グローバルフードチェーン・計画的な養殖

食糧の過剰生産をコントロール

最終更新日:2017/07/04

推定市場規模
8000億円

 グローバルなフードチェーン全体をみると、世界の農業生産量の3分の1(約13億トン)の食料が毎年廃棄されており、食品廃棄物にかかる経済的コストは約7500億ドルにのぼるという(FAO報告書)。またこうした廃棄される食品を生産する際に生じる家畜の糞尿による悪臭や騒音、農薬による環境汚染などの被害も大きな問題となっている。

 このため、フードチェーンでの廃棄を省き、必要のない農業生産を抑制することが求められている。この際、過剰在庫や返品等によって発生する食品ロス等は、個別企業等の取組では解決が難しく、川上から川下に至るフードチェーン全体で解決していくことが求められている。
 一方、世界的規模で注目される食糧の燃料化に関しては、ジェトロの調査によると2020年には8000億円規模にのぼるとされている。

未来への変化の兆し

  • 水産物の養殖計画

     近年の養殖技術向上により海産物の生産コストは大幅に下がったが同時にエサや排せつ物に起因する池や海の汚染、周辺地域の排水への影響などの問題を引き起こし、養殖された生物のストレス障害や病原菌侵入によって出荷されずに廃棄となるケースも増加している。

     従来こうした養殖場での発生する感染症には決定的な解決策が無く、養殖した全ての海産物を出荷できないこと前提で生産計画を取らざるを得なかった。しかし徐々にこうした損失原因の予防や防除の研究が進みつつある。

     東京海洋大学大学院は養殖エビの感染症病原菌をゲノム解読し、感染症を引き起こす特徴的な遺伝子群の存在を明らかにした。これは感染すると100%死滅するエビの感染症に対して病原菌を早期発見・養殖池から排除する方法を確立することで被害低減に繋がるとされ、現在タイ国内で迅速診断法の開発に取り組んでいる。
     こうした技術が実用化されれば最初から廃棄される分を前提とした無駄コスト発生を防ぎ、水産物に悪影響を及ぼす病原菌のみの防除や感染症拡大を防ぐことが可能となる。

     水産物の養殖においては病原菌防除技術の他にも情報通信システムや再生可能エネルギーを活用し、水の衛生状態を適切に管理するための技術も研究が進んでおり、良質な環境を維持し飼育生物の廃棄を限りなく抑えることが可能になると期待されている。 水産物の養殖計画
  • 農薬の削減

     イネ苗床で発生する病害には馬鹿苗病やいもち病等がある。これらを防除するために、殺菌剤を用いた種子消毒あるいは土壌混和処理などが実用されているが、同系殺菌剤の連用に伴い耐性菌の出現が危惧されている。
     そこで化学農薬の代わりに、特殊な細菌を用いてイネ苗床の病害の発生を防除する方法が提案されている。これにより耐性菌の出現を回避しつつ、身体に良い農作物を経済的に生産できると見込まれている。

     この方法は新規微生物菌株を用いて植物病害防除をするという方法によって、イネの育苗の際に発生する糸状菌性病害などに対し、従来よりもはるかに防除効果があり人体への影響が少ない病害防除剤として研究が進んでおり、従来の方法よりも防除効果を飛躍的に高め、同時に化学農薬の懸念点であった人体への影響という点においても「微生物を供試する」という方法により大幅な効果が見込める。

     この微生物を素材とする手法の研究が進むことで、防除困難とされるイネ病害を育つ前の種子あるいは育苗の段階で防除する事が可能となり、安定した収穫を実現しながらも人体への影響低減だけでなく、環境保全や省資源などにも寄与すると期待されている。 農薬の削減
  • 需要を先読みした食糧生産

     育てた作物をいつ、どのタイミングで収穫するか。これは農作物を生産する人たちにとって永遠の悩みだ。
     需要を先回りして知ることができれば、最も効率的な収穫計画が立てられる。
     しかし実際には市場に出したが売れない、直売を行っても売り先が限られるなどのケースは後を絶たない。

     2016年7月に、農業の効率化を支援するベンチャー企業「プラネットテーブル」と野菜の直販を行う農業法人みずほは、ITを駆使して需要を予測し、その情報を元に収穫した作物を高級店に直送するサービスを開始した。

     実は、店舗ひとつひとつを見ていくと、細かな需要予測を立てていることがある。
     「気温が高くなると酸味の強いトマトが○個必要だ」
     しかしこうした情報は作物を買い付ける店舗側固有の知識として、いままで作物の物流全体に共有されることはなかった。

     こうした仕組みは、農家の収入増という短期的なメリットがあるが、本格的な取り組みによって無駄なコストや機会損失を抑え、結果的に食糧の過剰生産を抑止する可能性も持っている。 需要を先読みした食糧生産
  • 作物、食糧問題にIoTで挑戦するスタートアップ

     国連食糧農業機関(FAO)のデータでは、農場から加工会社、店舗、実際に食卓に上るまでのプロセスにおいて、年間およそ1兆ドルの作物が無駄になっているという。
     アフリカやアジアの途上国での割合が大きいが、欧米など先進国でも10%以上の作物が無駄になっており、経済基盤関係なく全世界共通の課題といえる。

     IoT技術の発達で、こうした問題に取り組む企業が多く現れている。
     アメリカのCentaur Analytics社は作物貯蔵時の品質と安全のため、保存状態を監視する技術を提供している。害虫は作物を食い荒らすだけでなく貯蔵場所の湿度を変化させ二次被害も広がる。燻蒸剤を投与することで対策を講じるのが従来の手法だが肝心の投与量を誤れば全く害虫に効き目がなくなるが、このシステムを利用することで事前予測や適切な対応が可能となる。
     そして、逐一目視で監視するために倉庫まで出向かずとも、より精度の高い状況をスマートフォン等に通知してくれる。これは農作物の流通にかかわる人たちの作業負荷軽減にもなる。

     経験や勘に頼るものではなく、対策も適切に行え、作業負荷も軽減される。
     農作物の流通とロス軽減におけるこうしたソリューションの発展は、農作物に関する労働問題全体にも、良い影響があると期待されている。 作物、食糧問題にIoTで挑戦するスタートアップ

現在集まっている公募課題

  • あなたもastamuseに課題を掲載してみませんか?
    astamuseには月間150万人の技術者がサイトを訪れています。

    astamuseに課題掲載しませんか? あなたの技術的な課題に応えられる技術者がastamuseにはいるかもしれません。 技術分野問わず、未来につながる技術課題をastamuseに掲載してみませんか?

    課題掲載について問い合わせる

本ページに掲載されている公募案件については時点での内容を掲載しております。
各公募内容における報酬や条件、詳細につきましては各リンク先に記載されている内容を
ご確認頂けますようよろしくお願いいたします。

この課題を解決するために共有する

この課題に関連する成長市場

関連する成長市場はありません

「食糧の過剰生産をコントロール」に関連する未来の課題