リアルタイム翻訳・無意識コミュニケーション

言葉の壁を越えた意思疎通

最終更新日:2017/03/27

推定市場規模
約30億ドル

 言語とは人間同士のコミュニケーションをはかる手段であり、地球上には現在6000種類以上の言語が存在すると考えられている。
 それぞれの言語には、文字通りの意味のみならず、その地域での価値観や考え方を垣間見ることができる。しかしながら、音声言語を獲得する前に失聴してしまうと、その後ずっと言語による意思の疎通が困難になってしまう。
 しかし近年、多種多様な言語の表現パターンがデータベース化され、音声以外の表現における非言語コミュニケーションの実用化が期待されており、これは乳幼児・無意識患者、動物、ロボットとのコミュニケーションを可能にする技術である。
 この言語を超えたコミュニケーションという分野においては、米Common Sense Advisory社の調査によると全世界での語学関連サービス市場だけで約30億ドルとも言われており、今後言語以外のコミュニケーション技術が確立される中でより大きくなると予想されている。

未来への変化の兆し

  • 離れた人同士の即時翻訳

     光ファイバや衛星通信技術の発達に伴い、世界中の多拠点を結んだビデオ会議が実施されている。その際生じる英語や日本語、中国語など異なる母国語の人が参加する場合に、各自が選択した言語のみを使用し円滑な会議を実施できる多言語会議を少ない通訳リソースで実現するシステムが提案されている。

     全世界で月間アクティブユーザ数約3億人のSkypeは「人々の距離を縮め、障壁をなくす」ことを掲げ、新機能としてほぼリアルタイムでの音声・テキストの同時通訳機能のテストを以前より行っている。
     デモンストレーションでは英語音声をドイツ語テキストで表示し更にそのテキストをドイツ語で読み上げる、という字幕・音声両方での同時通訳を成功させた。

     言語はその成り立ちの違いから自動翻訳・機械翻訳の精度を向上させるのが困難であった、しかしこうした技術が今後より進むことで通訳者を探すコストを省き、多言語話者同士のコミュニケーションコストを劇的に改善されることで、地球全体での経済面における大きなメリットがもたらされると考えられている。 離れた人同士の即時翻訳
  • 会話困難な相手とのコミュニケーション

     言語の壁、は必ずしも異なる言語圏との間に生じるものとは限らない。不慮の事故や病気の進行によって身体不随や言語中枢にダメージを負い、通常の会話ができなくなる場合がある。こうした問題に対して脳波等の解析技術の進歩により、思考を読み取ることで会話が可能になると期待されている。

     オハイオ州大学の研究チームが最新医療テクノロジー「Neurobridge(神経の架け橋)」と名付けられた技術は、脳内にマイクロチップを埋め込み意思を読み取るものだ。
     これは身体不随者が「手を動かしたい」と強く思うことでその意思をマイクロチップが情報として読み取り、ケーブルを通してコンピュータへ送信・複合化されその情報から筋肉に電気信号を送り身体を動かす。実験の結果スプーンを掴むなど簡易な動作実験は成功を収めており、人間の意思がコンピュータにより情報化できることを実証した。

     言語が話せなくとも、周囲に自らの意思を伝える方法は様々存在する。こうした技術の研究とを応用が進めば体を動かすのではなく「意思」を人へ伝えることや、意思を視覚化する技術の発展にも繋がると考えられている。 会話困難な相手とのコミュニケーション
  • 脳から脳へ、直接伝達

     2015年9月23日、米科学誌『プロスワン』に「脳から脳へのインターフェース(BBI)を使い、質疑応答によって他人の心にあるものを推測できることが初めて実証された」とする米ワシントン大学のアンドレア・ストッコ助教らの研究成果が掲載された。

     後頭部に磁気刺激を受けると脳の後頭葉視覚処理領域が刺激を受け、線や点の形で「眼内閃光」の知覚が生じる仕組みを利用し、頭に被せるタイプの脳波計(EEG)から、回答者の脳波から特定パターンを検出しインターネット経由で送信し、経頭蓋磁気刺激法(TMS)と呼ばれる方法で質問者の後頭部に付けた8の字型の磁気コイルで脳を刺激する。
     
     10名の被験者(5組の質問者・回答者のペア)に対して簡単な質問に応える実験が20回行われ、実験の正解率は、磁気刺激を止めた場合には18%だったが、BBIを用いた場合は72%となり、統計的に有意に大きいことが示された。

     言語の壁を越えるコミュニケーション技術といえば、ジェスチャーやイラスト、翻訳技術の革新などが主なものだったが、こうした脳から脳への直接伝達技術が確立されれば、文字通り無意識レベルでのコミュニケーションが可能になると思われる。 脳から脳へ、直接伝達
  • より話し言葉に近い自動翻訳

     言語の自動翻訳は数々の研究や、AI(人工知能)の実用化の流れもあり、言語によってはかなりの精度で行えるようになってきた。
     しかし、広く一般的に「言語の壁を感じず、自動翻訳されたなかでのコミュニケーション」を世界中の人が体験しているとは言い難い。

     そんな中、自動翻訳を用いたコミュニケーションを広く一般の人達が体験する兆しが2016年に起き始めている。
     代表的なものは、ユーザー数が世界で5億人を突破したInstagram(インスタグラム)だ。

     2016年6月、Instagramはプロフィールやコメント、キャプションを自動的に閲覧側の母語に翻訳する機能を追加すると発表した。
     言語によって精度や対応範囲は異なるが、この機能が実用的なレベルに達すると、お互いがどの国で何の言語を話すか?を意識せずに言語の壁を超えたコミュニケーションが一般化していくかもしれない。

     また、Instagramがこうした機能を実装することには様々な意義がある。
     カジュアルなコミュニケーションサービスにおいては「くだけた表現の言葉」が飛び交う。こうした言語の解析を、多くのユーザーを抱えるサービス上で行うことでより話し言葉に近く、口語体の言語に対する翻訳の精度も一層高まる。
     こうした恩恵は、論文やニュース記事など「しっかりとした言語」で書かれたものを翻訳しても得られない。

     これまでの翻訳機能といえば、少しでも言い回しや文法がおかしい場合途端に精度が下がるものが多かった。
     今後は、こうした「より話し言葉に近い」翻訳の精度が上がることが期待されている。 より話し言葉に近い自動翻訳

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