人工臓器・バイオマテリアル

臓器移植におけるドナー不足の解消

最終更新日:2017/07/04

推定市場規模
160億ユーロ

 心臓やその他様々な臓器・器官の移植手術においてドナー不足は深刻な問題である。ドナー移植が必要で提供者を待っている患者のうち、実際に移植手術が行われているのは全体の0.1%にすぎないという報告もあり、移植後においても拒絶反応によって手術自体が成功しないケースもある。
また、手術に至ることができない要因として、ドナー提供待機期間の長さがある。日本国内だけでもドナーが少ないことにより、心臓移植手術でいえば平均待機日数は981日といわれている。
 しかし、近年、人工心臓や人工血液、バイオマテリアルの活用による人工臓器の本格的な普及は、これら慢性的なドナー不足の解消に向けて大きな期待を浴びている分野と言える。
また、人工心臓移植手術を成功させたフランスの人工臓器メーカーを取り上げたNewslineGroup調べによると、既に欧米だけで市場規模160億ユーロ、ドナー待機者は100万人と発表している。

未来への変化の兆し

  • 人工血液

     急速な人口増加に応じて世界中で献血の需要が増加している中、献血によって集まる血液量は毎年減少傾向にある。こうした血液不足問題に取り組むためにより効率的な人工血液の生産方法が望まれている。血液生産技術の発展は今後血餅症・心臓発作・心筋梗塞・エイズ・がんなどの治療にも繋がると期待されている。

     スコットランドのエジンバラ大学研究チームは、成人の脊髄から採取した幹細胞を培養して血液型「Oネガティブ」の人工血液をつくることに成功した。この血液は人類の98%の血液型に使用が可能であるとされている。
     またこの人工血液は数年後には人体でのテストを行えると目されており、さらに10年後をめどに世界中の医療現場における輸血用として使用されれば、事故や手術時の血液不足問題を解決すると共に、輸血による感染症リスクも格段に減らせると考えられている。

     将来的には、体内の血液を全て人工血液に入れ替えても支障がないレベルにまで研究を推し進める事を目標としており、こうした技術が広く普及することで血液自体の単価を劇的に下げ、血液不足にあえぐ世界中の患者を救うことに繋がる。 人工血液
  • 再生医療で心臓を補強する

     いままで重症心不全患者など心臓移殖の必要がある患者には人工心臓や補助人工心臓が用いられてきた。しかし心臓移植のドナー不足は深刻であり人工心臓は術後に血栓が形成されてしまうといった問題があった。
     そこで再生医療を応用した再生心筋シートを用い、心臓の収縮力を増大させる試みがなされている。

     2014年に大阪大学病院が子供への再生医療心臓手術を成功させた。
     重い心臓病を患った11歳女児の手術時にふくらはぎの細胞から生成したシートを心臓に移植することで心機能を回復させ、心臓移植ドナーが見つからないまま症状が悪化していた危機的状況を打破したのである。
     またこの少女の一例だけでなく世界中で心臓移植が必要な患者に対し、ドナー提供に頼ることなく実行された心臓外科手術の成功事例が増えてきており、成人患者の中には術後職場に復帰できるほど回復した事例もある。

     心臓移植手術はその膨大なコストだけでなく、ドナー不足という待機時間の問題や、術後の感染症など困難な問題を多数抱えていた。こうした再生医療技術をが実用化に至れば世界中の心臓病患者にとって大きな希望になると考えられている。 再生医療で心臓を補強する
  • 臓器を再生する新薬開発

     臓器に対する負担を軽減する、保護する、そうした薬物は既に存在するが、それらは「これ以上悪くならないようにする」という観点であり、直接的な治療効果ではない。
     しかし近年、再生医療の研究が進むことで「臓器を再生させる効能」を持つ新薬が実現しようとしている。

     2016年12月、モスクワ国立第一医学大学の再生医療研究所が「肝臓をアルコールなどの有害物質から保護し、再生させる」薬物の開発が進んでいることを発表した。
     材料は仔豚の肝臓由来のペプチド剤であり、重症時には注射で投薬しその他にも錠剤としての服用が可能となるとしている。
     肝臓の重い外科施術後に、治療の一環として服用することで臓器自体を再生させることも視野に入れている。
     2017年より臨床実験に移り、大きな問題が無ければ2020年以降順次発売されるという。

     臓器移植には大規模な手術、その後の体への負担、慢性的なドナー不足など金銭でどうしようもない問題が多くあるが、再生医療によって「患者の臓器自体を再生し、移植手術自体を不要にする」ことで長年の問題だった臓器移植に関する様々な問題を解決する日が来るかもしれない。 臓器を再生する新薬開発

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