多様性との共存・エコツーリズム

多様な生態系の崩壊を抑止

最終更新日:2017/01/12

推定市場規模
約8兆円

 自然の生態系は、「生き物」と「大気・水・土壌・太陽エネルギー」の5つの要素から成り立つ。植物は、土壌に根を張り、水と太陽エネルギーと二酸化炭素を利用して、有機物や酸素を生産する。動物は、その有機物を消費し、酸素を吸収して二酸化炭素を排出する。細菌は、土壌に生息し、動植物の死骸を分解する。巡って、動物が排出した二酸化炭素や、細菌の分解物は、植物の栄養となる。
 ところが、人間は科学技術の発展と引き換えに、大気・水・土壌の汚染や、太陽からの紫外線量を抑制していたオゾン層の破壊を引き起こしその結果生態系が危機に晒され、これを食い止めることが喫緊の課題となっている。
 環境省が報告した自然環境保全に関する市場規模は国内のみに限定しても約8兆円と言われており、全世界で2020年には120兆円規模と急激な拡大が予想されている。

未来への変化の兆し

  • 多様な生物と共生する都市づくり

     未来の都市においては、都市開発の段階から生態系を壊さないようにケアし、複数の生物と共生するような都市生活を実現する事が必要である。
    現在、人工衛星などを用いて地表における状態をリモートセンシングし、都市中の緑地分布や生物の繁殖に重要な場所・餌場や天敵からの隠れ場所などを特定する技術が提案されている。
    これにより、複数の生物が共生可能かどうかを総合的に評価した上で、都市開発をすることが可能となる。

     従来の生態系状態の評価手法は、実際に現地に赴き生物とその周辺環境を直接調査するものであったが、一度に調査できる範囲や時間は限られてしまう問題があった。
     この人工衛星によるリモートセンシング技術を活用することで、より広範囲を定期的に定量的に観測し続ける事が可能となるのではと考えられている。

     リモートセンシング技術によって取得できる情報は湖沼観測を一例として挙げると、湖沼および周辺森林の面積や水が土壌に浸透しにくい不浸透域の面積、周辺および湖沼の中に生息している水草の量や種類と分布、アオコ(藻の一種で水面が緑色の粉をふいたようになる現象であり、植物プランクトンの異常発生を指す)の発生程度までも観測可能となっている。
    そして観測した情報を元に、従来よりも精度高く生態系予測を実現する事もできる。

     現在研究が進んでいるこの観測方法は都市など一定の範囲に限定せず、海洋における表面水温や海上風・海色・海面高度、波浪・海氷およびクロロフィル計測を含む全地球規模の気候変動までも短時間で観測できるようになると期待されている。 多様な生物と共生する都市づくり
  • 海洋生態系を創りだす

     地球上の約7割を占める海には豊富な水産資源が存在するが、実は海のうち約90%は「遠洋」と呼ばれ、この遠洋における水産資源の生産量は全体の約0.8%にすぎない。
    これは遠洋には水深の深い場所が多く、日光が届かず植物プランクトンによる一次生産がほとんどなされず、その結果海洋生態系が生み出されない事が原因である。
     
    そこで社会から出される排出物を栄養塩として再利用し、遠洋のうち日光の届く場所で活用することで人為的に新たな海洋生態系を生み出し、その結果水産資源を新たに確保するという研究が進んでいる。
     この方法は海洋生態系の循環の過程で生産される水産資源を収穫するだけでなく、消費した後の排出物をさらに原料とし、再び栄養塩を生産し活用するというサイクルを確立する事も目的としている。

     一方遠洋において「日光が届かない場所」においても、人工海底を設けその水域に植物プランクトンを放流し栄養塩を与え新たに水産資源を生み出すという仕組みの研究も進んでいる。

    この技術が実用化することで従来は水産資源の確保が困難だった遠洋を活用すると同時に、生活排出物を栄養塩にリサイクルし続けることで、廃棄物や二酸化炭素の排出量を低減し水生生物が生息するのに適した環境を構築することも可能になると考えられている。 海洋生態系を創りだす
  • 人工光合成技術の推進

     生態系に影響のある変化は、人類が必要とするエネルギーや材料を開発する際によって長年もたらされている。
     こうした変化はCO2の排出など様々な問題を生じさせ、時には生態系の崩壊に繋がるような自然環境の変化に繋がる。

     CO2を排出することなく、こうしたエネルギーの創出が可能かもしれないと見込まれている研究分野が「人工光合成」
     植物などが行う自然の「光合成」は、光を使い水とCO2からデンプンなど植物が自らの成長に必要な栄養分と酸素を作り出す仕組みだが、人工光合成は「水を原料にし、光エネルギーを化学エネルギーに変換して蓄える「エネルギー蓄積反応」により、炭水化物、水素、その他の高エネルギー物質を生成するここと」と定義されています。
     植物が自らに必要な栄養を生み出すのを同じように、人工光合成はわたしたちに必要なエネルギーを生成する技術といえる。

     現在、国内外で進められている人工光合成の研究は3つのパターンがある
     ・シアノバクテリアなど光合成を行う生物を活用し遺伝子操作などによって、水素をできるだけ大量に生成させる研究。
     ・水の電気分解において、電極に用いた二酸化チタンなどの半導体に光を当てると酸素と水素が発生する「ホンダ-フジシマ効果」を応用するもの。
     ・金属錯体や色素分子を触媒に採用し、人造石油の原料になるCOなどを生成する研究。

     こうした研究は、すぐに実用化されるものではなく、実証実験開始が2030年、本格的な実用化は2050年ころと目されているが、既にトヨタや東芝、パナソニック、富士通などの国内有力メーカーや、各大学・研究機関なども世界中で研究を進めており、数10年後の社会のエネルギー需要における3分の1以上を賄うという構想に向けた研究が進んでいます。 人工光合成技術の推進

現在集まっている公募課題

  • 再生可能エネルギーの実用化・改良で環境負荷低下に貢献する

     IEAが2008年に発表した「World Energy Outlook」によると、2030年の二酸化炭素(CO2)排出量は406億トンと予測されている。これは2015年より約20%増に相当する。ちなみに、琵琶湖(日本最大の湖)の貯水量は280億トンのため、その1.5倍弱が排出されると考えると、相当…

    • スポンサー企業:公益財団法人 日立環境財団
    • 公開日:2014/12/08

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