節水農業・アグリバイオ・エコ農薬

環境を汚染しない農作物生産技術

最終更新日:2016/09/12

推定市場規模
1兆円

 近年、農業分野での化学肥料やバイオテクノロジーなどの技術革新によって収穫量は急激に増加し、アメリカでは1ヘクタール当たり2.5トンだった収穫量が同面積で9.4トンに増加したとの報告もある。
 しかしその反動として環境への悪影響が懸念され、例えば耕作地や家畜へ栄養素を過剰に与えると水中生態系の富栄養化を引き起こし、その水も飲用や工業用に適さなくなる恐れがある。これは毎年300万人が農薬中毒を起こし、およそ22万人が亡くなるであろうと見積もられている。
 そのため環境に適応した持続可能な農業方法の確立が喫緊の課題となっており、2020年の世界市場規模は弊社独自の分析によると約1兆円規模になる。

未来への変化の兆し

  • 身体に良い農作物を安定的に収穫

     イネ苗床で発生する病害には馬鹿苗病やいもち病等がある。
    これらを防除するために、殺菌剤を用いた種子消毒あるいは土壌混和処理などが実用されているが、同系殺菌剤の連用に伴い耐性菌の出現が危惧されている。
    そこで化学農薬の代わりに、特殊な細菌を用いてイネ苗床の病害の発生を防除する方法が提案されている。これにより耐性菌の出現を回避しつつ、身体に良い農作物を経済的に生産できると見込まれている。

     イネの育苗の際に発生する糸状菌性病害などに対し、新規微生物菌株を用いて植物病害防除をする。これにより従来の方法よりも防除効果を飛躍的に高め、同時に化学農薬の懸念点であった人体への影響という点において「微生物を供試する」という方法により大幅な安全性が見込める。

     この微生物を素材とする手法の研究が進むことで、防除困難とされるイネ病害を育つ前の種子あるいは育苗の段階で防除する事が可能となり、安定した収穫を実現しながらも人体への影響低減だけでなく、環境保全や省資源などにも寄与すると期待されている。 身体に良い農作物を安定的に収穫
  • 水中生態系の保全により水資源を確保

     閉鎖性水域での水質汚染要因の一つに、富栄養化水中に含まれるリンの溶出がある。

     そこでリン酸を効率よく回収して安価に富栄養化水の浄化を行うと共に、回収したリンを有効に再利用する技術が提案されている。これにより富栄養化を抑止し水中生態系を保全し、その結果農業用水に適した水資源を確保することも可能になるとの期待が寄せられている。
     リン資源は下水汚泥から回収する場合、強アルカリ溶液によってリン酸イオンを抽出しリン酸化合物として回収するという手法やリン吸着担体を設置することにより水中のリンを吸収させるといった方法も存在する。リンを汚水や富栄養化水中から回収することによって、かつて活用不可能だった汚水を農業用水として活用する等、食糧生産において欠かせない「水資源」として使用できる。

     そして回収されたリン資源も、100%海外からの輸入に依存するリン鉱石資源の乏しい日本にとって貴重な資源となる。汚水から回収した状態では使用できないリンを高度合併処理浄化槽などを用いて不純物を取り除くリサイクル方法が考案されている。
     現在これらの方法は高度な処理技術を要するが、より簡易で純度の高い水質の浄化、その後の回収資源活用が実用化されることで、農作物の生産性向上や枯渇資源の問題解決が期待できる。 水中生態系の保全により水資源を確保
  • 散布量が少なくて済む夢の農薬

     意外と知られていないが、畑で散布される農薬のうち98%は作物に付着せず、ただ周辺の土壌や河川を汚染するだけで終わってしまう。
     これは、植物がそもそも水を跳ね返す性質を持っているからで、そのため「残りの2%」でしっかり効果を出すために、どうしても必要以上の散布量となってしまう。

     跳ね返されず、しっかりと作物に浸透する農薬が誕生すればこの状況は劇的に変わる。
     この夢の農薬開発に取り組んでいるのが、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームだ。

     研究チームが編み出した手法は、散布する農薬に二つの高分子添加物を加える。
     このうち一つはプラスの電荷を帯び、もう一つはマイナスの電荷を帯びている。反対の電荷を帯びた液体の粒同士が植物の表面で合わさり、水を引きつける性質を持つ膜を作りだす。
     植物にしっかりと付着するだけでなく、周りの水滴もそこに取り込まれる。

     この手法が確立された場合の試算は「農薬使用量は従来の10分の1で済む」となっている。

     食糧の効率的な生産、大量生産は常に周辺の環境破壊や生態系への影響と隣り合わせであり、こうした夢の技術が実用化されることで食糧生産の未来に大きな変化が起きると期待されています。 散布量が少なくて済む夢の農薬

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