるかもしれない。

     電気や機械を使わずに、太陽熱によって空気が膨張・収縮する圧力を活用し水を循環させ、それを有機野菜の栽培に使用する仕組みだ。
    このSoBiCと呼ばれる仕組みは、現時点では家庭用のプランターサイズで野菜を栽培する程度の大きさしかないが既に国内のクラウドファンディングで販売を開始している。

     この栽培期は連結することで拡張が可能となるため、今後用途展開の研究が進めば、同じ発想を用いた大規模な農作物用水確保の手段となりえるかもしれない。 水の循環技術で作物を栽培

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