義手・義足

事故によって失われた手・足の代替

最終更新日:2017/01/11

推定市場規模
1.2兆円

 病気や事故によって失われた手足を代替する義手や義足は実用化され始めてから長い年月が経っているが、体型には個人差があるため大量生産することが難しく、場合によっては一体100万円を超える高価なものであるというのが常識だった。そのため現在においても先進国以外での普及が進んでいないという実情がある。
 また、自由自在な操作性や体の成長や変化に合わせたメンテナンスの問題などは未解決であり、まだまだ人体と全く同じ状態を代替するまでには至っておらず、日本福祉用具・生活支援用具協会が発表した義肢・装具などの福祉用具市場規模によれば国内だけでも2012年の時点で約1.2兆円となっている。
 この分野における技術の研究がさらに進むことで、より安価で世界中のだれもが手にすることができ、導入後も本来の器官や体の部位と同じく自然で安全に失われた手足を代替できることが期待されている。

未来への変化の兆し

  • 3Dプリンターによる義手・義足

     近年3Dプリンターの活用で大幅にコストを削減した生産が可能になりつつある。

     義手を使用する人が身体の成長途中にある子供であった場合、体の成長に合わせて高価な義手を常に買い換える必要があり、その膨大なコストが義手の普及を抑え込んでいた。
     しかし3Dプリンターを使用し作成される電動義手は3Dプリンタの使用料とその材料費だけのコストとなり従来の義手制作コストの約100分の1程度で済むという。
     そして2013年にkickstarterで出資を募り始めたプロジェクト等はこの電動義手の設計図やコントロールに必要なソフトウェアを無料で配布すると発表しており、特別な技術がなくとも誰でも義手を作って使用することが出来る方向で動いている。

     さらに近年ではドイツの国策として取り組まれているインダストリー4.0と呼ばれるものや、IoT(Internet of Things)の世界的な推進によって従来よりもより実現しやすい環境が整ってきたと言える。
     こうした動きや変化は、すでに義手・義足を利用している人のコスト問題を解決するだけでなく内戦によって手足を失いつつも、今まで高いコストが払えず不自由な生活を強いられていた途上国の人たちにもメリットがもたらされると注目を浴びている。 3Dプリンターによる義手・義足
  • BMIの活用

     日本には10万人以上の脊髄損傷者がおり、毎年5,000人以上増えている。脊髄損傷になると脳からの命令は届かず運動機能が失われるため、患者の運動機能再建やコミニケーションが課題となる。
     これに対してブレイン・マシン・インタフェース(Brain machine interface:BMI))技術の適用が試みられており、この技術により体を動かせない患者でも体の動きを脳でイメージするだけでコンピュータやロボットなどを動かすことが可能となると期待されている。

     米国防総省関連機関が支援する研究チームは2012年には既に実用化に向けて、脳波で制御する義手のロボットハンドを作成していた。
     この研究では従来よりも格段に正確で自然な動きを義手にさせることができるアルゴリズムとして、脳波をコンピュータ・コードに書き換える機能を備えている。
     このロボットハンドを脊椎小脳変性症で首から下が麻痺し四肢が動かせない症状を抱える52歳の女性が使用した際、装着2日目には自分の意思で義肢を動かせるようになっていた。

     このように最先端の技術を用いて、利用者が専門的な知識及び能力を有していなくても誰でも新技術を使いこなすことが可能となることが求められている。また、この技術がより発展することで生まれながらに麻痺症状を持っている人にも有効な自由な四肢が享受できることが望まれている。 BMIの活用
  • 空中に自由な造形を可能にする3Dプリンタ

     3Dプリンタの普及以降、様々な分野においてその用途は広がってきたが、一方で「2Dでプリントしたものを積層し、立体化する」という手法によって、ある程度の制限があったのも事実だ。
     特に、電子デバイスの世界では従来のような平らで固い基盤をベースとしたものから、柔軟性があったりセンサーや医療機器への応用など要求が高まってきているため、現在の3Dプリンタでは造形しづらいものも多数ある。

     より複雑で、柔軟な、様々な用途で活用できる造形という要求に答えることができなければ、3Dプリンタの活用範囲はある程度制限されてしまう。
     しかし、アメリカのハーバード大学の研究チームはこうした従来の常識を覆す3Dプリンタの作成に挑んでいる。

     「3D Printing Metal in Midair」というタイトルでyoutube上に上がった動画には、シルバーのナノ粒子を使ったインクを、ノズルを通過したところで精密制御されたレーザーを当てて焼き固めるというスタイルの3Dプリント技術が紹介されている。
     ノズルを3次元的に動かすことができ、作業台にはターンテーブルを使用することで、自在にカーブさせられるため、複雑な造形を可能にしている。

     しかも、この仕組みで造形されたワイヤーは銀と比較しても遜色のない導電性を持っており、プラスティック素材の上に直接プリントすることも可能なため、電子デバイスや生物医学用デバイスなどの応用にも期待できる。
     従来のデザイン、造形プロセスの常識に囚われないことで、より自由度の高い電子デバイスが作成できれば、あらゆる医療機器などでの有効活用ができるのかもしれない。 空中に自由な造形を可能にする3Dプリンタ

現在集まっている公募課題

  • 難治性疾患に苦しむ世界中の患者を日本発のバイオ3Dプリンティング技術で救いたい

     公益社団法人日本臓器移植ネットワークの発表によると、心臓・肺・肝臓・膵臓・腎臓・小腸の移植を希望して日本臓器移植ネットワークに登録しているのは13,696名(2014年11月末現在)。なお、2014年の全臓器移植件数は224件である。つまり、数字が示すように移植希望者が後を絶たないものの、提供が多…

    • スポンサー企業:株式会社サイフューズ
    • 公開日:2014/12/19

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