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技術 プロトン伝導体

出願人 今宿晋宇田哲也粟倉泰弘
発明者 今宿晋宇田哲也粟倉泰弘
出願日 2007年7月20日 (8年10ヶ月経過) 出願番号 2007-189873
公開日 2009年2月5日 (7年3ヶ月経過) 公開番号 2009-023883
状態 未査定
技術分野 重金属無機化合物(II) 導電材料 燃料電池(本体)
主要キーワード 寸法因子 RC並列回路 特性周波数 電気伝導度σ 焼結ペレット 結晶粒界密度 バインダー液 水素選択透過膜

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課題

プロトン伝導体結晶粒径を大きくして全体の抵抗を低下させる。

解決手段

AZrO3(Aはアルカリ土類金属)の組成式表記されるペロブスカイト構造を有する酸化物であるプロトン伝導体において、Zrを元素Ma及びMbで置換する。元素MaはMaはY、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる元素群のうち少なくとも1種類の元素、元素MbはSc及びInのうち少なくとも1種類の元素である。

背景

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燃料電池は、水素酸素電気化学反応によってもたらされる化学エネルギーを、熱エネルギーを経ることなく直接電気エネルギー変換することのできる発電効率の高い発電装置である。その用途としてはノートパソコン携帯電話といった携帯用電子機器から、自動車電車等の交通機関家庭用発電機、発電所まで広い範囲が期待されており、開発が進められている。

燃料電池には固体高分子型アルカリ型リン酸型、固体酸化物型等があり、その中でも固体酸化物型のものは発電効率が55〜60%と高い。固体酸化物型の燃料電池は電解質としてペロブスカイト構造を有する酸化物が用いられており、イオン伝導性の高い電解質の開発が燃料電池の開発と共に進められている。例えば特許文献1ではプロトン酸素イオン混合イオン伝導体であるペロブスカイト構造を有する酸化物について提案されている。
特開2000−302550号公報

概要

プロトン伝導体結晶粒径を大きくして全体の抵抗を低下させる。AZrO3(Aはアルカリ土類金属)の組成式表記されるペロブスカイト構造を有する酸化物であるプロトン伝導体において、Zrを元素Ma及びMbで置換する。元素MaはMaはY、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる元素群のうち少なくとも1種類の元素、元素MbはSc及びInのうち少なくとも1種類の元素である。

目的

そこで、本発明は、結晶粒が大きく全体の抵抗の低い、ペロブスカイト構造を有する酸化物からなるプロトン伝導体を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項

請求項1

組成式AZr1-x-yMaxMbyO3(Aはアルカリ土類金属のうち1種類の元素、MaはY、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる元素群のうち少なくとも1種類の元素、MbはSc及びInのうち少なくとも1種類の元素であり、x、yは0<x<1,0<y<1,0<x+y<1を満たす)で表される、ペロブスカイト型構造を有する酸化物からなることを特徴とするプロトン伝導体

請求項2

AがBa、MaがY、MbがScであることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導体。

請求項3

x/y≧1であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロトン伝導体。

請求項4

x=0.1、y=0.05であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロトン伝導体。

請求項5

請求項1〜4のいずれかに記載のプロトン伝導体を電解質として備えることを特徴とする燃料電池

詳細

技術分野

0001

本発明は、プロトン伝導体、特に燃料電池電解質や水素選択透過膜として利用可能なプロトン伝導体及びこれを備える燃料電池に関する。


背景技術

0002

燃料電池は、水素酸素電気化学反応によってもたらされる化学エネルギーを、熱エネルギーを経ることなく直接電気エネルギー変換することのできる発電効率の高い発電装置である。その用途としてはノートパソコン携帯電話といった携帯用電子機器から、自動車電車等の交通機関家庭用発電機、発電所まで広い範囲が期待されており、開発が進められている。

0003

燃料電池には固体高分子型アルカリ型リン酸型、固体酸化物型等があり、その中でも固体酸化物型のものは発電効率が55〜60%と高い。固体酸化物型の燃料電池は電解質としてペロブスカイト構造を有する酸化物が用いられており、イオン伝導性の高い電解質の開発が燃料電池の開発と共に進められている。例えば特許文献1ではプロトン酸素イオン混合イオン伝導体であるペロブスカイト構造を有する酸化物について提案されている。
特開2000−302550号公報


