昆虫・無脊椎動物の食糧資源化

過不足する栄養を安定摂取する

最終更新日:2016/12/09

推定市場規模
20兆円

 人口増加の一途をたどる地球上の生活において、食糧問題は今まで以上に今後重要になる。しかし、作物の生産可能なスペースの問題や、作物の飼育に不向きな地域における食糧の確保など様々な問題をはらんでいる。なお、「食糧ロス低減」という市場についていえば、2018年から2020年にかけての世界市場規模は20兆円と試算されている。
 そこで、現在注目を浴びているのは、人間に必要な栄養分を従来の食糧よりも多く含んだ昆虫や、従来の飼育・製法とは全く異なる穀物の栽培方法など、「従来は食糧として捉えていなかった」ものを食料用資源へと転換する技術である。『未だ出会っていない新たな食糧』との出会いは、今後の人類の栄養状態を改善し、食文化をより豊かにすると期待されている。

未来への変化の兆し

  • パワー小麦粉

     先進国では生産されたものの消費されず廃棄されていく食糧が膨大にある一方で、世界人口の7人に1人はいまも栄養失調に苦しんでおり、途上国を中心とした食糧危機の絶えない現代では肉や野菜を食べなくても生きていける「新たな食糧」の研究が進んでいる。

     一例として、アメリカで実証実験も行われた水に溶かして飲むだけで必要な栄養を摂取できる「ソイレント」、NASAが宇宙食の候補として検討もした事のある精白米に比べタンパク質が2倍・鉄分5倍・食物繊維10倍のアミノ酸バランスに優れた穀物「キヌア」、ミネラルやプロテインが豊富に含まれ鉄分不足の心配がなくなる穀物「テフ」などがあるがコスト面ではまだ不安が残っている。

     そして、牛肉より高タンパクな「パワー小麦粉」と呼ばれる研究がある。
     バッタやコオロギなどの昆虫から作られるこの小麦粉は、通常の小麦粉よりもタンパク質を豊富に含んでおり、特に栄養の確保が難しく食物生産力にも乏しい途上国で注目を浴びている。
     物質1gあたりのバッタのタンパク質量は牛肉よりも多く、虫を食べる習慣がなく心理的な弊害が強い地域の人々にも原材料が虫であることを感じさせない加工食品として食べられるようになっている。

     こうしたパワー小麦粉研究の中には賞金100万ドルを獲得し研究スピードを上げる動きを見せるチームも存在し、今後2018年までにスラムに住む2000人の人々のためにパワー小麦粉を生産する見込みとなっている。 パワー小麦粉
  • 栄養管理システム

     肥満は禁煙に次いで健康障害をもたらす第二の危険因子と言われている。肥満児は全児童の10%に達しており、これらの肥満児は生活習慣病に移行する例が多いと指摘されている。
     そのため専門の指導者による食事指導が行われているが人出を要するため継続し難く、効果も限定的であった。

     そこで2014年コーエイコンピュータシステムは栄養計算ソフトとして「EIBUN」や「ひふみ」といったシリーズを開発販売し、インターネットを用いて個人の栄養素摂取量を管理するシステムを提供している。
     多種多様なシステムで病院・施設・障害者施設など現場で利用しやすい電子カルテとのデータ連携が可能であり、社員食堂・レストラン・惣菜工場などでは原価計算・山地原産地表示と連携して献立を検討することが可能である。

     このようにインターネットを用いて個人の栄養素摂取量を管理するシステムが提案され、患者の疾病や食物摂取情報に基づき食事のメニューを補正するシステムが活用され始めている。
     今後はユーザーによる入力の手間を省き、より持続的な仕組みを構築することが期待されている。 栄養管理システム
  • スーパーフードの仕組みを解析

     近年、スーパーフードやスーパー穀物と呼ばれる食料に注目が集まっている。ほうれん草の仲間である「キヌア」もその1つだ。
     キヌアは南米アンデス地方の原産で、干ばつ時などへの適応性が高く、豊富な栄養価や栄養バランスもあり世界の食糧問題解決の切り札としてNASAやFAO(国際連合食糧農業機関)も注目している。しかし雑種になりやすく複雑なゲノム構造を持つためその仕組みについては謎が多かった。

     2016年に、国際農林水産業研究センター、京都大学、かずさDNA研究所、石川県立大学、株式会社アクトリーの共同研究による共同研究でこのキヌアのゲノム解読成功が発表された。
     そしてこの解読情報をもとに作成したキヌアのゲノムデータベースを公開し、干ばつや塩害時に重要な役割を担う遺伝子や、ウイルス感染防御に関する遺伝子の存在を明らかにした。

     この研究は、今後不良環境耐性作物の開発や、途上国での栄養改善に向けた作物開発を目指している。 スーパーフードの仕組みを解析

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