再生医学・感染対策

再生医療で人体組織を復元する

最終更新日:2017/07/04

推定市場規模
53兆円

  先端技術の発展にともない、高齢の方でも比較的安全に手術が可能となり、世界の手術件数は増加傾向にある。しかし、術後の合併症の発生は依然問題である。高齢の方の手術の場合、重症な術後合併症の発生率は28%とやや高率であることが報告されている。
 術後の合併症のパターンとしては、移植した臓器を患者自身の免疫が攻撃してしまう拒絶反応や、拒絶反応を軽くするため免疫抑制剤を投与した結果他の病原菌の侵入を許した結果生じる感染症などがある。このような状況に鑑み、各国の医療機関やバイオテックから、免疫や再生医療、新規な手術機器等が提案されており、術後問題の解消に繋がると期待されている。
 また、再生医療市場は今後更なる急成長が見込まれており、経済産業省が発表した再生医療の実用化・産業化に関する報告書によれば、国内では2050年には3.8兆円、全世界では53兆円と、約155倍の規模に成長するといわれている。

未来への変化の兆し

  • 角膜の再生

     重篤な角膜疾患に対する治療方法は、提供角膜による角膜移植が主流であった。しかし角膜ドナ−は慢性的に不足しており、また他人からの移植になるため術後の拒絶反応といった問題もあった。そこで患者自身の健康な角膜輪部の一部を用いた角膜再生の研究が進んでいる。

     京都府立医科大学では既に手術実績として、患者本人の口腔粘膜細胞から培養し製造した上皮シートを移植することで、組織再生を促し視機能の維持と回復を実現している。
     角膜の移植は、約2週間培養し製造する上皮シートの品質や安全性の確認を十分に検査した上で行われ、術後も半年間視力検査・眼底検査・画像診断などの検査を繰り返す事で安全性と有効性の確認が行われている。

     自分自身の細胞を活用した手術が今後多くの医療機関で実用化に至れば、手術後に拒否反応や副作用に悩まされる事無く、安全で安価な治療が私たちの健康を支える未来に繋がると考えられている。 角膜の再生
  • iPS細胞(人工多能性幹細胞)

     手術患者の院内感染発生原因のうち最も割合が多いのは、SSI(手術を行った部位に発生する感染症)と言われ実に38%を占めている。院内感染によって入院期間が延長すれば1症例あたり20,000ドルの追加費用が掛かり、国民経済における医療費負担増に繋がるとの試算もある。
     そのため院内感染対策として手術用具の滅菌や再生医療による感染リスクの減少などが期待されている。

     2014年に京都大iPS細胞研究所が、感染症リスクを低下させる人工多能性幹細胞(iPS細胞)を簡易製造する培養法を開発した。
     従来の培養法及び再生細胞は動物に由来するし感染症を起こすリスクが非常に高いという懸念点があったが、iPS細胞研究所の発表によれば動物成分を使わずアミノ酸やビタミンによる培養液で安全性の高い細胞を増やすことが可能になっている。

     再生医療は今後も大きな可能性を持つと注目されていたが、最も大きな懸念であった感染症リスクなどをこうした新しい幹細胞で解消する事で、医療負担の軽減と身近で安全な再生医療の実現に繋がると考えられている。 iPS細胞(人工多能性幹細胞)
  • 事故やスポーツで損傷した靭帯の再生

     スポーツの世界でよく耳にする「靭帯の損傷」
    長年の酷使だけでなく、交通事故などでも生じるこの靭帯損傷は、適切な治療を施さない場合変形性関節症などを発症し、関節の機能障害を引き起こすこともある。
     現にこうした後遺症に悩まされる人は少なくない。

     靭帯が完全に断裂した場合、従来はポリエステルやナイロンなどを用いた人工靭帯や、再建材料を利用した手術が行われているが、今後こうした分野において「iPS細胞」や「MSC(間葉系幹細胞)」を用いた靭帯再生のための研究が進みつつある。

     2015年に誕生したバイオベンチャー「株式会社再生医療 iPS Gateway Center」は、2016年4月に慶應義塾大学医学部整形外科の中村雅也教授グループとの共同研究を開始するとの発表を行った。
     臨床応用を早期に実現するために、互いがもつ腱・靭帯の研究ノウハウも交え幹細胞から誘導した靭帯組織の開発を行うという。 事故やスポーツで損傷した靭帯の再生

現在集まっている公募課題

  • あなたもastamuseに課題を掲載してみませんか?
    astamuseには月間150万人の技術者がサイトを訪れています。

    astamuseに課題掲載しませんか? あなたの技術的な課題に応えられる技術者がastamuseにはいるかもしれません。 技術分野問わず、未来につながる技術課題をastamuseに掲載してみませんか?

    課題掲載について問い合わせる

本ページに掲載されている公募案件については時点での内容を掲載しております。
各公募内容における報酬や条件、詳細につきましては各リンク先に記載されている内容を
ご確認頂けますようよろしくお願いいたします。

この課題を解決するために共有する

「再生医療で人体組織を復元する」に関連する未来の課題