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技術 遊星ローラねじ

出願人 日本精工株式会社
発明者 渡辺靖巳
出願日 2005年11月7日 (10年6ヶ月経過) 出願番号 2005-322303
公開日 2007年5月24日 (9年0ヶ月経過) 公開番号 2007-127241
状態 未査定
技術分野 伝動装置
主要キーワード ローラ支持孔 遊星ローラねじ 給油系統 環状保持器 相対回転運動 ローラ列 排油口 潤滑法

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課題

大量の潤滑剤を給油口から安定的に供給することができる遊星ローラねじを提供する。

解決手段

遊星ローラねじは、ねじ溝1aが外周面に形成されたねじ軸1と、ねじ軸1のねじ溝1aに対向するねじ溝2aが内周面に形成されたナット2と、両ねじ溝1a,2a間に転動自在に介装された複数ローラ3からなるローラ列と、ナット2に嵌合された2つの歯車4,4と、ナット2のねじ溝2aに開口し潤滑剤を吐出する2つの給油口10,10と、を備えている。そして、2個の給油口10,10の位相がずれていて、両給油口10,10の開口部10a,10aが転動するローラ3によって同時に塞がれたり狭くなったりすることがないようになっている。

背景

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従来の遊星ローラねじとしては、螺旋状のねじ溝外周面に形成されたねじ軸と、ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝が内周面に形成されたナットと、両ねじ溝間転動自在に介装された複数ローラからなるローラ列と、を備え、ローラ列のうち両端のローラを回転自在に支持する保持器がねじ軸とナットとの間に介装され、ローラ列のうち両端のローラに形成された歯と噛み合う歯車がねじ軸又はナットに嵌合されたものが知られている(例えば特許文献1を参照)。

従来の遊星ローラねじの潤滑法としては、グリース潤滑油潤滑が採用されているが、射出成形機に組み込まれる遊星ローラねじのように大荷重負荷される遊星ローラねじにおいては、内部にグリースを大量に供給する必要がある場合があった。また、冷却のために内部に機械油タービン油等を大量に供給する場合があった。
このような場合には、ねじ軸又はナットにねじ溝に開口する給油口を設け、この給油口から内部に潤滑剤を供給する方法が採用されることが多かった。
米国特許第2683379号明細

概要

大量の潤滑剤を給油口から安定的に供給することができる遊星ローラねじを提供する。遊星ローラねじは、ねじ溝1aが外周面に形成されたねじ軸1と、ねじ軸1のねじ溝1aに対向するねじ溝2aが内周面に形成されたナット2と、両ねじ溝1a,2a間に転動自在に介装された複数のローラ3からなるローラ列と、ナット2に嵌合された2つの歯車4,4と、ナット2のねじ溝2aに開口し潤滑剤を吐出する2つの給油口10,10と、を備えている。そして、2個の給油口10,10の位相がずれていて、両給油口10,10の開口部10a,10aが転動するローラ3によって同時に塞がれたり狭くなったりすることがないようになっている。

目的

なお、ボールねじの場合は、ボールが給油口の開口部を同時に塞ぐようなことは起こりにくく、上記のように給油口の開口部の位相を180°ずらしても上記のような問題は生じない。このような問題は、ローラを軸方向に平行に配置する遊星ローラねじ特有の問題である。
そこで、本発明は、上記のような従来の遊星ローラねじが有する問題点を解決するものであり、大量の潤滑剤を給油口から安定的に供給することができる遊星ローラねじを提供することを課題とする。

効果

実績

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請求項

請求項1

螺旋状に連続するねじ溝外周面に形成されたねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝が内周面に形成されたナットと、前記両ねじ溝間転動自在に介装された複数ローラと、前記ねじ軸のねじ溝又は前記ナットのねじ溝に開口し潤滑剤を吐出する給油口と、を備え、前記ねじ軸と前記ナットとの相対回転運動により、前記ローラの転動を介して、前記ねじ軸と前記ナットとが軸方向へ相対移動するようになっている遊星ローラねじにおいて、前記給油口を2個以上設け、それらの開口部の周方向位置を、全ての給油口の開口部が前記ローラによって同時に塞がれることがないような位置としたことを特徴とする遊星ローラねじ。

請求項2

2個以上の前記給油口のうちいずれか一つの給油口の中心位置といずれか一つのローラの中心位置とが一致して該給油口の開口部がそのローラによって塞がれている状態で、残りの給油口のうち少なくとも一つは、その開口部がローラによって完全には塞がれておらず、前記潤滑剤を吐出可能となっているとともに、その潤滑剤を吐出可能となっている給油口は、最も近接しているローラの外周面と開口部との間の径方向距離が、該開口部の径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の遊星ローラねじ。

