気候変動予測・特殊環境対策

異常気象による被害を予防

最終更新日:2016/09/12

推定市場規模
300億円

 冷夏や豪雨や干ばつのように、特定地域における気象現象の確率分布からみて稀な現象を異常気象という。2002年夏、欧州では数百年に一度という大規模な洪水に見まわれ、40万人以上が避難し、被害額は推定160億ユーロにのぼる。一方で、米国カリフォルニア州では少雨の状態が続いており、2013年の年間降水量は1895年以降で最も少なくなり、飲料用水や農業用水が不足した。

 このような異常気象の対策として、地球温暖化防止のため温室効果ガスの削減のみならず、異常気象の予測技術を磨き上げ、社会構造を強化していくことが喫緊の課題である。

 帝国データバンク調べによる2012年市場規模は、気象予測は234億で前年比2.9%増、地震予測は52億で前年比36.5%増との発表があり、国内のみにおいても気象・地震予報の関連市場は300億円規模であり今後も広がるといわれている。

未来への変化の兆し

  • 超天気予報

     気象は生活との関わりが深い現象でありその研究は古代文明より行われてきた。
    しかし従来の天気予報は過去のノウハウや経験則の蓄積に頼る部分が大きく、精度や信頼性には限界があった。

     そこで、日本の気象庁では1959年からコンピュータによる気象データ処理を開始し数値予報モデルの確立を目指し、現在天気予報や台風情報の精度を高める大きなインフラとなっている。

     現在のコンピュータ天気予報は、解像度20kmの地球全体の一週間後の天気を約3分で処理する。
    ここでいう解像度とは「より詳細で精度の高いミクロな情報で地球の情報を入手し計算分析」することである。
    この解像度は年々向上し、空間三次元と時間軸において精度の高いシミュレーションが現実のものとなっている。それにより過去に経験のない異常気象に対しても予測が可能となりはじめている。

     天気予報が迅速・正確であることによって、時には人命に関わるような大きなリスクを事前に回避する事もできる。
    その影響範囲は個人の生活や農作物だけでなく、災害が引き起こす様々な経済的な打撃からも守る基盤技術となっている。 超天気予報
  • 節水農業

     イスラエルは国土面積の50%以上が砂漠で降雨量も少ないという厳しい条件下にある国で、極めて厳しい水環境に置かれているが、食糧自給率は約95%と非常に高い水準を保っている。

     この過酷な気候条件下にも関わらず高い食糧生産性を実現している1つの要因として「節水農業」がある。
    節水農業は、特殊で高度な化学技術や高価な機材、専門知識で実現されているのではなく「いかに少ない水資源を効率的に使うか?」という確立された方法論のようなもので、節水農業の手法が浸透する事で近年イスラエルは水の使用量を12%削減しながら農業生産額を以前より47%も延ばしたのである。

     全世界における水消費のうち70%は食糧生産に使用されている。
    従来の方法では作物の生産を増やすためには水の消費量も増えるのが常識だったが、節水農業の方法として浸透する「点滴灌漑農法」は前述のとおり水の消費量を減らしながら植物生育効率を高められるため、世界中で市場が拡大している。
    この点滴灌漑は、プラスチック製パイプに水と液体肥料を通して空いた穴から点滴するという非常にシンプルな仕組みのため導入障壁も低い。

     近年の異常気象とそれに伴う環境悪化により、水不足にあえぐ地域では干ばつや地下水の減少、湖沼の縮小など様々な問題が発生し作物の生産にも大きなダメージとなっているが、僅かな水量で農作物が作れる節水農業が広まる事でこういった問題を解決できる。
    また比較的水資源に恵まれた地域においても、より効率的に農作物を生育することが可能となり余剰水量を農業以外に充てられるようになるため、導入する時点で複雑・高度な環境を必要としない節水農業の強みは全世界に広まろうとしている。 節水農業
  • ゲリラ豪雨を高速・高精度で観測

     スーパーコンピュータを用いた気象シミュレーションは「範囲1kmで1時間ごと」のデータ更新を行っているが、この単位では近年日本でも多く見られるゲリラ豪雨に対応できない場合が多い。
     急速に発生・発達する積乱雲は1時間ごとの観測では追いきれず、また1kmごとの観測では積乱雲の状況を正しく計測することが困難だった。

     2016年8月、情報通信研究機構と大阪大学そして理化学研究所が誇るスーパーコンピュータ「京」が共同で開発した最新鋭のフェーズドアレイ気象レーダと、従来のデータを併せることで、「範囲100mで30秒ごと」という圧倒的な精度での気象シミュレーションを再現することに成功した。

     土砂崩れや交通機関の乱れ、河川の氾濫など経済的な損失のみならず人命の危機に繋がることもあるゲリラ豪雨の予測。
     現在はデータの同化に10分程度かかっており、これをデータ更新頻度と同じ30秒以内に収めれば、30秒ごとに変わる天気予報を元にした避難の呼びかけなどが可能になり、私たちの生活に大きな影響をもたらします。 ゲリラ豪雨を高速・高精度で観測

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