発明が解決しようとする課題

0004

燃料電池等に用いられる固体電解質は、ジュール熱による損失を低減して燃料電池等の効率を向上させるため、抵抗が低いほどよい。特許文献1で提案されているペロブスカイト構造を有する酸化物のうち、BaCeO3にGdをドープしてCeの一部を置換したものは電気伝導性が600℃で10-2Scm-1程度と高いものの、燃料電池の反応生成物であるCO2とH2Oを含む雰囲気下では分解するという欠点がある。一方、BaZrO3にYをドープしてZrの一部を置換したものは、CO2とH2Oを含む雰囲気下でも安定に存在するものの、電気伝導性が600℃で10-3Scm-1程度と、BaCeO3にGdをドープしたものと比べて低い。

0005

BaZrO3では結晶粒内よりも結晶粒界の方が抵抗が高いため、結晶粒界密度を低くして全体の抵抗を低下させるために結晶粒径は大きい方が好ましい。しかし、BaZrO3にYをドープしたものは焼結時に結晶粒の成長が起こらず結晶粒が小さいため結晶粒界密度が高く、全体の抵抗が高いものとなる。

0006

そこで、本発明は、結晶粒が大きく全体の抵抗の低い、ペロブスカイト構造を有する酸化物からなるプロトン伝導体を提供することを目的とする。


課題を解決するための手段

0007

上記目的を達成するために、本発明のプロトン伝導体は、組成式AZr1-x-yMaxMbyO3(Aはアルカリ土類金属のうち1種類の元素、MaはY、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる元素群のうち少なくとも1種類の元素、MbはSc及びInのうち少なくとも1種類の元素であり、x、yは0<x<1,0<y<1,0<x+y<1を満たす)で表される、ペロブスカイト型構造を有する酸化物からなることを特徴とする。

0008

又、本発明は上記構成のプロトン伝導体においてAがBa、MaがY、MbがScであることを特徴とする。

0009

又、上記構成のプロトン伝導体においてx/y≧1であっても構わないし、x=0.1、y=0.05であっても構わない。

0010

又、本発明の燃料電池は上記構成のプロトン伝導体を備えることを特徴とする。


発明の効果

0011

本発明によると、結晶粒径が大きく、結晶粒内よりも抵抗の高い結晶粒界の全体に占める割合が少ないため抵抗の低いプロトン伝導体を得ることができる。又、抵抗の低いプロトン伝導体を電解質として用いることにより、ジュール熱の発生及びこれによる損失を抑制することができ、燃料電池の効率を高いものとすることができる。


発明を実施するための最良の形態

0012

本発明の実施形態について図を用いて説明する。図1は、本発明のプロトン伝導体の原子の配置の構造を示す単位格子の模式図である。

0013

AZrO3の組成式で表記されるペロブスカイト構造を有する酸化物は、図1に示す単位格子において、A原子は各頂点、Zr(ジルコニウム)原子は中心(体心)、O(酸素)原子は各面の中心(面心)に位置する。

0014

本発明のプロトン伝導体は、このAZrO3の組成式で表記されるペロブスカイト構造を有する酸化物であり、Zrの一部が2種類の元素Ma及びMbで置換されている。つまり、本発明のプロトン伝導体は、AZr1-x-yMaxMbyO3と表記することができる。ここで、元素Aはアルカリ土類金属のうち少なくとも1種類の元素である。元素Maは、Y(イットリウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)及びLu(ルテチウム)からなる元素群のうち少なくとも1種類の元素であり、元素Mbは、Sc(スカンジウム)及びIn(インジウム)のうち少なくとも1種類の元素である。元素MaとしてはYが好ましく、元素MbとしてはScが好ましい。x及びyは、x/y≧2を満たすことが好ましく、それぞれ0.05≦x≦0.3、0.05≦y≦0.3を満たすことがより好ましく、x/y≧1を満たすことがさらに好ましい。

0015

本発明のプロトン伝導体は、価数が4のカチオンであるZrを、価数が3のカチオンである元素Ma及びMbで置換したものである。元素Maを構成する元素群は、希土類元素のうち、安定なカチオンの価数が3であり、かつイオン半径がZrと近いかそれ以下である元素からなる。又、元素Mbを構成するScはイオン半径が希土類元素で最も小さく安定なカチオンの価数が3であり、InはScとイオン半径が近く、安定なカチオンの価数が3でである。元素Maを添加し、更に元素Mbを添加することによって焼結時の結晶成長を促進することができるため、結晶粒界密度を少なくすることができる。BaZrO3系のプロトン伝導体を含む固体電解質は、結晶粒内よりも結晶粒界の方が電気伝導度が低いため、結晶粒界密度を少なくすることにより全体の電気伝導度を向上させることができる。