詳細

技術分野

0001

本発明は遊星ローラねじに関する。


背景技術

0002

従来の遊星ローラねじとしては、螺旋状のねじ溝外周面に形成されたねじ軸と、ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝が内周面に形成されたナットと、両ねじ溝間転動自在に介装された複数ローラからなるローラ列と、を備え、ローラ列のうち両端のローラを回転自在に支持する保持器がねじ軸とナットとの間に介装され、ローラ列のうち両端のローラに形成された歯と噛み合う歯車がねじ軸又はナットに嵌合されたものが知られている(例えば特許文献1を参照)。

0003

従来の遊星ローラねじの潤滑法としては、グリース潤滑油潤滑が採用されているが、射出成形機に組み込まれる遊星ローラねじのように大荷重負荷される遊星ローラねじにおいては、内部にグリースを大量に供給する必要がある場合があった。また、冷却のために内部に機械油タービン油等を大量に供給する場合があった。
このような場合には、ねじ軸又はナットにねじ溝に開口する給油口を設け、この給油口から内部に潤滑剤を供給する方法が採用されることが多かった。
米国特許第2683379号明細


発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、給油口が1個であると、転動するローラが給油口の開口部を通過するたびに、ローラによって開口部が塞がれたり狭くなったりするので、潤滑剤の供給を安定的に行うことが困難であるという問題があった。また、開口部が塞がれたり狭くなったりすると、潤滑剤を供給する給油系統圧力が上昇するため、ポンプ給油管損傷が生じるおそれがあった。

0005

また、給油口が複数であっても、上記と同様の問題が生じる場合があった。ボールねじの場合と同様に、遊星ローラねじを軸方向から見て遊星ローラねじの中心と給油口の開口部とを直線で結んだ時に、2つの直線のなす角度が180°となるように2個の給油口が形成されている場合を例にして説明する。なお、本明細書においては、遊星ローラねじを軸方向から見たときの給油口の開口部の周方向位置を「位相」と称する。すなわち、上記のような例の遊星ローラねじは、位相が180°ずれた2個の給油口を有する遊星ローラねじである。

0006

このような場合は、ローラの個数偶数で且つローラが周方向に等配に配されていると、転動するローラが両給油口の開口部を同時に通過することとなるので、両開口部がローラによって同時に塞がれたり狭くなったりする。よって、潤滑剤の供給を安定的に行うことが困難となる。また、給油口が複数であっても、潤滑剤を供給する給油系統は通常は1系統であり、1系統の給油系統から複数の給油口に潤滑剤を供給するので、給油口が同時に塞がれたり狭くなったりすると、給油系統の圧力が上昇してポンプや給油管に損傷が生じるおそれがあった。

0007

なお、ボールねじの場合は、ボールが給油口の開口部を同時に塞ぐようなことは起こりにくく、上記のように給油口の開口部の位相を180°ずらしても上記のような問題は生じない。このような問題は、ローラを軸方向に平行に配置する遊星ローラねじ特有の問題である。
そこで、本発明は、上記のような従来の遊星ローラねじが有する問題点を解決するものであり、大量の潤滑剤を給油口から安定的に供給することができる遊星ローラねじを提供することを課題とする。


課題を解決するための手段

0008

前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の遊星ローラねじは、螺旋状に連続するねじ溝が外周面に形成されたねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝が内周面に形成されたナットと、前記両ねじ溝間に転動自在に介装された複数のローラと、前記ねじ軸のねじ溝又は前記ナットのねじ溝に開口し潤滑剤を吐出する給油口と、を備え、前記ねじ軸と前記ナットとの相対回転運動により、前記ローラの転動を介して、前記ねじ軸と前記ナットとが軸方向へ相対移動するようになっている遊星ローラねじにおいて、前記給油口を2個以上設け、それらの開口部の周方向位置を、全ての給油口の開口部が前記ローラによって同時に塞がれることがないような位置としたことを特徴とする。

0009

また、本発明に係る請求項2の遊星ローラねじは、請求項1に記載の遊星ローラねじにおいて、2個以上の前記給油口のうちいずれか一つの給油口の中心位置といずれか一つのローラの中心位置とが一致して該給油口の開口部がそのローラによって塞がれている状態で、残りの給油口のうち少なくとも一つは、その開口部がローラによって完全には塞がれておらず、前記潤滑剤を吐出可能となっているとともに、その潤滑剤を吐出可能となっている給油口は、最も近接しているローラの外周面と開口部との間の径方向距離が、該開口部の径よりも大きいことを特徴とする。


