快眠・覚醒・バイオリズム調整

生体リズムを整えるための最新技術

最終更新日:2016/06/30

推定市場規模
約450億ドル

 近年、睡眠障害は大きな問題となっており、一般人口の5人に1人は不眠を訴えている。この現象に対して、睡眠の質と時間の調整が可能になる技術が研究され、解決の光が見えてきた。脳波をコントロールすることで、睡眠時間を圧縮したり、睡眠の質を向上させたり、夢を解析することやメンタルヘルスケアが可能になるというのだ。
 これにより、不眠を解消するだけでなく、日々の生活に時間的余裕を与え、従来よりも健康に、そして覚醒時には生産的・効率的な活動が可能になると期待されており、京都大学ゲノム医学センターによる2013年までの研究によると米国だけで、睡眠障害治療薬販売額・市場規模は実に約450億ドルにのぼるといわれている。

未来への変化の兆し

  • 睡眠時間の短縮で生活を充実

     睡眠状態の脳波を通常よりも遅くすることで、より質の高い睡眠を短時間に圧縮して得る事が可能になるという研究結果がある。この研究によれば通常8時間必要な睡眠時間を1時間に短縮する事が可能になる。それにより活動可能時間が増加しより充実した日々が送れると目されている。

     米ウィスコンシン大学では「TMS技術」により電磁波で脳波を刺激し人工的に深い睡眠状態に入らせる研究を進めている。これは頭蓋骨を通して電磁波を放射し大脳内の神経細胞に刺激を与え、電磁波刺激を与える部位によって異なる効果を生み出すものである。
     TMS技術による脳波刺激の睡眠操作は一日の睡眠時間を3~4時間程度にすることが可能とされており、睡眠以外にも記憶力の改善にも有効との報告もある。

     睡眠に関する新技術・新手法の確立は脳が持つ役割や機能を解明する研究と紐づいて長年続いてきたが、今後より我々の生活に身近なものとして実用化が期待されている。 睡眠時間の短縮で生活を充実
  • 生体リズムの把握と改善

     食事・住環境また飛行機内の特殊環境など睡眠に関わる生体リズムを崩す要因は日常生活の中に存在している。生体リズムは自覚症状での把握やや自分自身でのコントロールが難しいため、バイオマーカーを用いた生体リズムの客観的評価を行うデバイスの開発や、生体リズムを改善する機能性食品の開発など従来の投薬や治療だけに頼らない形での研究が進んでいる。

     生体内の生物学的変化をバイオマーカーによって定量的に睡眠の質を把握する手法が東京慈恵会医科大学などで検討されている。これは腕時計型睡眠計を用いて睡眠中に深睡眠時間を測定・評価し、効率的にメンタルヘルス管理を促進させる試みである。
     この測定によって身体的のみならず精神的な負荷によって深睡眠時間が強く影響を受け、自身の生体リズムを把握することが睡眠の質を改善させる上で重要な要素であるとされた。

     近年生体リズムを測定する技術は向上し、市場にもさまざまなウェアラブル製品が登場している。こうした動きの中単純な睡眠時間の長短などではなく本質的に生体リズムを健全に保つ睡眠を取得する研究が更に進むことでより気軽に自分の睡眠を把握・コントロールするような基盤が整いつつあると言える。 生体リズムの把握と改善
  • 幸福を感じる脳のメカニズムを解明

     メンタルの変調による睡眠不足や不眠症は解明が難しく、睡眠導入剤などに頼る人が多いのが現状だ。
     一方で、日常生活にあまりストレスが無い人やメンタル面での不安がない人は睡眠時間も質も問題がなく、幸福で健康的な日常が送れているとも言える。

     京都大学大学院医学研究科の佐藤弥特定准教授らの研究グループが進めている「強く幸福を感じる人の脳のメカニズム」はまさにこうした分野に大きな可能性があると言える。
     成人を対象とした脳構造と質問の対応を解析したところ、右半球の楔前部(頭頂葉の内側面にある領域)の灰白質体積と主観的幸福の間に、正の関係があることが示された。より強く幸福を感じる人は、この領域が大きいことを意味するという。

     これは「幸福感」という非常に主観的であるはずの神経基盤を、世界で初めて明らかにする知見と言える。

     こうした研究を更に進めることで、異なる文化間といった主観的評価の比較が難しい場合にも、幸福を客観的に評価・比較することが可能になり、瞑想トレーニングが楔前部の体積を変えるといった知見と併せることで、科学的データに裏打ちされた幸福増進プログラムを作るといった展開が期待される。 幸福を感じる脳のメカニズムを解明
  • ナルコレプシー・睡眠障害の解明

     突然強い眠気に襲われる「ナルコレプシー」やまとまった睡眠を取れなくなる「不眠症」など、眠りと目覚めをコントロールする脳内神経伝達物質がある。

     1998年に筑波大学の柳沢教授らが発見した「オレキシン」
     視床下部でオレキシンが分泌されると起きろという司令が出て目覚めに向かい、逆にオレキシンが減ると「起きろ」という司令が減り眠くなる。

     現在、このオレキシンの研究を元にした新薬の開発が進んでおり、2014年にはオレキシンの受容体を別の物質で塞ぐことで眠くなる「不眠症治療薬」の販売が始まっている。

     しかし、この逆の仕組み「オレキシンを増やすことで突然眠気に襲われるという症状を改善する」のは実現していない。オレキシンの分子が大きくそのまま投与しても欠陥から脳に届かないのだ。
     近年、オレキシンと同じ働きをするサイズの小さな分子をが発見され、マウスへの投与においてナルコレプシーの症状改善に成功したとの発表があった。

     ナルコレプシーの患者は1000人に1人とも言われており、1日も早い新薬の発売が望まれている。
    ナルコレプシー・睡眠障害の解明

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