0016

ここでアルカリ土類金属とはBe(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)を指し、希土類元素とはSc、Y、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho、Er、Tm、Yb、Luを指す。

0017

又、元素Ma及び元素Mbの価数が3であることにより、本発明のプロトン伝導体は酸素空孔を有し、酸素の価数が−2で安定であれば酸素の数が化学量論比よりも少なくなるため、組成式は正確にはAZr1-x-yMaxMbyO3-δと表記すべきである。しかし、本実施形態ではこのような場合でもAZr1-x-yMaxMbyO3と表記することとする。

0018

(本発明のプロトン伝導体を用いた燃料電池)
図2に本発明のプロトン伝導体を用いた燃料電池の模式図を示す。燃料電池10は、水素分子をプロトンに分解するアノード11と、アノード11から供給されたプロトンを伝導する本発明のプロトン伝導体からなる固体電解質12と、固体電解質12から供給されたプロトンを酸化させるカソード13とが順に積層されてなる。アノード11及びカソード13は、配線によって負荷20に接続される。アノード11は水素極、カソード13は空気極とも呼ばれる。

0019

アノード11には水素ガス(H2)が、カソード13には酸素ガス(O2)又は酸素ガスを含む空気が、それぞれ外部から供給される。アノード11では水素ガスが酸化されてプロトン及び電子が発生する。アノード11で発生したプロトンは固体電解質12を介してカソード13に供給され、電子は負荷20を経てカソード13に供給される。カソード13では酸素ガスが固体電解質12から供給されたプロトン及びアノード11から供給された電子によって還元され、水(H2O)が発生する。このような酸化還元反応によって発生した電位差によって負荷20が駆動される。電気伝導度の高い本発明のプロトン伝導体を固体電解質12として用いることにより、ジュール熱の発生及びこれによる損失を抑制することができ、燃料電池10の効率を高いものとすることができる。

0020

試料作製方法
ACO3、ZrO2、Ma2O3及びMb2O3の粉末出発材料として、固相反応法により作製する。所定の配分に量した各粉末をプラスチック容器ジルコニア(ZrO2)製のボールとともに入れ2‐プロパノールを加えて24時間のボールミルを行う。ボールミルを行った粉末混合物ナスフラスコに移してエバポレータを用いて50℃で減圧乾燥した後、ビーカーに移してホットスタラーを用いて120℃で2‐プロパノールを蒸発させる。

0021

2‐プロパノールを蒸発させた粉末混合物を1000℃でか焼した後、2‐プロパノールを加えて8時間のボールミルを行い、ナスフラスコに移してエバポレータを用いて50℃で減圧乾燥した後、ビーカーに移してホットスタラーを用いて120℃で2‐プロパノールを蒸発させる。

0022

2‐プロパノールを蒸発させた粉末混合物を、直径19mmのダイスを用いてプレス機で9.8MPaの圧力ペレット成形し、1300℃で10時間保持する。その後ペレットを常温メノウ乳鉢粉砕し、2‐プロパノールを加えて8時間のボールミルを行い、ナスフラスコに移してエバポレータを用いて50℃で減圧乾燥した後、ビーカーに移してホットスタラーを用いて120℃で2‐プロパノールを蒸発させる。

0023

2‐プロパノールを蒸発させた粉末混合物を、再び先と同じ条件でペレットに成形し、1300℃で10時間保持する。その後ペレットをメノウ乳鉢で粉砕し、得られた粉末に対してX線回折装置を用いて相の同定を行う。

0024

X線回折装置による相の同定によって、AZrO3構造の単相確認された粉末は、2‐プロパノールを加えて100時間のボールミルを行い、エバポレータを用いて減圧乾燥し、ホットスタラーを用いて2‐プロパノールを蒸発させる。

0025

X線回折装置による相の同定によって、AZrO3構造以外の相が確認された粉末は、2‐プロパノールを加えて8時間のボールミルを行い、エバポレータを用いて減圧乾燥し、ホットスタラーを用いて2‐プロパノールを蒸発させる。2‐プロパノールを蒸発させた粉末混合物を、再び先と同じ条件でペレットに成形し、1300℃で10時間保持した後、メノウ乳鉢で粉砕する。得られた粉末に対してX線回折装置を用いて相の同定を行い、以上のプロセスを繰り返す。

