パワーアシストスーツ、介護ロボット

不自由な身体を補助するロボット

最終更新日:2017/01/11

推定市場規模
約1.3兆円

 従来、身体の機能障害により歩行困難となった場合、車椅子等が移動に使われてきた。古くは、戦傷で障害を負った軍人や入院患者のために、一部の病院で用いられた。1915年開催のサンフランシスコ万国博覧会では、電動式の車椅子が使われたとの記録がある。
 近年、脳神経科学、運動生理学、ロボット工学、再生医療などの、さまざまな学術領域を融合複合させたサイバニクス技術の進展により、新しいタイプの身体補助装置が開発されている。
 これらの技術により身体の不自由な方をアシストしたり、いつもより大きな力を出したり、さらに脳・神経系への運動学習を促すことの実現が期待されている。
 医療の分野で活躍するロボットについては介護・見守り、手術などの活用領域も含め、アスタミューゼの独自調査によると2020年に世界の市場規模は約1.3兆円になると予測している。

未来への変化の兆し

  • 介護負担の軽減

     少子高齢化や老老介護が進む現代において、介護市場における労働力不足は大きな懸念点となっている。ベッドの移動などで要介護者を抱き上げるといった重労働をどのように軽減するのか、こうした課題の解決に向けてパワーアシスト機器は非力な人でも小さな負担で要介護者を抱きかかえて運べるようにする技術が実用化に向けて動き出している。

     2012年、介護・リハビリのための装着型ロボットとして発表されたトヨタ自動車の「自立歩行アシスト」や本田技術研究所の「リズム歩行アシスト」は麻酔患者や虚弱高齢者を対象に装着型の歩行補助ロボットのデモを行った。
     また介護をする側の筋力補助としては東京理科大学の「腰補助用マッスルスーツ」があり、腰に補助具を装着することで4kg程度を持ち上げる重量感で実際には30kgを持ち上げられるマッスルスーツを実現した。

     こうした技術の実用化や導入には現時点において大きなコストが掛かるという問題がある。しかし一方で既に多くの要介護者や周囲の介護補助者の自立や補助を支える技術が生まれ、少しずつ使用できるようになってきている。
     今後の世界的な高齢化社会の突入を見据えれば、こうした技術の普及が要介護者に自立した生活の喜びを提供し、介護を行う側の負担も軽減する社会の実現は重要なテーマと言える。 介護負担の軽減
  • 自分の身体障害を補う

     四肢マヒや筋力低下などが原因で歩行困難な人にとって車椅子は貴重な移動手段だが、現在車椅子で移動できる範囲は限られているのが実態である。こうした不便を解決するため自律歩行を支援するパワーアシスト型のロボットギプスが開発されている。

     世界初のパワーアシストスーツCYBERDYNE(サイバーダイン)社である「HAL」は筋電位を検知しパワーユニットを制御することで数kg程度の軽い荷物を持ち上げる感覚で数10kgもの重い荷物を持ち上げられる。
     また本田技研工業の「リズム歩行アシスト」では下半身に取り付けた機器を経由しセンサー情報をコンピュータが解析し、モーターの力で歩行補助を行うため弱った筋肉でも支えなく歩けるようになる。
     他にも世界中でパワーバリアフリーになるためのロボットスーツやマッスルスーツが実用化に向けて日々成長を遂げている。

     こうした身体をサポートする技術は車椅子で生活する人の日常を劇的に変化させるだけでなく、通常以上のパワーを容易に出す用途での実用化が期待されており、それによって様々な場所での身体に負担が掛かる重労働・肉体労働の助けにもなると考えられている。 自分の身体障害を補う
  • 外出時の歩行をアシストする技術

     適度な運動、外出時のウォーキングなどは健康維持のために重要だが、近年では高齢者による外出時の転倒事故も増加傾向にあり、健康のためのウォーキングが逆に高齢者への脅威となることもある。

     2015年秋に渋谷で開催された「超福祉の日常を体験しよう展」では、RT.ワークスによる歩行支援型ロボットの展示がおこなわれた。
     これは搭載されたセンサーが人の動きを管理し歩行を電動でアシストする、上り坂であればパワーアシスト、下り坂では歩行者が転ばぬよう自動減速するという。

     またGPSとインターネットを利用し遠隔地の家族などに歩行経路や現在位置、歩行距離などを通知する仕組みを持っており、万が一の外出先での転倒や、バッテリー残量が僅かになった場合などに緊急通知が送られる仕組みになっているという。

     身体補助はあくまで「補助」であり、こうした歩行補助システムの普及が、高齢化社会における健康的な生活を目指す上で重要だ。 外出時の歩行をアシストする技術
  • 子供の成長に合わせて伸縮するパワードスーツ

     人体に装着して生活する上での補助を行ってくれる「パワードスーツ」「パワーアシストスーツ」に関する実用化や実証実験のニュースは既に珍しいものではなくなっています。
     しかし、どのプロダクトも基本的には成人用で、子供向けのものを目にする機会はありませんでした。

     子供は1年毎に体格が大きく変わっていきます、洋服のように同じものを3年も5年も装着し続けることはできません。
     しかも、SMA(脊髄性筋萎縮症)を患った子供は、筋力低下と筋萎縮の影響でほとんどの時間を寝たきりで過ごすことが多くなり、その結果脊髄の側湾や骨粗しょう症、肺の機能不全を起こし死につながるケースもあります。

     CSIC(スペイン国立研究協議会)の研究者が2016年に開発した子供用の外骨格は、まさにこうした状況を打破するための研究といえます。
     アルミニウムとチタン製で内蔵されたセンサーが筋肉の動きを感知し、次の動きを予測してスムーズな歩みを助ける仕組みであり、最大の特徴は「子供の成長にあわせて伸縮調整ができる点」です。

     現在はスペイン国内で数人の志願者による試用段階に入っており、こうした製品が広く普及すれば成人のみならず筋力の低下などの病気に罹った多くの小さな子供達の命を救うことになるかもしれません。 子供の成長に合わせて伸縮するパワードスーツ

現在集まっている公募課題

  • 難治性疾患に苦しむ世界中の患者を日本発のバイオ3Dプリンティング技術で救いたい

     公益社団法人日本臓器移植ネットワークの発表によると、心臓・肺・肝臓・膵臓・腎臓・小腸の移植を希望して日本臓器移植ネットワークに登録しているのは13,696名(2014年11月末現在)。なお、2014年の全臓器移植件数は224件である。つまり、数字が示すように移植希望者が後を絶たないものの、提供が多…

    • スポンサー企業:株式会社サイフューズ
    • 公開日:2014/12/19

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