再生技術・保存技術

伝統文化財が残る社会を実現する

最終更新日:2018/06/18

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伝統文化財が残る社会の実現は、貴重な有形・無形伝統文化財を後世に残すだけでなく、修繕に掛かる費用や時間の節約にもつながります。

伝統文化やその技法は、後継者不足によって受け継がれずに消滅してしまう可能性が危惧されています。
また、有形文化財には修復に大きなコストがかかりますが、修復や再現を一度行っても劣化してしまうことや、自然災害による倒壊の可能性もあり、維持の難しさが問題点となっています。
近年の建築業界の人手不足がこのコストをさらに押し上げています。

この問題に取り組もうと、職人の技術をデータとして可視化する取り組みや、VR・ARによる伝統文化材の再現技術の開発、復元したあとに劣化させない清掃技術など、多くの取り組みが展開されています。

伝統文化財が残る社会を実現する

未来への変化の兆し

  • 「日本の文化を紡ぐ」バリューマネジメント

    株式会社バリューマネジメントは「日本の文化を紡ぐ」ことをテーマに、歴史的建造物や街並み、旅館等を後世に残す取り組みをしています。

    空き家になっている歴史的建造物を旅館やアニバーサリープレイスとして再開発し、運営することでビジネスでの利活用、利益化による維持継続を目指しています。
    旅館ではその土地の文化の体験を重視し、当時の地域の暮らしを体験することができるようにしており、古い建物の不便さもあえて残しています。

    日本の人口が減り、都市部への人口集中が進む中で文化財の保護は容易ではありませんが、観光資源として活用することで、伝統文化財の消失を防ぐことが出来ると期待されています。 「日本の文化を紡ぐ」バリューマネジメント
  • VR/AR/MRを用いて遺跡を体験

    株式会社アスカラボは、VR/AR/MR技術を用いて遺跡復元や建築シミュレーションを手がける、東京大学発ベンチャーです。

    飛鳥時代の建造物をコンピュータ・グラフィックスで復元し、その成り立ちや当時の歴史背景などの解説をつけ、当時と現在の風景を重ね合わせたVR映像として提供するアプリなどを提供しています。

    実際の場所にある光源環境のデータを取得し仮想物体の全方位から明るさを計算することで、物体表面の明るさを表現したり、影付けした情報を組み合わせることで、どこから見ても実際の空間との融合に違和感なく仮想物体、遺跡を見られるようになりました。

    遺跡復元はこれまで、当時の遺跡を実際に復元する手法が主流でしたが、数百億円の投資が必要となり、遺構を破壊する可能性もあります。ITを活用した復元法もありましたが、コンピュータ・グラフィックスを活用した復元では臨場感が不足したり、ARによる遺跡復元には陰影付けや人物の重ね込みができないという問題がありました。

    アスカラボのような質の高いARによる遺跡復元は、伝統文化材をデータとして残すだけでなく、既になくなってしまったものの再現にも効果を発揮するでしょう。 VR/AR/MRを用いて遺跡を体験
  • 文化財そのものの寿命を伸ばす「グランドライン」

    グランドラインは、重要文化財を清掃・再生する技術を開発する、日本のベンチャー企業です。

    重要文化財の多くは長年の雨や汚れによって老朽化し、そのまま放置すれば消失するだけでなく、倒壊によって周囲に危険を及ぼします。グランドライン社が開発した木材劣化診断や保全技術は、文化財を損傷せずにバイオ・生物の知見を活かした清掃や、清掃後の風化や劣化を抑えるコーティング技術などを活用し国内の伝統文化財の保護活動を行っています。

    これまで劣化した文化財は建て直しや彫り直しをおこなうことが多くありました。しかし寿命そのものを長くすることで作り直しのコストを減らすことにもつながります。

    彼らの技術は日本国内の文化財だけでなく、多くの歴史遺産がありながら十分な保護活動が行われていないアジア圏などにも技術を輸出しており、世界中の文化財の保護を目指しています

    (参考記事)
    世界文化遺産や重要文化財、歴史的建造物を長く後世に残す、木材劣化診断と保全技術 ――株式会社グランドライン
    https://astavision.com/contents/interview/4617
    文化財そのものの寿命を伸ばす「グランドライン」
  • ヨーロッパの貴重な文化財を保全する「TH-conservations」

    TH-conservationsは、芸術品や文化財の保全と修復活動を行う、スイスのベンチャー企業です。

    欧州に多く存在する、15世紀や17世紀から残る貴重な文化財、これらは損傷がひどく今すぐにも崩壊しそうな状態にあります。
    彼らは独自の技術で、これらの文化財の保全のため状態の精密な測定や、微細な洗浄による復元、三次元の素材を活用した忠実な復元などを行い、スイス国内を中心に多くの文化財を復元・保全しています。

    また、3DスキャニングとCNC生産の技術を活用し、復元すら難しい状態にある文化財において消失してしまった箇所を再生し、設置場所周辺の環境から今後長期間にわたって劣化しにくい処理などを施しています。

    彼らは現在スイス国内を中心に、数100年前から残る芸術品や文化財の保全と修復事業を展開しつつ、建築会社などと連携し欧州全体の文化財保全に動こうとしています。 ヨーロッパの貴重な文化財を保全する「TH-conservations」

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