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技術 原子力プラントの運転方法およびその運転装置

出願人 発明者
出願日 2007年3月28日 (7年5ヶ月経過) 出願番号 2007-084854
公開日 2008年10月9日 (5年10ヶ月経過) 公開番号 2008-241579
登録日 - 登録番号 -
特許期限 2027年3月28日 (残12年6ヶ月) 状態 拒絶査定(最終処分)
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課題

原子力プラント増出力に関してプラント機器の構成の大幅な変更を行わずにプラント効率を向上させ、プラントの出力増加を可能にすることのできる原子力プラントの運転方法を提供する。

解決手段

原子力プラントの運転方法は、原子力プラントの出力を増加させるに原子力プラントの運転方法において、低圧損型蒸気加減弁2aを用いて圧力損失を低減する圧力損失低減ステップと、高圧タービン入口の少なくとも初段のノズル最適化するノズル最適化ステップと、低圧損型蒸気加減弁2a及び前記ノズルを最適化した高圧タービン3入口の少なくとも初段のノズルを用いてプラント効率を向上させ出力増加させる出力増加ステップと、を有する。

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背景

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原子力プラントにおいては、例えば、電気出力を増大するために燃料構成、又は燃料集合体形状構成等を改良して、炉心出口における主蒸気流量を増加させることで電気出力を増大させていた。

また、電気出力増加にほぼ比例して主蒸気流量が増加する。このため、給水系配管給水加熱器給水ポンプ蒸気乾燥器などの炉内構造物主蒸気管高圧タービン低圧タービンおよび復水器などほとんど全ての機器設計余裕が減少する。通常の沸騰水型軽水炉を用いた原子力プラントでは主蒸気流量の増加によって最初に設計余裕がなくなる可能性のある機器の一つが高圧タービンである。沸騰水型軽水炉以外の原子力発電システムにおいても高圧タービンの設計余裕が比較的小さいプラントについては同様の課題があり、従来の技術を既設の原子力プラントに適用する場合、プラントの機器の大規模な改良、交換が必要になっていた。

上述の既設の原子力プラントの電気出力を増大する方法として、一般に、以下の3つの方法が知られている。

第1の方法として、原子炉熱出力を増加させ、炉心出口における主蒸気流量を増大させ、設計余裕がなくなった機器を改造、交換する方法がある。

第2の方法として、原子炉の熱出力を増加させ、炉心出口における主蒸気流量を増大させ、設計余裕の範囲内で対応する方法がある。

第3の方法として、主蒸気抽気加熱する給水に加熱量を減らし、給水のエンタルピ温度)を下げることにより主蒸気流量の増加を抑制すると同時に、低圧タービンへ入る蒸気量を増加させることにより低圧タービンでのエネルギー回収量を増加させる方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。

なお、以下本発明の実施の形態の説明において詳しく述べるが、原子炉炉心と高圧タービンを連絡する主蒸気管に設けられる弁、なかでも蒸気加減弁として、圧力損失の低減を考慮した構造のものが知られている(例えば、特許文献4、5参照)。 特開2005−201696号公報 特開2006−38499号公報 特開2006−208238号公報 特開2004‐301066号公報 特開平2‐233805号公報

概要

原子力プラントの増出力に関してプラント機器の構成の大幅な変更を行わずにプラント効率を向上させ、プラントの出力増加を可能にすることのできる原子力プラントの運転方法を提供する。原子力プラントの運転方法は、原子力プラントの出力を増加させるに原子力プラントの運転方法において、低圧損型蒸気加減弁2aを用いて圧力損失を低減する圧力損失低減ステップと、高圧タービン3入口の少なくとも初段のノズル最適化するノズル最適化ステップと、低圧損型蒸気加減弁2a及び前記ノズルを最適化した高圧タービン3入口の少なくとも初段のノズルを用いてプラント効率を向上させ出力増加させる出力増加ステップと、を有する。

目的

本発明は上記課題を解決するためになされたもので、原子力プラントの増出力に関してプラント機器の構成の大幅な変更を伴わずにプラント効率を向上させ、プラントの出力増加を可能にすることのできる原子力プラントの運転方法およびその運転装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項

