クラウド医療・新薬開発シミュレーション

最新治療を享受できる社会インフラ

最終更新日:2016/11/18

推定市場規模
約500億ドル

 医療分野における様々な新薬の開発、治療技術の確立は人間の平均寿命を長くし、あらゆる病気に対する恐怖を克服してきた。しかし、未だ国や地域ごとの医療格差や特効薬がなく死亡率の高い病気の撲滅にまでは至っていない。IT技術の医療分野への活用は未だに残るこれらの課題を解決するひとつの有効手段として期待されている。
 世界中どこでもかかりつけの医者と同様の診察が受けられる電子カルテネットワークの確立や、膨大な処理を要する新薬開発のためのシミュレーションにおけるクラウド上での計算環境利用など、未来の医療技術を促進するためにIT技術が秘めている可能性は大きい。
 そして、marketsandmarkets.comが発表した「Global Healthcare IT Market」において、医療分野におけるIT/クラウド・コンピューティング活用の分野は2017年に全世界で約500億ドルもの市場規模になると予測されている。

未来への変化の兆し

  • どこでも高品質な医療サービス

     旅行先や初めて診察する病院では、普段掛かりつけの病院にあるカルテや本人情報が共有されておらず専門医や検査機が不足している場合もある。場所を問わず常に万全の医療サービスを受けるためにはこうした問題の解決が欠かせない。
     一つの方法として、電子カルテなどの医療情報を全世界規模のセキュアなネットワークで接続するというやり方がある。それによりカルテ・本人情報や過去の治療歴などを参考にしいつでも・どこでも現時点で最高の医療を享受できるようになる。

     広島県と広島県医師会が構築し既に運用されている「ひろしま医療情報ネットワーク」では患者の了承・参加意思を確認の上、医療情報の連結と共有を実現している。 具体的には本人認証カードを所持することで検査・診療情報をどの医療機関であっても閲覧・更新が可能となり、オンラインで処方薬の管理を行う。
     また災害時や緊急時にも本人の生体情報・健康状態・病歴などがすぐさま確認可能なため常に最適で無駄のない治療を受けることが可能であると考えられている。

     こうしたサービスを世界中のどこでも実現するためには、限られた地域だけでなく全世界的なネットワークの構築とそこにあるデータを守るセキュリティシステムが欠かせない。
     近年ドイツの国策として取り組まれているインダストリー4.0と呼ばれるものや、IoT(Internet of Things)分野の世界的な推進によって従来よりもより実現しやすい環境が整ってきたと言える。
     全世界で共通の医療ネットワークが構築されれば煩雑な説明や検査を省き、無駄な医療コストを取り除く事で患者の負担を軽減した最適な医療によって健康状態を支えられるようになる。 どこでも高品質な医療サービス
  • 新薬開発スピードの改善

     新薬開発の現場において、最も頭を悩ませる問題のひとつに「処理能力の限界」というものがあった。研究施設内の電力や設置スペースは限られており、スピーディな新薬開発に必要な高性能スーパーコンピュータやシミュレーションに必要な計算環境を用意する事も容易では無かった。
     しかし、クラウドコンピューティングの広まりによってこうした膨大な計算と処理能力を必要とするシミュレーションが可能となり、画期的な新薬開発に必要な環境は日に日に改善されつつある。

     従来、新薬の開発には10年以上の長い期間と膨大な費用が掛かるものの実用化されるのはそのうち僅か3万分の1程度のものと言われており、こうした過酷な状況を東京大学先端科学技術研究センターと富士通がスーパーコンピュータのクラウド化によって打開しようと動き出している。
     2014年から解析シミュレーション向けクラウドサービス「FUJITSU Technical Computing Solution TCクラウド(TCクラウド)」が始動し、生体内における高精度なシミュレーションを可能にすることで新薬開発が加速すると期待されている。
     このクラウド化を進めたことにより強力な計算能力を確保できるだけでなく共同開発をも促進させ、電力消費というコストも低減することが可能となった。

     これまで新薬の開発には長い月日と膨大なコストが掛かると共に実用化に至らない研究が数多くある等、様々な困難と隣り合わせだったが、こうしたクラウドの力によってより効率的且つ安全に精度高く新薬開発研究を進められる環境が実用化されつつある。 新薬開発スピードの改善
  • IoT向けクラウドサービスの普及

     遠隔治療に代表される、医療とITの融合に欠かせない要素として「インフラ」部分の整備と低コスト化が挙げられる。
     2015年10月に、世界最大級のクラウドサービスを提供するAWS(アマゾンウェブサービス)は、IoTアプリ構築に向けた新サービス「AWS IoT」を発表した。

     これはセンサーなどのデバイスからデータを収集・処理・分析し、結果に応じてアクションを実行するためのプラットフォームで、「デバイス・ゲートウエイ」と「ルールエンジン」から成る。

     スマホなどに比べてIoTデバイスはスペックが貧弱であり、電源オフ状態になったり故障が発生したりした場合、復旧したタイミングで最新情報を送ることができる。
     インターネットサービスにおいても、安価なクラウドデータベースの普及が多種多様なサービス確立の後ろ盾となった。多くのセンシングデータなどを扱うであろう医療の分野においてもこうしたIoTを意識したクラウドサービスの普及が欠かせない。 IoT向けクラウドサービスの普及
  • 3Dプリンタの医療活用でコスト削減

     最新治療を多くの人が受けるうえで、問題となってくるのが「高額な治療費」の問題である。
     治療法が確立されている病気でも、治療が受けられないために症状を悪化させたり、死に至るケースは多い。

     従来のコストを大幅に削減するために活用できる技術の1つとして「3Dプリンタ」への注目が高まっている。

     アメリカ、インディアナ大学では治療の結果下あごを切除した患者に3Dプリンタを使った精巧な「義顎」を提供した事例が2016年に発表されました。
     またオーストラリアのプリンスオブウェールズ病院では脊索種といわれる腫瘍ができた患者の治療にチタン製の3Dプリント脊椎骨を移植した事例が発表されています。

     これらの技術がより発展することで、高額な治療費問題の解決や、従来では時間の掛かった治療時間の改善、難病の治療に役立つと期待されています。
      3Dプリンタの医療活用でコスト削減

現在集まっている公募課題

  • 内視鏡外科手術の安全性・操作性を高め、医師の負担を軽減したい

     古来、薬を用いて治癒を実現する内科的な手法が医療行為の主流を占めていた。だが、19世紀以降に麻酔や輸血、消毒法などが確立・普及したことにより、手術中や術後の患者の容態を保てるようになった。こうした技術発展から、外科手術は内科と並ぶ医療行為の主流として地位を確立した。だが、外科手術には治療内容いかん…

    • スポンサー企業:リバーフィールド株式会社
    • 公開日:2014/12/17

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