スマートモビリティ・再生可能エネルギーの活用

乗り物による排気ガスを削減

最終更新日:2017/01/31

推定市場規模
200兆円

 自動車や鉄道、飛行機は、非常に便利な移動手段であるが、その一方で、光化学スモッグの原因物質や温室効果ガスなどを排出し、大気汚染や地球温暖化などを引き起こしてきた。
 このような環境問題を解決するため、日米欧では1970年より排出ガス規制を強化してきた。これに新興国も追従する傾向にある。今後も、排出ガスの許容限度を半減したり、排出ガス低減装置の不良監視システムの装備を義務付けるなど、規制が強化される見込みである。これに対して、各国が一丸となって、規制をクリアするための技術革新を行い、環境対策を徹底することで、豊かな地球を快適に移動できる未来が到来するであろう。
 一方、この解決策の一つとして注目されるスマートモビリティは、日経BPクリーンテック研究所によると、世界市場規模は2020年には200兆円に、2025年には500兆円、2030年には1000兆円という累積に達すると言われている。

未来への変化の兆し

  • 充電不要、水で走るクルマ

     毎年最新のモビリティ技術が集結する東京モーターショー2015に、1つの電気自動車が実用化プロトタイプとして出展している。
     それが1か月充電せず「水」で発電できるマグネシウム発電池とリチウム電池のハイブリッドで駆動する超小型モビリティ「piana」だ。

     2人乗りの超小型モビリティタイプだが、大手メーカーが技術開発している運転席と後部座席という縦列2人乗りではなく、フロントハッチでの乗り降りを採用し、いわゆる2シーターと呼ばれる運転席と助手席が横に並んだ形状になっている。

     いまや電気自動車、ハイブリッド車のニュースはそう珍しくなくなっているが、このpianaのポイントは「水で発電」という点である。いざとなれば1ヶ月間充電が不要というのは災害時や近隣に充電可能場所がないところでの利用などにおいて非常に有効であり、環境にも優しい設計となっている。 充電不要、水で走るクルマ
  • スマートシティ構想

     自動車から排出される二酸化炭素は、地球上における全排出量の実に約17%を占めており、一方近年のトレンドとしてスマートシティ構想における「カーシェアリング」の普及が注目されている。
     カリフォルニア大学の運輸センターの調査によればカーシェアリングは燃費の悪い古い車の所有者数を減らし、その普及の過程において二酸化炭素や排気ガスの少ないハイブリッド車等への移行を促進する効果があるという。

     横浜市では2013年にカーシェアリングの実証実験として複数の人に共同で使ってもらうことを目的とした超小型電気自動車を市内中心部に30台配備した。
     この実験では二酸化炭素を出さない電気自動車「超小型モビリティ」をスマートフォンで予約することでいつでも簡単に借りられ会員登録した際に交付されるカードをかざすだけで運転できる。そしてトラブル発生時にはGPS機能を活用して車の場所・充電状況を把握できるため即座に対応が可能なシステムとなっている。
     結果として1年間で約1万人強が利用し、その6割が横浜市内居住者で残りは他市町村や県外からの利用者となった。今後も実証実験の内容を練り直し更に延長する計画となっている。
     カーシェアリングについては住民間での円滑なシェアに必要な適正台数や配置、予約状況を管理するためのシステム構築の構想も見込まれており、スマートシティの実現においては交通・エネルギー・ICTなど多様な要素を組み合わせていくことが必要とされている。 スマートシティ構想
  • 自動運転

     今後の世界的な高齢化社会への突入や都市部への人口集中傾向は、自動車をはじめとするあらゆる交通手段において交通事故の増加や渋滞などの問題をより大きくする可能性がある。現在本格的なICT技術の活用より自動車を自動運転で制御するシステムの実用化に向けた研究が進んでいる。
     Nvidia社は2015年1月にラスベガスで開催された「2015 International CES」で最新の自動運転技術を発表し、人工知能を採用した制御方式を示した。このシステムを自動車に搭載すると、カメラで捉えたオブジェクトを高精度で把握し、周囲の状況を理解し走行に反映する。
     またシステムが状況を正確に理解できない場合は、データサイエンティストによりシステムが再教育を受け、教育内容は他の自動車にも自動的に共有される。
     Nvidia社と共同開発をしているAudi社は、Nvidia社のシステムを搭載した自動車を時速200kmで走行させる実験に成功している。 自動運転
  • アジア圏でのスマートシティ計画

     都市部への人口集中が進むなか、エネルギーや水問題、催奇物処理などの衛生面、交通システムの整備などいわゆる「スマートシティ」の実現は世界中の課題と言える。
     しかし、日本をはじめとする先進国では既に作られた都市システムとの兼ね合いから、即座にこうした構想を実現するのは難しく徐々に進めるしか無いのが現実である。