以下の情報は公開日時点(2008年10月9日)のものです。

請求項1

原子力プラント出力を制御する原子力プラントの運転方法において、蒸気加減弁を用いて圧力損失を低減する圧力損失低減ステップと、高圧タービン入口の少なくとも初段のノズル最適化するノズル最適化ステップと、前記蒸気加減弁及び前記ノズルを最適化した高圧タービン入口の少なくとも初段のノズルを用いてプラント効率を向上させて原子力プラントの出力を増加させる出力増加ステップと、を有することを特徴とする原子力プラントの運転方法。

請求項2

前記原子力プラントの給水ポンプトリップしこの予備機起動しない場合に、制御装置を用いて再循環ポンプ流量を低下させると共に予め選択しておいた制御棒を挿入する制御ステップを有することを特徴とする請求項1記載の原子力プラントの運転方法。

請求項3

前記原子力プラントの再循環ポンプがトリップし炉心の安定性が良好でない場合に、制御装置を用いて予め設定した制御棒を挿入する制御ステップを有することを特徴とする請求項1記載の原子力プラントの運転方法。

請求項4

原子力プラントの出力を制御する原子力プラントの運転装置において、圧力損失を低減する蒸気加減弁と、ノズルを最適化した高圧タービン入口の少なくとも初段のノズルと、前記蒸気加減弁及び前記ノズルを最適化した高圧タービン入口の少なくとも初段のノズルを用いてプラント効率を向上させ出力増加させる出力増加手段と、を有することを特徴とする原子力プラントの運転装置。

詳細

以下の情報は 公開日時点 (2008年10月9日)のものです。

技術分野

0001

本発明は、原子力プラント出力を増加させる原子力プラントの運転方法およびその運転装置に関する。


背景技術

0002

原子力プラントにおいては、例えば、電気出力を増大するために燃料構成、又は燃料集合体形状構成等を改良して、炉心出口における主蒸気流量を増加させることで電気出力を増大させていた。

0003

また、電気出力増加にほぼ比例して主蒸気流量が増加する。このため、給水系配管給水加熱器給水ポンプ蒸気乾燥器などの炉内構造物主蒸気管高圧タービン低圧タービンおよび復水器などほとんど全ての機器設計余裕が減少する。通常の沸騰水型軽水炉を用いた原子力プラントでは主蒸気流量の増加によって最初に設計余裕がなくなる可能性のある機器の一つが高圧タービンである。沸騰水型軽水炉以外の原子力発電システムにおいても高圧タービンの設計余裕が比較的小さいプラントについては同様の課題があり、従来の技術を既設の原子力プラントに適用する場合、プラントの機器の大規模な改良、交換が必要になっていた。

0004

上述の既設の原子力プラントの電気出力を増大する方法として、一般に、以下の3つの方法が知られている。

0005

第1の方法として、原子炉熱出力を増加させ、炉心出口における主蒸気流量を増大させ、設計余裕がなくなった機器を改造、交換する方法がある。

0006

第2の方法として、原子炉の熱出力を増加させ、炉心出口における主蒸気流量を増大させ、設計余裕の範囲内で対応する方法がある。

0007

第3の方法として、主蒸気抽気加熱する給水に加熱量を減らし、給水のエンタルピ温度)を下げることにより主蒸気流量の増加を抑制すると同時に、低圧タービンへ入る蒸気量を増加させることにより低圧タービンでのエネルギー回収量を増加させる方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。

0008

なお、以下本発明の実施の形態の説明において詳しく述べるが、原子炉炉心と高圧タービンを連絡する主蒸気管に設けられる弁、なかでも蒸気加減弁として、圧力損失の低減を考慮した構造のものが知られている(例えば、特許文献4、5参照)。 特開2005−201696号公報 特開2006−38499号公報 特開2006−208238号公報 特開2004‐301066号公報 特開平2‐233805号公報


発明が解決しようとする課題

0009

上述した従来の既設の原子力プラントの電気出力を増大する3つの方法のうち、第1の方法及び第2の方法の場合は、電気出力増加にほぼ比例して主蒸気流量と給水流量が増加するために、給水ポンプ、高圧タービン、低圧タービン及び復水器等の機器の設計余裕が減少する、という課題があった。

0010

また、第1の方法の場合は、出力増加により設計余裕がなくなった機器を改造、交換することになる。通常の沸騰水型軽水炉を用いた原子力プラントおいては、主蒸気流量の増加によって最初に設計余裕がなくなる可能性のある機器の一つが高圧タービンである。したがって、最初に高圧タービンの交換という大規模な改良や交換が必要になる、という課題があった。

