社内外の技術とデザインを融合したコンセプト家電をヒット「星座のようなチームで新しい社会課題に挑戦」

イノベーションとの出会い

夢のようなプロダクトとの出会い

高校1年の時、初代iMacが我が家にやってきました。この製品は、生活環境をスタイリッシュに一変させつつも渾然一体と調和し、インターネットの玄関となったのです。憧れはいつしか目標に変わり、夢のようなプロダクト開発をするために実現可能解を模索し始めました。

リサーチした結果、プロダクトの頭脳となる“電子工学”、構造を形成する“機械工学”、そしてそれらの調和をとり全体のコンセプトや審美性を司る“デザイン”という、複数の異なる分野を習得することが必要だと考えました。そのため、大学では電子工学を専攻しつつ、機械工学の授業に潜り込み、デザインを独学しては定期的にコンテストへ応募したりしていました。

就職先は、これらを機械工学のエンジニアとして大手医療機器メーカーに拾ってもらいました。電子工学専攻の僕にとっては常にアウェイ感満載でしたが、新しいノウハウを真綿で吸収すると共に、分野を超えた技術を実行する機会となりました。

B(美)si(真)ze(善) を実現するために

そんな中、商社さんが持ち込んできた世界最高クラスのLEDモジュールと出会い、これを用いたデスクライトのプロトタイプを試作しました。この試作機と光が実に心地良いのです。一人のユーザーとして試作品の虜になりましたが、会社はこのLEDを採用しなかったため、自ら創業することにしました。

B(美)si(真)ze(善)という屋号は、大学時代の授業でおそわった “真善美” という言葉に由来します。“真”は学問、“善”は道徳、“美”は芸術を示し、これが人間の理想であると。そこから、エンジニアリングとデザインに基づくイノベーションによって、社会をより善くするというコンセプトに帰着したのです。モノに溢れる現代に、それでもなおモノづくりを志す私たちの、存在意義がここにあります。

オープン・イノベーションの取組み

八木啓太とSTROKE

一人メーカーと呼ばれて

よくメディアの方に一人メーカーと書いていただきますが、実は一人であることは起業するための方法論なだけであって、自分としては全くこだわりがありません。

とはいえ、逆に大企業になりたいかといわれるとそうでもありません。組織が大きくなると、意思決定や組織維持の効率は落ちますし、短期的成果を求められるあまり、目先の結果に終始しがちです。リソースが潤沢な分、手近なシーズに囚われてしまうこともあるでしょう。

「見たこともない課題」に、星座のようなチームで立ち向かう

もちろん全ては両側面があることですが、今の我々の役割は、そのような予測しやすい手堅いことよりも、若く小さな組織ならではの着眼で“見たこともない課題”に取り組むことだと思っています。そのため、平素から課題意識を持って、“生活者としての不満”と “優れた技術やデザインアイデア” を、自分の頭にストックしています。ふとしたきっかけで、これらが繋がり、僕たちの製品ビジョンがうまれます。往々にしてそれは前例がなく、実現する為には高度な技術やアプローチが要求されます。そのために、きら星の企業を日本中世界中から探し出し、星座のようにチームを構成して、製品化まで完遂するのです。

デジタル化によってものづくりの敷居が下がったと言われますが、それでも、製品開発をやり切ることは簡単ではありません。ただ、僕たちは、アイディアは社会で実際に機能してはじめて輝きを発揮すると思っています。だからこそ、実際に具現化して社会に提供するという、最も困難なところにこだわっています。だからこそ、それを可能にする最高のチームをつくるのです。

astamuse.com のユーザーへメッセージ

世界の根源的かつ大局的な潮流を見極める

現代は、コンピューティング技術によって、個々人の能力が拡張されています。また、ネットワーク技術によって、分散型組織の弱みが解消されつつあります。 このような時代において、ミクロなトレンドに惑わされないためにも、世界の根源的かつ大局的な潮流を見極めることが大切だと思います。

これからの挑戦

私としては、そのうえで、演算可能なことは機械に任せ、他人が得意なことは他人に任せ、自分ならではの強みに集中して挑戦していくつもりです。 そして互いの強みが最大限発揮され、ユーザーに支持いただく結果が生まれれば、パートナー企業や社会に還元し、全体として“真善美”がかなえられると思っています。

(インタビュー 2013/09/03)

プロフィール

メイカーズの先駆者

八木啓太

Keita Yagi 八木啓太
  • Bsize Inc. 代表取締役
  • 1983 山口県宇部市生まれ。 Apple、Dyson、Bang & Olufsen などのコンセプト家電製品に憧れる
  • 2004 大阪大学工学部電子工学科卒業
  • 2007 富士フイルムに入社。医療機器の筐体設計に従事
  • 2011 Bsize Inc.を設立し、代表取締役社長に就任
  • 2011 最初の製品「STROKE」を発売。グッドデザイン賞、独red dot design awardを受賞
  • 2013 同社製品第二弾、発売予定
  • 2013 パナソニック出身の友人が入社、一人メーカーから家電ブランドへ。

オープンイノベーションの事例

LEDデスクライト"STROKE"

この製品は、デスクライトのあるべき姿を追求して生まれた製品です。光源には、シチズンの最高級LEDモジュールを利用しました。これが、対象物本来の自然の色味を正確に再現します。その優れた光だけがあって本体の存在が消えてしまうように、一筆書きのシンプルなデザインにしました。この特殊形状を具現化できたのは、武州工業さんのパイプ加工技術によります。また、材料の95%以上は、リサイクルしやすい鉄とアルミが使われています。

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ワイヤレス充電器 “REST”

REST

この製品は、“寝室環境と自然環境に調和する充電器”を目指しました。無線で給電することにより、ベットサイドで武骨なノイズとなっていた配線や充電器を解消しつつ、筐体の材料に間伐材を利用することによって自然環境の維持にも寄与します。ここで、無線給電の制約で、間伐材を薄くしつつも一定の強度を確保する必要があり、飛騨高山の老舗家具メーカー飛騨産業さんにご尽力いただきました。 最先端の電子デバイスと古くて新しい木材で“新しい社会課題”に、向きあうとき、イノベーションの醍醐味があると思います。 【10/15発売予定】

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