省力化・農業ICT

スマートアグリで農作業負荷を軽減

最終更新日:2016/12/14

推定市場規模
約20億ドル

 世界の人口は、2000年には60億人であったが、開発途上国を中心に人口が増加し、2050年には92億人に達する見通しである。これに伴い、食料需要全体が1.6倍(24.6億トン増)に拡大すると、農林水産省では予想している。ところが、消費者の安心・安全要求や環境規制が増加しているために、農業に係る手間やコストが増加している。
 今後は、自動生産プロセスを追求し、大規模農作によるスケールメリットや、単位面積あたりの収量を向上させることで、安全な農作物を、世界に行き渡らせることが可能になると期待されている。
 そして、この解決策の一つとしてあげられる農業のIT化は、Research and Markets社による「Global Vertical Farming/Plant Factory Market - Forecasts to 2020」での調査を元にすると、2020年には全世界で約20億ドルにも上ると予測されている。

未来への変化の兆し

  • IT化農業

     農業に関する研究は、不作を無くすことや安定した品質と収穫量を環境に左右されずに実現することを目指している。
     特にIT技術を導入したセンサーや管理システムの分野では、光環境装置、温度・湿度制御装置、空気清浄、養液土嚢栽培装置、水処理装置など個々の装置が作物の状態をあらゆる角度からセンシングし、ほぼ自動で作物を栽培する研究が活発である。
     また作業実績や生育情報などをデータとして蓄積・分析することで農業経営を支援するビックデータ的な手法や、栽培歴の最適化・農産加工品販売の管理機能など「収穫される量や質を高める農業」への取組みも広がっている。

     既に三重県では、栽培施設内の「フィールドサーバ」と呼ばれる装置によって気温・湿度等の各種環境データをコンピュータに自動送信し、計測データを基に灌水量等をコントロールし収穫適期のタイミング等を予測する手法が実用化されつつあり栽培の過程を管理することで人的作業を軽減すると同時に、収穫される作物の品質向上も見込めるのである。
     また農業情報システムと販売管理システムがネットワークで共有されることで、従来は長年の勘や限られた人同士での情報交換に頼っていたノウハウ・実績の共有を円滑に経営者や多業種にも提供し、農業全体のの利益向上に結び付けるなどの試みも実用化されつつある。

     こうした研究がより進むことで生産活動の数値化、映像での確認や記録に加え遠隔からすべての農作業をトータルで管理し出荷段階まで実行することが可能となり、農業生産を繰り返すなかで常に改善と最適化がなされる仕組みの導入が実現すると期待されている。 IT化農業
  • 無人で農業

     現在、広大な田畑に肥料散布する手法として無人ヘリコプターを利用するケースが増えている。
    これは農薬散布という重労働ができる農業就業者が減少すると共に急速に普及してきた手法であり、現在日本国内では約2550機あまりの農業用無人ヘリコプターが導入されている。

     この数は2000年から2013年に比べて実に1.8倍も増加しており、栽培形態の多様化が進み適切な農薬の種類や散布量が細分化するなかで、広い面積に一度に散布する場合むしろ人力よりも無人機械の方が効率的なのである。
     農業用無人ヘリコプターは現在ヤマハ発動機株式会社が多く生産しており、麦・水稲・大豆・果樹・野菜など多くの作物に対応し殺虫除菌防除だけでなく肥料散布や除草剤散布など様々な用途で活用ができる。

     こうした技術の実用化や標準化には安定した監視システムや通信技術が必須だが、ドイツの国策として取り組まれているインダストリー4.0と呼ばれるものや、IoT(Internet of Things)の世界的な推進によって従来よりもより実現しやすい環境が整ってきたと言える。

     農家の高齢化による労働者減少傾向・作業負担増という現状において、農作業の省力化・低コスト化は国内食糧自給率向上のために欠かせない要素であり、農薬散布に留まらず農機械の多くは収穫ロボットや栽培方法の改善など、自動化に向けた研究が進んでいる。
     最小コストで最大成果(収穫)を追求するうえで無人型・自動型農業は欠かせない分野となっている。 無人で農業
  • 農業IT先進国、オランダに学ぶ

     オランダという国は大半の人が知っているが、実は日本の九州とほぼおなじ面積しかなく、しかも岩塩混じりの土壌、曇天が多い気候で、ヨーロッパの小国であることは意外と知られていない。
     しかも、そんな国土や環境に恵まれていないオランダが世界で「農作物輸出額第2位」であることも、あまり知られていない。オランダは農業ITの先進国なのである。

     オランダでは一般農家の約80%が、給水や肥料供給の管理を自動制御システムによって制御し農作物を育てている。
     国名を聞いて想起されやすいチューリップなどの「生花」についても、1990年から生花の育成や流通システムのIT化のため援助支援金を出し続けており、遠隔競売システムの導入でボタン一つで世界のどこからでも競りに参加できるほどのシステムを保有している。

     元々、オランダは1980年台にスペインやギリシャなど温暖で作物の育成に適した南欧の国からの農作物が流通し、国産物の売れ行きで危機に瀕していた。
     そこで農業従事者はコンピューター制御のしやすい温室内での管理、効率的な栽培システムの試行錯誤を重ね、生産量と輸出量を伸ばし、最終的には2013年から政府による資金援助を得るまでになった。

     今後も、種まきや肥料供給に使うドローン操縦用のアプリケーションの実用化なども計画されている。
     国土が小さく、栽培に向いてない土壌でもITの活用によって効率的な作物生産が出来ることを実証したオランダに、世界の農業従事者が学べる点は多いと思われる。 農業IT先進国、オランダに学ぶ
  • 夜でも作業を続ける農業用ドローン

     ドローンを使って農作業を軽減、と聞いて「広大な農地でも肥料や殺虫をやってくれて楽なのかも、でもヘリコプター使えば同じでは?」とイメージする人がいるとしたら、それは半分正解で、半分間違っているのかもしれない。
     ヘリコプターでの害虫駆除などは以前からあったが、操縦者の高い技能を必要とし、まして夜であればより熟練した操縦者がいなければ到底無理だと言える。

     佐賀大学と、株式会社オプティムが共同で行った「アグリドローン」の実験は、こうした従来の常識を覆す可能性を持っているかもしれない。
     近赤外線カメラとサーモカメラを状況に応じて切り替え、自動飛行機能を装備し、ドローン対応の殺虫器を搭載したアグリドローンは、多汗の自動飛行実験に成功しており、カメラ撮影された画像の解析によって害虫のいる場所を特定し、ピンポイントでの駆除を夜間に行う、といったことも可能である。

     こうした仕組みが実用化され、広く普及すれば「夜間は見えないから」「長時間の作業は限界がある」など人力に頼ることで起きる農作業の限界を、飛躍的に改善する可能性を持っている。 夜でも作業を続ける農業用ドローン

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