0011

また、第2の方法の場合は、設計余裕の範囲内で対応するため機器の改造や交換が不要である。しかし、第1の方法の場合に比較して出力増加量が減少し、またタービン効率が低下する、という課題があった。

0012

さらに、第3の方法の場合は、電気出力が増加しても主蒸気流量と給水流量は増加しないために、上述の第1の方法の場合のように、プラント機器の大規模な改造や交換は不要である。しかし、プラント効率が出力増加前よりも低下する、という課題があった。

0013

本発明は上記課題を解決するためになされたもので、原子力プラントの増出力に関してプラント機器の構成の大幅な変更を伴わずにプラント効率を向上させ、プラントの出力増加を可能にすることのできる原子力プラントの運転方法およびその運転装置を提供することを目的とする。


課題を解決するための手段

0014

上記目的を達成するため、本発明は、原子力プラントの出力を制御する原子力プラントの運転方法において、蒸気加減弁を用いて圧力損失を低減する圧力損失低減ステップと、高圧タービン入口の少なくとも初段のノズル最適化するノズル最適化ステップと、前記蒸気加減弁及び前記ノズルを最適化した高圧タービン入口の少なくとも初段のノズルを用いてプラント効率を向上させて原子力プラントの出力を増加させる出力増加ステップと、を有することを特徴とするものである。

0015

また、上記目的を達成するため、本発明は、原子力プラントの出力を増加させる原子力プラントの運転装置において、圧力損失を低減する蒸気加減弁と、ノズルを最適化した高圧タービン入口の少なくとも初段のノズルと、前記蒸気加減弁及び前記ノズルを最適化した高圧タービン入口の少なくとも初段のノズルを用いてプラント効率を向上させ出力増加させる出力増加手段と、を有することを特徴とするものである。


発明の効果

0016

本発明の原子力プラントの運転方法およびその運転装置によれば、低圧損型蒸気加減弁を採用し、高圧タービンの少なくとも初段のノズルを最適化することにより、出力を増加させ、プラント効率を向上させることができる。さらに、高圧タービンや低圧タービンの交換等という大規模な工事を不要とし、改造物量を低減化して、改造工期削減による低コスト化を図ることができる。


発明を実施するための最良の形態

0017

以下、本発明に係る原子力プラントの運転方法およびその運転装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。

0018

(第1の実施の形態) 図1は、本発明の第1の実施の形態の原子力プラントの運転装置が適用される原子力発電所の主要系統を示すブロック図である。

0019

本図に示すように、原子炉圧力容器8は、原子燃料装荷されている原子炉1及びこの原子燃料を支持する炉内構造物から構成されている。この原子炉1で発生した蒸気は、蒸気加減弁2を経由して高圧タービン3へ導入される。この蒸気加減弁2は、原子炉1で発生した蒸気が通過する経路を閉して蒸気流量加減制御するものである。このように、蒸気加減弁2は、蒸気流通経路開閉し複雑な構造を有しているので、流体抵抗の多い箇所改善し圧力損失(圧損)を低減し、出力を増加させることができる。

0020

ここでは、蒸気流量の通過に伴う流量圧損を低減する構造を有する低圧損型蒸気加減弁2aを蒸気加減弁2として適用する。この低圧損型蒸気加減弁2aの採用により、高圧タービン3の入口の蒸気条件が圧損の小さい側すなわち高圧側に改良され、これにより高圧タービン3の飲み込み流量のポテンシャルが増加している。

0021

このような低圧損型蒸気加減弁2aとしては、例えば、弁ケーシング内のストレーナ内向きの蒸気流れの一部を阻止する閉鎖部を形成してなるもの(上記特許文献4参照)や、あるいは、弁体の上方に複数個圧縮ばねを設け、弁開度が大きくなったときの弁体の振動を抑制し弁体を安定化する構成(上記特許文献5参照)などが知られているが、本実施例では、圧力損失が比較的低いものであればよくここでは特に構造を限定しない。