0026

AZrO3構造の単相が確認された粉末と、この粉末の質量の1/7の質量のバインダー液とをメノウ乳鉢で15分間混合して目開き150μmのステンレスふるいにかける。ここで、バインダー液はエタノール10mlとポリビニルアルコールPVA)2gとグリセリン1mlと脱イオン水200mlとを混合した液体である。ふるいにかけた試料を、直径11mmのダイスを用いて392MPaの圧力で10分間保持してペレットに成形し、600℃で8時間保持してバインダー液を除去する。このペレットを酸素雰囲気において1600℃で24時間保持して焼結する。焼結したペレットは、表面を一様に研磨する。

0027

焼結する際にペレットからA成分が蒸発して散逸する可能性がある。そこで、A成分を含む保護用粉末にペレットを埋め込んだ状態で加熱して、焼結体を作製する。保護用粉末は、試料粉末(上述の所定の配分に秤量した各粉末の混合物)とACO3とを質量比で9:1となるように秤量してメノウ乳鉢で10分間混合してふるいにかけたものである。

0028

このようにして作製した焼結ペレットは、マイクロメーターで直径及び厚さを測定し、イオン液体を用いたアルキメデス法体積を測定する。イオン液体としては例えば25℃で密度が1.33g・cm-3の脂肪族級アンモニウム型のTMHA−Tf2N(trimethyl-n-hexylammonium bis[(trifluoromethyl)-sulfonyl] amide)を用いることができる。これらの測定結果から、電気伝導度の測定の際に用いる寸法因子及び密度を求めることができる。

0029

交流インピーダンス法
本発明のプロトン伝導体の電気伝導度の測定には交流インピーダンス法を用いることができる。電気伝導度の測定に際してプロトン伝導体の表面には電極として例えば銀ペースト塗布するため、測定したプロトン伝導体の抵抗は、電解質の抵抗成分と、電解質/電極界面の抵抗成分とからなる。そのため、プロトン伝導体の抵抗を直流電流で測定すると電解質及び電解質/電極界面を含む系全体の抵抗しか測定できず、電解質の成分だけを抽出することができない。一方、交流インピーダンス法で測定するインピーダンスは、交流振幅だけではなく周波数にも依存するため、交流インピーダンス法によれば緩和時間(応答時間)によってこれらの抵抗成分を分離することができる。

0030

一般に、プロトン伝導体を含むイオン伝導体は電極内と電解質内とで電荷担体が異なるため、電解質内部よりも電極/電解質界面に大きな容量成分を持つ。これは、電圧印加したときに見られる抵抗の応答が、電極/電解質界面は電解質部分に比べて遅い(緩和時間が長い)ことを意味している。この緩和時間よりも周期の短い周波数の交流でインピーダンスを測定した場合、電極/電解質界面に由来する抵抗成分は現れない。

0031

プロトン伝導体の電解質のインピーダンス及び電極/電解質界面のインピーダンスが、それぞれ抵抗とキャパシタ並列回路RC並列回路)と同様に振る舞う仮定すると、測定系全体等価回路図3に示すようにRC並列回路が直列に2個つながったものとなる。図3において、R1及びC1はそれぞれ電解質の抵抗及び容量、R2及びC2はそれぞれ電極/電解質界面の抵抗及び容量を表している。ここで、それぞれのRC並列回路のインピーダンスは、抵抗R、容量C及び交流の各周波数ωを用いて次のように表すことができる。
Z=Z′+iZ″
=(1/R)/{(1/R)2+(ωC)2}
−i[ωC/{(1/R)2+(ωC)2}]

0032

又、各周波数ωと周波数fとの間には、f=ω/2πの関係がある。したがって、交流の周波数を掃引してRC並列回路のインピーダンスを測定し、複素平面上プロット(Nyquist Plot)すると、図4に示すように1個の半円が描かれる。ここで半円の直径はR、頂点の周波数(特性周波数)f0は、f0=1/2πRCとなる。又、周波数fが高いほどインピーダンスは複素平面上の原点に近づく。

0033

一方、プロトン伝導体と電極からなる測定系全体の等価回路であるRC並列回路が直列に2個つながった回路では、2個のRC並列回路のf0が十分に異なれば、Nyquist Plot上には図5に示すように2個の半円が現れる。2個の半円のうち、原点に近い方がf0の大きい方のRC並列回路を反映する。このf0の大きい方のRC並列回路は、一般に固体電解質系では電解質を反映する。

