ゲノム解析・遺伝子診断・遺伝子治療

がん・白血病など難病を克服する

最終更新日:2016/05/02

推定市場規模
230兆円

 世界には、劣性遺伝に起因する筋ジストロフィーや、染色体異常によるダウン症、がん遺伝子異常によるがんといった遺伝性の難病を抱える患者が多数いる。国際がん研究機関の報告によると、2012年に新たにがんと診断された患者は1400万人だが、これが20年後には2200万人まで増えると予想されている。
 一方、国際的協力の拡大と、ゲノム科学の進歩、及びコンピュータ関連技術の大幅な進歩により、2003年にヒトのゲノムの全塩基配列が解析され、高速かつ低コストにゲノムを解析できるようになりつつある。
 今後は、病因を遺伝子レベルで診断・治療する方法の実用化により、人類が難病を克服することに繋がると期待されており、こうしたバイオ産業の市場規模は国内だけでも2002年に6兆円と試算されていたものが2010年には25兆円に膨れ上がり、世界では230兆円規模という予測がBT戦略会議にて発表されている。

未来への変化の兆し

  • がんの克服

     がんの発生や進行にはさまざまな遺伝子が関与しており、がん遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の不活性化が細胞のがん化、がん細胞・がん幹細胞へつながる繋がると考えられている。
     がん抑制遺伝子は、がんの発生を抑制する機能を持つタンパク質(がん抑制タンパク質)をコードする遺伝子であり、現在p53・Rb・BRCA1等が見出されている。
     これらの諸機能が解明されることにより、がんの診断や治療に繋がると期待されている。

     東京のがん遺伝子治療センターでは既に多くの治療実績を持ち、抗がん剤の投与とは別のアプローチとして、治療に有効な遺伝子を外部から体内に送達してがんを改善する治療法を用いている。 同院ではがんは異物ではなく正常細胞が遺伝子エラーにより変異したもの、という考えの元に外部から正常に戻すという遺伝子治療を行っており、がんの無限に増殖する恐怖に対し「がん細胞を自殺させる、あるいは増殖を停止し老化させる」ことを目指して研究を進めている。

     がんは何らかの治療を受けても2人に1人は再発する病気と言われ、長年決定的な克服方法の確立が難しいとされていた。しかし近年の遺伝子技術の向上と医療分野での活用が、がん治療における決定打になると期待されている。 がんの克服
  • 遺伝子治療によるウイルス予防

     後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因としてヒト免疫不全ウイルス(HIV)が発見されて以来、その感染メカニズムの研究が世界中で進んでいる。しかしHIVは急速に突然変異するため、従来の固定的な抗ウイルス剤では対応しきれない。
     現在、細胞内の多くの異なるレベルで働く遺伝的抗ウイルス剤がこうしたHIV感染を予防処置出来る糸口として注目されている。

     米テンプル大学の研究者チームがゲノム編集技術によって、ヒト細胞からHIVウイルスの根絶に成功したとの報告を2014年に行った。
     同研究チームは培養したヒトの細胞からHIVの繁殖を「抑える」のではなく「駆逐」する事を世界で初めて成功させ、免疫細胞に感染しDNAを書き換え増殖するHIVの働きを完全に消滅させた。

     現在はまだ実験室内で培養細胞への効果が証明された段階であり、人体を使った臨床実験もまだまだ先とみられているが、世界で初めてAIDSの根絶治療という大きな光が見えてきている。 遺伝子治療によるウイルス予防
  • 抗がん抗原抗体を高感度検出する新技術

     がん免疫治療の困難さは腫瘍のサイズだけで効果が判断できず、治療効果の有無を迅速に評価できないという点にある。

     岡山大学の二見准教授らの共同研究グループは、がんの免疫治療が効果的な時、血液中にさまざまな抗がん抗原抗体が増加するという現象に着目。
     抗がん抗原抗体を定量測定する診断薬の開発に取り組んできた。

     しかし、がん抗原は200種を超えるほど多種多様でどういった動きをするかは個体差がある点、そしてがん抗原が不安定な物性で不溶化しやすく大量調製が困難である、という2つの点が課題だった。

     2015年、同研究グループはがん患者の体内で誘導されるがん細胞に対する免疫応答のレベルを、ごく微量の血液から定量評価する新技術を開発したと発表した。
     前述2つの課題を克服し、好感度な抗体検査が可能になることを確認、診断薬開発の技術基盤が整ったと言える。

     この技術は、がん免疫治療などの医薬品開発における重要ツールとして、効果をリアルタイムに測定できる応用が期待されるものであり、今後の実用化を急ぐとしている。
    抗がん抗原抗体を高感度検出する新技術

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