0022

一方、高圧タービン3の本体においては、高圧タービン3の入口の少なくとも初段のノズルは、ノズルが最適化されているものが適用される。すなわち、高圧タービン3の初段ノズル又は初段を含む高圧タービンの数段のノズルは、出力増加による主蒸気流量の増加分に見合った最適化を行っている。このノズルの最適化及び上記低圧損型蒸気加減弁2aによる蒸気条件の改良により、高圧タービン3における有効熱落差が増大する。そして、低圧損型の蒸気加減弁及び高圧タービンの初段ノズル又は初段を含む高圧タービン数段のノズルの最適化することにより、出力を増加させプラント効率の向上を図っている。

0023

このように構成された本実施の形態における蒸気加減弁2を改良した低圧損型蒸気加減弁2aを採用し、高圧タービン初段又は初段を含む高圧タービン数段のノズルの最適化のみで出力増加を行うものである。このプロセス蒸気圧力推移及びエンタルピの推移を図2(a)、図2(b)を用いて詳述する。図2は、図1の原子力プラントの運転装置で用いられる低圧損型蒸気加減弁を示す説明図で、(a)はその特性を示す特性図、(b)はそのタービン有効熱落差を示す特性図である。

0024

図2(b)において、従来手法Aに示すように、細線は従来の手法を適用した実施例を示す。太線A1は本発明を適用した実施例を示している。また、点線Bは等圧力線、一点鎖線Cは等エンタルピ線を示す。本実施の形態においては、タービン入口Dにおける圧力は、低圧損型蒸気加減弁2aの適用により圧損が低減されるので上昇し、高圧タービン3の飲み込み流量のポテンシャルが増加する。この飲み込み流量が増加した分に対しては、高圧タービン3の初段ノズルのみ又は初段を含む高圧タービン3の数段のノズルのみを原子炉の出力増加に合わせた最適化を行う。理想的に言えば、出力増加に合わせた高圧タービン3に取り替えることが望ましい。しかし、初段のノズルは、以降の蒸気通路部の翼列速度三角形健全性に対して支配的であり、この初段ノズルのみ又は初段を含む高圧タービン3の数段のノズルのみ最適化することにより、出力増加前と同等のタービン内部効率を確保することができる。かくして、タービン有効熱落差Eが増大し、プラント効率に大幅に寄与することができる。すなわち、低圧損型の蒸気加減弁2aの適用及び高圧タービンの初段ノズル又は初段を含む高圧タービン3の数段のノズルを最適化することにより、出力増加が可能となり、高圧タービン3の取替えが不要となる。かくして、タービン有効熱落差Eが増大するために、プラント効率は大幅に向上する。

0025

本実施の形態によれば、低圧損型蒸気加減弁2aを適用し、高圧タービン3の少なくとも初段のノズルを最適化することにより、出力を増加させ、プラント効率を向上させることができる。さらに、高圧タービン3や低圧タービン4の交換等という大規模な工事を不要とし、改造物量を低減化して、改造工期削減による低コスト化を図ることができる。

0026

(第2の実施の形態) 図3は、本発明の第2の実施の形態の原子力プラントの運転装置で用いられる炉心流量制御棒挿入による炉出力制御特性を示す特性図である。

0027

まず、沸騰水型軽水炉を用いた原子力プラントの一般的な特性及びシステムについて図3を用いて説明する。

0028

本図に示すように、この炉出力は、原子力特有の制御特性を有している。すなわち、再循環ポンプ速度一定に保持しながら制御棒引き抜くと、曲線9a、9bに従って出力が上昇する。なお、曲線9bの方が、曲線9aよりもその再循環ポンプ速度が大きい場合を示している。

0029

また、制御棒パターンを一定にして再循環ポンプ速度を上げ、炉心流量を増加させると、曲線10a、10bに示すように出力が上昇する。

0030

一般的な原子力プラントにおいては、上述の性質を利用し、給水ポンプが故障してトリップに至り所要の給水流量が得られない状態になったときに、原子炉水位低下によるプラント緊急停止を回避するために、原子炉出力がその場合の最大給水可能流量に相当する出力未満となることを目標にして給水される。また、この場合、給水ポンプ容量不足するときには、再循環ポンプ速度を予め設定した速度(ランバック制限速度)まで急速に低下させるシステム(ランバックインターロック)を設けるようにしている。

0031

次に、この運転点移動図4及び図5を用いて詳述する。図4は、図3比較例として従来のプラントにおけるランバック後の運転点を説明する原子炉の制御特性を示す特性図で有り、図5は、出力増加前後のランバック後の運転点の違いを説明する原子炉の制御特性図である。