     そんな中、経済発展が著しく今後の人口拡大が見込まれ、且つ現時点ではあまり都市インフラの整備が行われてない国や都市においては、こうした取り組みを一気に進めるチャンスとも言える。
     インドは政府がデジタル・インディア構想を打ち出しスマートシティを意欲的に取り組む国の代表格であり、5年以内に環境への配慮がされたスマートシティを国内に100都市整備する計画を政府が打ち出している。

     日本国内からもこうした動きと連動している企業が現れ始めている。
     各種V-CUBEサービスを展開するブイキューブ社は、インドのインテリシス社と共同で政府のスマートシティミッションに協力すると発表した。
     インドのスマートシティ選定都市の1つであるコルカタ都市圏においてビジュアルコミュニケーションサービスを展開する予定である。

     インドが取り組むエネルギー、水問題、効率的な移動を実現する公共移動システム、環境に配慮した衛生的な廃棄物処理システムは、インドのみならず世界中の都市が今後直面する問題であるため、
     これからのインドにおけるスマートシティの取り組み事例への注目と、インドを始めとしたアジア各国への業務展開を検討する必要があると言える。 アジア圏でのスマートシティ計画
  • 地方で進むスマートモビリティの試み

     環境に配慮した次世代交通システム、スマートモビリティなどを実用するためには多くのテスト・実証実験が必要だが、都市部でそうした実験を重ねるのは実際には難しい。
     実験に使う広い土地の確保、そこに住む生活者や既存交通システムとの調整、自治体との協働などが必要になる。
     福岡市では2016年に九州大学・NTTドコモ・DeNAが共同で自動運転バスの実証実験を開始した。

     九州大学の伊都キャンパス内に、自動運転で移動するバスを走らせ、見通しの悪い場所でも周囲の人にバスの存在を通知できるか、バス停にいる人をスマホ通信で検知しバスを停留所に向かわせる、などいくつかの実験が進められる。
     ドコモとDeNAが実現をめざす「路車間協調」、「音声エージェント」、「運行管制」のうち、歩行者の安心安全を確保する新たな概念「P2X(Pedestrian to everything)」とルートの最適化をめざす「オンデマンドバスの管制システム」の開発と検証が進められる予定だ。

     こうしたルートの最適化、運航管制、そしてそれらを「自動運転」で実現できた場合、都市部だけでなく地方・過疎地域におけるメリットが多くある。
     人口の減少による働き手の不足、それによる「交通機関の運転手不足」
     そして、乗客が少なく採算が合わないまま運航せざるを得ない交通機関、そこに使われるエネルギー。
     もし地方や過疎地域における運航管制や自動運転が実現すれば、こうした問題を解決すると同時に採算が合わない、人手不足という理由で「不便な場所がより不便になっていく」という問題を交通システムの観点から改善する糸口になるかもしれない。
    地方で進むスマートモビリティの試み
  • 燃料電池の生産体制

     次世代自動車の分野においては以前から水素燃料電池や電気など、新しい動力源で走る技術の研究が進んでいる。
     しかし、本当に地球上のあらゆる自動車がこうした次世代エネルギーに転換し、排気ガスを削減するためには大手メーカーによる燃料の大量生産が本格化しなければいけない。

     2017年1月、ホンダとGM(ゼネラルモータース)は2020年までに水素燃料電池を大規模に生産するための、ジョイントベンチャー設立を発表した。
     元々両社は2013年に燃料電池の開発について提携を発表していたが、今回発表されたのは「大規模な生産」であり、技術開発・検証フェーズから実用化・生産フェーズに入ることを意味している。

     水素燃料電池は、生産時の触媒に貴金属(白金)を用いるなど、製造コストや生産までの時間短縮が課題となっているが、提携時の発表内容はこうした問題も解消しコストの低減に繋がるとしている。
     燃料電池技術は、最大走行距離や効率性ですでに化石燃料や純粋な電気自動車を大きく上回っているともいわれており、こうした大手メーカーの本格的な燃料生産体制強化の動きによって、一気に普及が進むと期待されている。 燃料電池の生産体制

現在集まっている公募課題

  • 年々増え続ける自動車が生み出す環境負荷を軽減したい

     世界的に増大し続ける自動車保有台数。International Organization of Motor Vehicle Manufacturersによると、2012年の全世界の自動車保有台数は約11億4,000万台を数えた。過去5年で20%弱増えたように、途上国をはじめ世界各国で自動車の普及が…

    • スポンサー企業:AZAPA株式会社
    • 公開日:2015/01/08

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  • 再生可能エネルギーの実用化・改良で環境負荷低下に貢献する

     IEAが2008年に発表した「World Energy Outlook」によると、2030年の二酸化炭素(CO2)排出量は406億トンと予測されている。これは2015年より約20%増に相当する。ちなみに、琵琶湖(日本最大の湖)の貯水量は280億トンのため、その1.5倍弱が排出されると考えると、相当…

    • スポンサー企業:公益財団法人 日立環境財団
    • 公開日:2014/12/08

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