発明の効果

0010

本発明の遊星ローラねじは、複数の給油口の全ての開口部がローラによって同時に塞がれたり狭くなったりすることがないので、大量の潤滑剤を給油口から安定的に供給することができる。


発明を実施するための最良の形態

0011

本発明に係る遊星ローラねじの実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以降の説明に用いる各図においては、同一又は相当する部分には同一の符号を付してある。
〔第一実施形態〕
図1は、第一実施形態の遊星ローラねじを軸方向に平行な平面で破断した断面図であり、図2は、図1の遊星ローラねじを軸方向に直角をなす平面で破断した要部断面図である。また、図3は、図1の遊星ローラねじを径方向外方から見た平面図である。

0012

図1に示すように、本実施形態の遊星ローラねじは、螺旋状に連続する断面略V字状のねじ溝1aが外周面に形成されたねじ軸1と、ねじ軸1のねじ溝1aに対向する断面略V字状のねじ溝2aが内周面に形成されたナット2と、両ねじ溝1a,2a間に転動自在に介装された複数のローラ3からなるローラ列と、ねじ軸1に嵌合された2つの歯車4,4と、を備えている。両ねじ溝1a,2aのねじれ方向は同じ方向であるが、ローラ3のねじれ方向は両ねじ溝1a,2aのねじれ方向とは逆方向である。

0013

歯車4,4は、軸方向に離れて配されており、前記ローラ列のうち両端のローラ3’,3’に形成された歯とそれぞれ噛み合っている。そして、ねじ軸1とナット2との相対回転運動により、ローラ3の転動を介して、ねじ軸1とナット2とが軸方向へ相対移動するようになっている。
この遊星ローラねじには2つの環状保持器5,5が備えられており、ねじ軸1とナット2との間で且つ両端のローラ3’,3’の軸方向外側に介装されている。環状保持器5,5には周方向に沿って複数のローラ支持孔5aが設けられており、両端のローラ3’,3’に設けられた軸方向外側に突出する突起7をローラ支持孔5aに挿通することにより、環状保持器5,5はローラ3’,3’を回転自在に支持している。なお、ローラ支持孔5aは、貫通孔であってもよいし、有底孔であってもよい。

0014

さらに、ねじ軸1における環状保持器5,5の軸方向外側には、環状保持器5,5と接触するように抜け止めリング9が取り付けられていて、ローラ3’の突起7が環状保持器5のローラ支持孔5aから抜けることが防止されている。また、抜け止めリング9は、環状保持器5がねじ軸1に対して軸方向に位置ずれしたり、環状保持器5が遊星ローラねじから脱落することを防ぐ機能も有している。この抜け止めリング9は、ねじ軸1と一体のものでもよいし、別体の部材でもよい。

0015

さらに、ナット2には、グリース,潤滑油等の潤滑剤を内部に供給する給油口10が2個設けられている。この給油口10は、径方向伸びナット2の外周面と内周面のねじ溝2aとに開口する貫通孔からなり、ナット2の外周面の開口部に接続された給油系統(図示せず)から送られた潤滑剤が、該貫通孔を通ってねじ溝2aに形成された開口部10aから吐出されるようになっている。

0016

そして、図2,3から分かるように、2個の給油口10,10の位相がずれていて、両給油口10,10の開口部10a,10aが転動するローラ3によって同時に塞がれたり狭くなったりすることがないようにしてあるので(図2から分かるように、一方の開口部10aはローラ3で塞がれているが、他方の開口部10aは塞がれたり狭くなったりしていない)、遊星ローラねじの内部への潤滑剤の供給が遮断されることがなく、大量の潤滑剤を給油口10,10から安定的に供給することができる。よって、本実施形態の遊星ローラねじは、大量の潤滑剤の供給が必要な場合(例えば射出成形機に組み込まれる遊星ローラねじのように大荷重が負荷される遊星ローラねじ)にも好適使用可能である。