0032

図4において、例えば、通常運転時50%定格給水流量で、1台運転時の最大給水可能流量が68%定格流量の給水ポンプが2台設置されている場合を想定する。給水ポンプ1台がトリップし予備の25%容量給水ポンプ2台の内、起動に1台以上失敗した場合には、再循環ポンプ速度をランバック制限速度まで急速に低下させ、炉出力が68%未満になるようにしている。

0033

しかし、図5に示すように、出力を増加させると、再循環ポンプ速度をランバック制限速度まで低下させても、整定出力が出力増加前Fから出力増加後Gへと高い値へ移行する。このときは、図5に示すように、既設の給水ポンプ1台+予備機1台運転時の最大給水可能流量では給水流量が不足する可能性が生じる。このために、この給水流量不足検知されて、図1に示す原子炉1は原子炉水位低下によりスクラムする可能性が生じる。

0034

このために、本発明の実施の形態においては、第1の実施の形態に加えて、給水ポンプ7が故障しトリップに至り、また、予備機起動失敗により、定格給水流量を確保できなくなった場合を想定している。この場合、ランバックシステムが作動したときに、予め選択しておいた制御棒を原子炉1に挿入する選択制御棒挿入システムを採用している。

0035

この選択制御棒挿入システムは、1回で全選択制御棒挿入しても、複数の選択制御棒を少なくとも2種類以上のグループに分けシステム作動時に時間差をもって挿入してもよい。全てのグループの選択制御棒が挿入されたときに、起動している給水ポンプ7での最大給水流量に相当する出力未満となるまで出力を低下させるシステムとなっている。

0036

このように構成された本実施の形態の作用について、図6を用いて説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態の原子力プラントの運転装置を適用した原子炉の制御特性を示す特性図である。

0037

本図に示す制御特性において、初期運転点で運転中に給水ポンプ7がトリップし図示しない予備機が起動失敗した場合の作用を以下に示す。例えば、給水ポンプ7がトリップし予備機が2台とも起動しない場合に、ランバックが作動し炉出力は低下を始める。このランバック作動後の整定出力が給水ポンプの容量を超過する場合は、例えば、3段階で作動する選択制御棒挿入システムが作動し、複数の制御棒を3段階にわけて原子炉1に挿入される。

0038

このときの制御特性図上の軌跡について、本図におけるランバック及び多段階制御棒挿入時の運転点の軌跡を用いて詳述する。このランバックによる炉心流量の低下で初期運転点Hは低炉心流量側に移動を始める一方で、炉心流量の低下により出力も低下する為に、運転点は低出力側へ移動する。また、ランバックによる炉心流量と出力の低下とが相乗して、図示しない制御棒が段階的に原子炉1に挿入される為に、段階的な出力低下が加わりIに示す軌跡で運転点が移動する。最終的には給水ポンプ1台の最大給水流量に相当する出力未満の出力Jが整定される。

0039

一方、原子炉1に制御棒が挿入されると炉出力が低下する為に、原子炉1の炉心で生成されるボイドの割合が低下し水位が低下する性質がある。挿入される制御棒グループ及び挿入の時間差の設定は、急激な出力低下で水位が急低下し炉水位低によるスクラムすなわち原子炉緊急停止に至らないようにプラント解析シミュレータにより算出されている。したがって、上述のように予めプラント解析モデルにてシミュレーションされて算出された制御棒を複数本ずつ挿入し、1台の給水ポンプ7の最大給水流量に相当する出力未満まで炉出力が低下することになる。

0040

この場合の炉水位と炉出力と給水流量と主蒸気流量の挙動図7を用いて説明する。

0041

図7は、本発明の第2の実施の形態の原子力プラントの運転装置を適用した原子炉の挙動を示す説明図で、(a)はその炉出力と給水流量等の挙動特性を示す特性図、(b)はその炉水位と給水流量等の挙動を示す特性図である。図7(b)に示すように、原子炉1の炉水位は、炉水位低設定到達によるスクラムすなわち原子炉緊急停止に至ることなく原子炉1の運転が継続されることになる。