0034

実際の測定においては、Nyquist Plot上に現れた複素インピーダンスの形状を等価回路と比較することで、電解質の抵抗と、電極/電解質界面の抵抗とを分離して評価する。又、実際の測定結果では、Nyquist Plot上には図6に示すように電解質を反映する半円が2個現れる。2個の半円のうち、原点に近い方が電解質の抵抗の粒内成分R11、もう一方が電解質の抵抗の粒界成分R12を反映する。

0035

(電気伝導度の測定)
焼結したペレットの上面及び下面に銀ペーストを塗布して電極を形成したものについて、水蒸気分圧0.05atmの加湿Ar雰囲気下でインピーダンスアナライザを用いてインピーダンスを測定する。測定により得られたNyquist Plotから粒内抵抗R11及び粒界抵抗R12が求められる。ペレットのを厚さをL、上面又は下面の面積をAとすると、結晶粒内の電気伝導度σ11及び結晶粒界の電気伝導度σ12はそれぞれ
σ11=L/(A・R11),σ12=L/(A・R12)
と表すことができる。尚、Aは上面と下面の面積の平均であってもよい。電解質の抵抗値から求めた電気伝導度は、酸素イオン又はプロトン等のイオン伝導性を表すものである。

0036

本発明の実施例について説明する。本実施例のプロトン伝導体は、元素AがBa、元素MaがY、元素MbがSc、x=0.1、y=0.05である、BaZr0.85Y0.1Sc0.05O3である。

0037

本実施例のプロトン伝導体は、出発材料としてBaCO3、ZrO2、Y2O3及びSc2O3の粉末をモル比1:0.85:0.1:0.05となるように秤量したものを用いる。そして、上述の作製方法で焼結ペレットを作製する。

0038

この焼結ペレットについて、常温から200℃付近までの複数温度について交流インピーダンス法にて結晶粒内の電気伝導度及び結晶粒界の電気伝導度を測定した。その結果を図7に示す。図7は、横軸絶対温度逆数を1000倍したもの、縦軸を電気伝導度に絶対温度を掛けたものの常用対数をとったものである。尚、参照用に上側の横軸には摂氏温度、右側の縦軸には電気伝導度の常用対数をとったものを示している。又、グラフ中には電気伝導度が一定である線も併せて示している。図7には、比較例として元素MaがY、x=0.15であり、元素Mbを添加しない、即ちy=0である、BaZr0.85Y0.15O3についても示す。

0039

図7より、本実施例のプロトン伝導体、比較例共に電気伝導度は、結晶粒内(白塗り記号)の方が結晶粒界(黒塗りの記号)よりも高いことがわかる。又、結晶粒界の電気伝導度は本実施例(黒塗り三角)の方が比較例(黒塗り丸)よりも高く、結晶粒内の電気伝導度は本実施例(白塗り三角)の方が比較例(黒塗り丸)よりも低いことがわかる。

0040

又、プロトン伝導体を本実施例、比較例共に研磨して組織観察したところ、結晶粒径が比較例では平均で約0.1μmであり、本実施例では平均で約1〜2μmであった。つまり、元素Mbを添加することにより結晶粒界密度が小さくなることがわかった。

0041

そこで、常温付近から700℃付近までの複数の温度について本実施例、比較例共に焼結ペレットの電気伝導度、即ち結晶粒内及び結晶粒界を合わせた全体の電気伝導度を、実験により得られた活性化エネルギーなどを基に外挿したところ、図8に示す結果が得られた。この結果、本実施例の方が比較例よりも全体の電気伝導度が高いことがわかる。即ち、本実施例のプロトン伝導体の焼結ペレットでは結晶粒内の電気伝導度の上昇分を結晶粒界密度が低いことによって補い、全体の電気伝導度が比較例よりも高くなったものと考えられる。

0042

本発明のプロトン伝導体は、燃料電池の固体電解質、水蒸気電解による水素発生装置の固体電解質及び水素ガスの高純度化用の水素選択透過装置の固体電解質等に用いることができる。


図面の簡単な説明

0043

本発明にかかるプロトン伝導体の構造であるペロブスカイト構造の単位格子の模式図
本発明にかかる燃料電池の模式図
プロトン伝導体のインピーダンス測定系の等価回路
RC並列等価回路に対するNyquist Plot
プロトン伝導体のインピーダンス測定系の等価回路に対するNyquist Plot
プロトン伝導体に対するNyquist Plot
本発明の実施例にかかるプロトン伝導体の結晶粒内の電気伝導度と結晶粒界の電気伝導度
本発明の実施例にかかるプロトン伝導体の全体の電気伝導度


符号の説明

0044

10燃料電池
11アノード
12固体電解質
13カソード
20 負荷


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