0017

また、両給油口10,10の開口部10a,10aが同時に塞がれたり狭くなったりすることがないので、給油系統の圧力が大きく上昇してポンプや給油管に損傷が生じるおそれがほとんどない。図4のように2個の給油口の位相が同じであると、転動するローラによって両給油口の開口部が同時に塞がれたり狭くなったりするので、給油系統の圧力が周期的に大きく上昇して(図5グラフを参照)、ポンプや給油管に損傷を引き起こすおそれがある。しかしながら、本実施形態のように2個の給油口の位相がずれていると、図5のグラフに示すように給油系統の周期的な圧力上昇が小さいので、ポンプや給油管に損傷を引き起こすことがほとんどない。

0018

2個の給油口10,10の位相のずれの度合いは、本実施形態においては、隣接する2つのローラ3の位相のずれの1/2に設定してある。すなわち、遊星ローラねじに組み込まれているローラ3の個数をHとすると、2個の給油口10,10の位相のずれの度合いは360°/H×(1−1/2)で表される。
ただし、両給油口10,10の開口部10a,10aが転動するローラ3によって同時に塞がれたり狭くなったりすることがないならば、位相のずれの度合いは特に限定されるものではなく、下記式(1)で表されるような位相のずれとしてもよい。下記式(1)中のHはローラの個数であり、nは任意自然数である。
360°/H×(1−n/2) ・・・ (1)

0019

また、開口部が狭くならず潤滑剤の流路が確保されるために、式(1)で表される位相のずれよりもさらに位相をずらしてもよく、下記式(2)で表されるような位相のずれとしてもよい。
360°/H×(1−n/2±1/4) ・・・ (2)
なお、図1に示す第一実施形態の遊星ローラねじは、ローラをねじ軸に回転自在に固定したものであるが、図6に示す遊星ローラねじのようにローラをナットに回転自在に固定したものでもよい。

0020

〔第二実施形態〕
図7は、第二実施形態の遊星ローラねじを軸方向に直角をなす平面で破断した要部断面図である。なお、第二実施形態の遊星ローラねじの構成及び作用は、第一実施形態とほぼ同様であるので、異なる部分のみ説明し、同様の部分の説明は省略する。
本実施形態の遊星ローラねじは、ナット2に2個の給油口10が設けられており、その位相がずれている。そして、2個の給油口10,10の位相のずれの度合いは、本実施形態においては、以下のように設定してある。すなわち、図7に示すように、2個の給油口10,10のうち図示しない一方の給油口の中心位置とローラの中心位置とが一致して該給油口の開口部がそのローラによって塞がれている状態で、図示された他方の給油口10は、その開口部10aがローラ3によって完全には塞がれず、潤滑剤を吐出可能となっている。この潤滑剤を吐出可能となっている給油口10は、最も近接しているローラ3の外周面と開口部10aとの間の径方向距離hが、該開口部10aの径dよりも大となっている。

0021

このような構成であれば、両給油口10,10の開口部10a,10aが転動するローラ3によって同時に塞がれたり狭くなったりすることがなく、しかも潤滑剤を吐出可能となっている給油口10は、潤滑剤の流路が十分に確保されているので、遊星ローラねじの内部への潤滑油の供給が遮断されることがなく、大量の潤滑剤を給油口10,10から安定的に供給することができる。よって、本実施形態の遊星ローラねじは、大量の潤滑剤の供給が必要な場合(例えば射出成形機に組み込まれる遊星ローラねじのように大荷重が負荷される遊星ローラねじ)にも好適に使用可能である。

0022

なお、第一,第二実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は第一,第二実施形態に限定されるものではない。例えば、第一,第二実施形態においては、給油口の個数は2個であったが、3個以上設けてもよい。その場合には、全ての給油口の位相をずらしてもよいが、少なくとも1つの給油口の位相がずれていれば、本発明の目的を達成することができる。
また、第一,第二実施形態においては、給油口はナットに設けられていたが、ねじ軸に設けてもよい。
さらに、給油口を排油口として用いることもできる。


図面の簡単な説明

0023

第一実施形態の遊星ローラねじを軸方向に平行な平面で破断した断面図である。
図1の遊星ローラねじを軸方向に直角をなす平面で破断した要部断面図である。
図1の遊星ローラねじを径方向外方から見た平面図である。
従来の遊星ローラねじを径方向外方から見た平面図である。
給油系統の圧力上昇を説明するグラフである。
第一実施形態の遊星ローラねじの変形例を示す図である。
第二実施形態の遊星ローラねじを軸方向に直角をなす平面で破断した要部断面図である。


符号の説明

0024

1 ねじ軸
1aねじ溝
2ナット
2a ねじ溝
3ローラ
10給油口
10a 開口部


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