0042

本実施の形態によれば、給水ポンプがトリップし且つ予備給水ポンプが起動失敗した場合においても、ランバックを作動させ炉出力を低下させると共にこのランバック後整定出力が給水ポンプの容量を超過する場合は選択制御棒挿入システムを作動させて、炉水位低によるプラント緊急停止を回避することができる。さらに、給水ポンプを大容量のものに更新あるいは改造する大規模な工事を不要とし、改造物量を低減化して、改造工期削減による低コスト化を図ることができる。

0043

図8は、本発明の第3の実施の形態の原子力プラントの運転装置を適用した原子炉の炉心安定性制限領域を示す制御特性を示す特性図である。

0044

本図に示すように、沸騰水型原子炉においては、一般的に、低炉心流量/高炉出力にするほど、炉心の熱水力安定性が悪くなる性質がある。そこで、より確実な熱水力安定性を有する運転を行う為に、符号11a−11bで示すような炉心安定性制限ラインKを設けている。この炉心安定性制限ラインKの左上の領域での運転を制限する為に、原子炉1内へ選択制御棒を挿入する選択制御棒挿入システムが設けられている。

0045

原子炉1の運転中に再循環ポンプ停止し炉心流量が低下しているにもかかわらず、炉出力が十分低下しない場合は、炉心流量と出力の関係を示す点が、この炉心安定性制限ラインKを超えて、例えば破線上にある場合が考えられる。このような炉心安定性制限ラインKの左上の領域での運転を制御するために、符号12a−12b−12cで示すような選択制御棒挿入設定ラインLが設けられる。上述のように、原子炉1の炉心流量と炉出力がこの選択制御棒挿入設定ラインKに達した場合には、選択制御棒挿入指令が出力される。この選択制御棒挿入指令により、符号12a−12bで示すような選択制御棒挿入設定ラインLより下になることを目標にして、予め選択しておいた制御棒を図示しない水圧駆動機構を用いて原子炉1内に全挿入し炉出力を低下させるようにしている。

0046

(第3の実施の形態) 次に、原子炉の出力増加前後の炉心安定性制限領域を示す制御特性について図9を用いて説明する。図9は、本発明の第3の実施の形態の原子力プラントの運転装置に係る原子炉の出力増加前後の炉心安定性制限領域を表した制御特性を示す特性図である。

0047

本図に示すように、MからNに炉出力を増加をさせると、再循環ポンプが停止した場合の整定出力が高くなる。これに伴い、出力増加前よりも選択制御棒の投入反応度が大きくなることが原因となって、原子炉1の炉心のボイドの潰れが大きくなり水位が低下する。このために、既設の給水ポンプ3のみの水位制御が難しくなる可能性が生じる。

0048

このために、本実施の形態は、第2の実施の形態の構成に加えて、原子炉1の出力が図8に示す炉心安定性制限ラインKを超えて不安定領域に入った場合に、多段階で作動する選択制御棒挿入システムを採用していることを特徴とする。この選択制御棒挿入システムは、複数の制御棒を少なくとも2種類以上のグループに分け、システム作動時に時間差をもって制御棒が挿入される。全てのグループの制御棒が原子炉1へ挿入されたときに、原子炉1の炉出力は低下し、不安定領域を脱することになる。

0049

このように構成された本実施の形態の制御特性について図10を用いて詳述する。

0050

図10は、本発明の第3の実施の形態の原子力プラントの運転装置を適用した原子炉の制御特性を示す特性図である。ここでは、2段階で選択制御棒が挿入される場合の例を示す。再循環ポンプ1台が停止した場合に、再循環流量の低下により冷却材の再循環流量が減少し、同時に原子炉出力が低下する。このとき、低炉心流量/高炉出力状態となり炉心安定性が悪くなる可能性がある。すなわち、運転点が12a−12b−12cで囲まれた不安定領域Pに達したときに、多段階で時間差により選択制御棒が挿入される選択制御棒挿入システムが作動し、原子炉1に選択制御棒が挿入される。すると、本図に示すような運転点の軌跡を描いて運転点QからRまで段階的に出力が低下し、不安定領域を脱した出力で整定される。

0051

一方、制御棒が挿入されると原子炉1の炉出力が低下する為に、原子炉1の炉心で生成されるボイドの割合が低下し、水位が低下する性質がある。この多段階で挿入される選択制御棒グループ及び挿入の時間差の設定は、急激な出力低下で水位が急低下し炉水位低による原子炉緊急停止に至らないようプラント解析シミュレータにより算出される。したがって、このように予めプラント解析モデルにてシミュレーションされた時間差をもって多段階で制御棒を複数本ずつ原子炉1に挿入し、不安定領域を脱する出力まで炉出力を低下させる為に、緩やかに炉出力は低下することになる。

0052

ここで、プラント解析モデルにてシミュレーションされた時間差をもって多段階で選択制御棒を複数本ずつ挿入する原子炉の挙動について図11を用いて詳述する。

0053

図11は、本発明の第3の実施の形態の原子力プラントの運転装置を適用した原子炉の制御特性を示す説明図で、(a)は従来の選択制御棒挿入時の原子炉の挙動を示す特性図、(b)は本実施の形態による原子炉の挙動を示す特性図である。

0054

図11(a)に示すように、従来の手法においては、炉出力を低下させるのに必要な制御棒を一斉に挿入している。このときは、急激な炉出力低下は炉水位も急激に低下させることがわかる。この選択制御棒を一斉に挿入することは、原子炉1の水位変動が大きいので、原子炉緊急停止を動作させる炉水位低に至る可能性が高いといえる。

0055

一方、図11(b)において、予めプラント解析モデルにてシミュレーションされた時間差をもって多段階で制御棒を複数本ずつ挿入し、不安定領域を脱する出力まで炉出力を低下させる為に、緩やかに炉出力は低下することがわかる。上述のように、本実施の形態による制御方法により炉水位の低下は緩やかになる。この炉水位の低下が緩やかであれば、給水流量を制御する制御装置制御性も良くなるため、この点からも炉水位低下は抑制されることが望ましい。

0056

本実施の形態によれば、再循環ポンプが停止して再循環流量が減少し、炉心安定性が悪くなったときに、選択制御棒挿入システムを作動させ、炉水位低によるプラント緊急停止を回避することができる。さらに、給水ポンプを大容量のものに更新あるいは改造する大規模な工事を不要とし、改造物量を低減化して、改造工期削減による低コスト化を図ることができる。

0057

以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述したような各実施の形態に何ら限定されるものではなく、各実施の形態の構成を組み合わせて、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。


図面の簡単な説明

0058

本発明の第1の実施の形態の原子力プラントの運転装置が適用される原子力発電所の主要系統を示すブロック図。 図1の原子力プラントの運転装置で用いられる低圧損型蒸気加減弁を示す説明図で、(a)はその特性を示す特性図、(b)はそのタービン有効熱落差を示す特性図。 本発明の第2の実施の形態の原子力プラントの運転装置で用いられる炉心流量と制御棒挿入による炉出力の制御特性を示す特性図。 図3の比較例として従来のプラントにおけるランバック後の運転点を説明する原子炉の制御特性を示す特性図。 出力増加前後のランバック後の運転点の違いを説明する原子炉の制御特性図。 本発明の第2の実施の形態の原子力プラントの運転装置を適用した原子炉の制御特性を示す特性図。 本発明の第2の実施の形態の原子力プラントの運転装置を適用した原子炉の挙動を示す説明図で、(a)はその炉出力と給水流量等の挙動特性を示す特性図、(b)はその炉水位と給水流量等の挙動を示す特性図。 本発明の第3の実施の形態の原子力プラントの運転装置を適用した原子炉の炉心安定性制限領域を示す制御特性を示す特性図。 本発明の第3の実施の形態の原子力プラントの運転装置に係る原子炉の出力増加前後の炉心安定性制限領域を表す制御特性を示す特性図。 本発明の第3の実施の形態の原子力プラントの運転装置を適用した原子炉の制御特性を示す特性図。 本発明の第3の実施の形態の原子力プラントの運転装置を適用した原子炉の制御特性を示す説明図で、(a)は従来の選択制御棒挿入時の原子炉の挙動を示す特性図、(b)は本実施の形態による原子炉の挙動を示す特性図。


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0059

1…原子炉、2…蒸気加減弁、2a…低圧損型蒸気加減弁、3…高圧タービン、4…低圧タービン、5…発電機、6…復水機、7…給水ポンプ、8…原子炉圧力容器、9a、9b…再循環ポンプ速度曲線、10a、10b…設計流量制御曲線、11a、11b…炉心安定性制限ライン、12a、12b、12c…選択制御棒挿入設定ライン。


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